聖女陥落〜この恋は罪ですか?〜

まぁ

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 エリサがディアナの家を後にした後、ディアナはある決意をしていた。それはこの中途半端な関係にピリオドを打つためだ。
「なんとなく来てくれる気がしましたよ」
 その日の晩やって来たのはフリークだった。
 エリサがいなくなったあの日から、フリークはたまにやって来ては以前のようにマルタの相手をして帰って行く。だがその関係ももう終わらせよう。そう決意した。
「ちょうど貴方に話がありました」
「何だ?」
「今日エリサさんが来ましたよ。子供を抱えて」
「そうか」
 さも関係ない。興味がないといった風のフリークに、ディアナは大きなため息を漏らした。
「エリサさんは出会った時よりも強くなってました。きっとこれからどんな困難があっても、エリサさんなら乗り越える事が出来るでしょうね」
「そんな話をわざわざする為に待っていたのか?」
 相変わらずなフリーク。出会った時は優しい人なのかとも思った。だがエリサに対してのこの冷たさ。曲がりなりにもミリアの父親であるのに。
「貴方にとってエリサさんが政略結婚の相手で、愛情の一欠片もないのはわかりました。けど、血の繋がった我が子に会いたいと思ったりしないのですか?」
「ないな。勝手に産んだのはエリサだ。私は同意した覚えはない」
「そうですね……そんな貴方だからでしょうか?エリサさんは貴方と別れて正解だし、幸せになって欲しいと思いました」
「何が言いたい?」
「貴方と私の関係……これで終わりにさせて下さい」
「ディアナとエリサに何の関係がある」
 ディアナの一言に激昂したフリークだが、ディアナははっきりとフリークに告げた。
「私の親友をここまで侮辱されては私だって悲しいです」
「親友?貴族と庶民にそんなもの……」
「関係ないです。エリサさんは私にとって親友で家族のようなものです。それにエリサさんは一人でも前に進もうとしている。だから私も前に進まなきゃ……」
 この中途半端な関係がある限り、自分は前に進めない。それにフリークが自分に好意を抱いているのは知っている。
 自分の愛は亡くなった夫にしかない。変に期待を抱かせるような事はもうしたくない。
「私が愛しているのは夫だけです。それ以外の人を愛する事はありません」
 この答えにフリークは言葉を無くしていた。これでいいのだ。お互い宙ぶらりんの状態はよくない。
「私達の関係はこれで終わりです。もしまた来るようでしたら、私とマルタは何処か田舎の方にでも行きます。だからもうここには来ないで下さい」
 それだけを言ってディアナは席を外した。
 しばらくすると扉が閉まる音がきこえたので、フリークは帰ったのだと思った。
「事情はどうあれ、夫である以上、妻を大切に出来ない人に真実人を愛する事など出来ないわ」
 それがわかっていたならこんな結末を迎える事もなかっただろう。
 ディアナは側で眠るマルタの頭を優しく撫でた。


 この日以降、フリークがディアナの家に立ち入る事も、姿を見せる事もなかった。二人の関係はこれで本当に終わったのだった。
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