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ミリア出産からしばらく。エデンワースの屋敷で穏やかな日々を送っているエリサだったが、この日は姉セリカにある事を伝えた。
「エリサ本当なの?」
「はい。もう決めました。もちろんミリアがいるのですぐにというわけではないですが……」
「まぁ、貴女の人生だもの。私があれこれ言う筋合いはないわね。でも、住まいをちゃんと教えるのと、何かあったらこの家を頼りなさい」
「はい。わかりました」
どこか清々しいエリサ。
すぐというわけではないが、エリサはエデンワースの屋敷を出てミリアと二人で暮らす事を決意した。その際にエリサはやりたい事をしたいと思っている。
「けど貴女は事、事業に関しては全くの素人でしょ?」
「はい。なので一年。この家で勉強したいと思います」
「そう。なら事業に関してはルーフェンスに聞いたらいいわ。あれでもちゃんと事業はやってるしね」
ルーフェンスとはエデンワースの婿養子となったセリカの夫である。主には聖女を輩出している名家とはいえど、それだけで食べていけるわけはない。以前のレーエンスブルほどではないが、それなりに事業は経営している。
「でも貴女がまさか事業をね。母になるといろいろ変わるものね」
「以前お世話になった家庭でシングルの母親が子供を抱えて働くのは大変だって言っていたので、その助けになれればと思ってます」
エリサがやろうとしているのはシングル家庭の支援をする為の事業だ。いろいろと中身的にやりたい事はあるが、まずは託児所の運営からやっていきたいと思った。この事業はディアナの苦労がヒントとなった。
一般階級の人達の中にシングルは少なくない。様々な理由はあれど、貴族達のように支援が手厚いわけでなく、子供を抱えながら働かなくてはいかない。だがそれでも満足に働けず、賃金も低く、貧困に喘ぐ人々は少なくもない。
「一般階級には預け先は少ないので、私はそのお手伝いが出来たらいいなと思ってるんです」
「いい心がけだと思うわ。私達貴族が貴族として成り立つのは一般階級の人達のおかげだものね。その人達に私達から恩返しをしてこそ社会は成り立つものよ」
「はい」
やりたい事を見つけ、そこに向かって前に進もうとしているエリサは、今までで一番充実した日々を過ごしていると感じた。
だがそれはふと気を抜いた時に影を潜める。
ミリアをあやしながら、かつて愛したマルディアスの事を思い出す。もう会う事がない。いや会えない。元気なのか。今何をしているのか。ついそんな事を考えてしまう。
「会えないのではなく、会おうとしない。会うのが怖いって言うのが本音かしら?」
こうして離れてみて気がつくのは、自分自身にまだマルディアスに対しての情がある事だ。あんなに酷い事を言われたのに、去り際のあの表情や言葉がエリサの心を繋ぎとめている。
「本当に酷い人……」
今の自分にはミリアもいるし、支えてくれるディアナや姉達もいるのに、これ以上を求めようとしている自分がいる。
その実、順風満帆だったエリサの心が大きく揺れ動くのはそれから一年後の事だった。
「エリサ本当なの?」
「はい。もう決めました。もちろんミリアがいるのですぐにというわけではないですが……」
「まぁ、貴女の人生だもの。私があれこれ言う筋合いはないわね。でも、住まいをちゃんと教えるのと、何かあったらこの家を頼りなさい」
「はい。わかりました」
どこか清々しいエリサ。
すぐというわけではないが、エリサはエデンワースの屋敷を出てミリアと二人で暮らす事を決意した。その際にエリサはやりたい事をしたいと思っている。
「けど貴女は事、事業に関しては全くの素人でしょ?」
「はい。なので一年。この家で勉強したいと思います」
「そう。なら事業に関してはルーフェンスに聞いたらいいわ。あれでもちゃんと事業はやってるしね」
ルーフェンスとはエデンワースの婿養子となったセリカの夫である。主には聖女を輩出している名家とはいえど、それだけで食べていけるわけはない。以前のレーエンスブルほどではないが、それなりに事業は経営している。
「でも貴女がまさか事業をね。母になるといろいろ変わるものね」
「以前お世話になった家庭でシングルの母親が子供を抱えて働くのは大変だって言っていたので、その助けになれればと思ってます」
エリサがやろうとしているのはシングル家庭の支援をする為の事業だ。いろいろと中身的にやりたい事はあるが、まずは託児所の運営からやっていきたいと思った。この事業はディアナの苦労がヒントとなった。
一般階級の人達の中にシングルは少なくない。様々な理由はあれど、貴族達のように支援が手厚いわけでなく、子供を抱えながら働かなくてはいかない。だがそれでも満足に働けず、賃金も低く、貧困に喘ぐ人々は少なくもない。
「一般階級には預け先は少ないので、私はそのお手伝いが出来たらいいなと思ってるんです」
「いい心がけだと思うわ。私達貴族が貴族として成り立つのは一般階級の人達のおかげだものね。その人達に私達から恩返しをしてこそ社会は成り立つものよ」
「はい」
やりたい事を見つけ、そこに向かって前に進もうとしているエリサは、今までで一番充実した日々を過ごしていると感じた。
だがそれはふと気を抜いた時に影を潜める。
ミリアをあやしながら、かつて愛したマルディアスの事を思い出す。もう会う事がない。いや会えない。元気なのか。今何をしているのか。ついそんな事を考えてしまう。
「会えないのではなく、会おうとしない。会うのが怖いって言うのが本音かしら?」
こうして離れてみて気がつくのは、自分自身にまだマルディアスに対しての情がある事だ。あんなに酷い事を言われたのに、去り際のあの表情や言葉がエリサの心を繋ぎとめている。
「本当に酷い人……」
今の自分にはミリアもいるし、支えてくれるディアナや姉達もいるのに、これ以上を求めようとしている自分がいる。
その実、順風満帆だったエリサの心が大きく揺れ動くのはそれから一年後の事だった。
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