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やはりと思うと同時に、エリサの心臓が一気に鼓動を早くした。この一年会わなかったのだ。結婚して子供がいたとしてもおかしくない。なのにどうして心が痛いのだろうか。変に思われてはいけない。エリサはがんばって言葉を紡いだ。
「そ、そうなのですね。私自身久々に会ったのでびっくりしましたよ。それではいそいでいますので、失礼します」
「エリサ様?」
この停留所は今は使えない。マルディアスの呼び止める声を無視した。歩いても帰れるので歩いて帰ろうと思った。否、歩いて帰りたかった。一人になりたかったのだ。
しばらく歩いた所で、ぽつぽつと声が漏れ出た。
「結婚……してたんだ。子供も……」
マルディアスの手を振りほどいたのは自分だ。どうしてこんなにも哀しいと思っているのか。そんな事を思う権利はどこにもないのだ。もうマルディアスとの関係は終わっている。この先会う事はない。だが会わないのであれば、今日を含めて会いたくなかった。
「あ、れ……?」
頬を伝う生温かいもの。それを手で掬う。エリサは今時分が泣いているのだと気が付いた。
「どうして……」
もう過去の事。だったらこんな感情を抱きたいと思わなかった。
神様が与えるエリサへの運命の試練はそう簡単には終わらせてはくれないのだ。
「おかえりなさいエリサ!随分と遅かったのね」
「え、えぇ……少し事務仕事が残っていたので」
屋敷に戻り出迎えてくれたのは姉セリカ。それからセリカの手に引かれて姿を見せたミリアだ。
「ただいまミリア」
「マーマ……おかぁ……」
「ふふ、ただいま」
最近少しずつだが言葉も話し始めたミリアにを見て、今日あった出来事が吹き飛びそうになった。だがエリサの変化に敏感に反応を見せたのはセリカだった。
「夕食は用意しているわ。お風呂が先でもいいけど、とりあえず済ませる事を済ませなさい」
「はい、わかりました」
そう言ってセリカはエリサの手からミリアを預かる。エリサは先にお風呂に入って夕食をとった。日中一緒にいれなかったのもあるので、しばらくはミリアと遊び、寝かせつけた頃、セリカがお茶を用意してくれていた。
「施設の方で何か問題があったの?」
「施設は大変でしたが今の所問題はなかったですよ」
「そう、それじゃあ何があったのか話してくれるかしら?」
やはりセリカの目はごまかせない。むしろエリサの態度がわかりやすかったのかもしれないが、このパターンは話すまでは放してくれないだろう。隠す事でもないので、エリサは正直に話した。
「じ、実は今日、マルディアス様に会ったのです」
「えっ?」
「本当に偶然で……それでマルディアス様に奥さんとお子さんがいてびっくりしちゃったんです」
エリサの言葉を聞いてセリカは「そう……」と一言だけ言った。驚く素振りもないので、もしかしたら知っていたのかもしれない。
「セリカお姉様は知っていたっぽいですね」
「まぁ……貴族社会と言えど、狭いものですからね。この一年エリサは大変な時だったので、なるべく耳に入れないようにしていたのですが……」
「偶然とはいえ、いきなりって怖いものですね。もう二度と会わないと思っていただけに、いろいろと衝撃過ぎて……」
「エリサ。今日の事は本当に偶然なら、もう忘れなさい」
「大丈夫ですよ。今は仕事で忙しくて考える暇すらないですから」
「それならいいけど……もし何かあれば言いなさい」
「はい」
もう二度と会わない。会う事はない。そう思っていたのだが、翌日施設に薔薇の花束が贈られた。その薔薇の品種はかつてルディア―ス家の庭園で見たものと同じ品種だった。
「そ、そうなのですね。私自身久々に会ったのでびっくりしましたよ。それではいそいでいますので、失礼します」
「エリサ様?」
この停留所は今は使えない。マルディアスの呼び止める声を無視した。歩いても帰れるので歩いて帰ろうと思った。否、歩いて帰りたかった。一人になりたかったのだ。
しばらく歩いた所で、ぽつぽつと声が漏れ出た。
「結婚……してたんだ。子供も……」
マルディアスの手を振りほどいたのは自分だ。どうしてこんなにも哀しいと思っているのか。そんな事を思う権利はどこにもないのだ。もうマルディアスとの関係は終わっている。この先会う事はない。だが会わないのであれば、今日を含めて会いたくなかった。
「あ、れ……?」
頬を伝う生温かいもの。それを手で掬う。エリサは今時分が泣いているのだと気が付いた。
「どうして……」
もう過去の事。だったらこんな感情を抱きたいと思わなかった。
神様が与えるエリサへの運命の試練はそう簡単には終わらせてはくれないのだ。
「おかえりなさいエリサ!随分と遅かったのね」
「え、えぇ……少し事務仕事が残っていたので」
屋敷に戻り出迎えてくれたのは姉セリカ。それからセリカの手に引かれて姿を見せたミリアだ。
「ただいまミリア」
「マーマ……おかぁ……」
「ふふ、ただいま」
最近少しずつだが言葉も話し始めたミリアにを見て、今日あった出来事が吹き飛びそうになった。だがエリサの変化に敏感に反応を見せたのはセリカだった。
「夕食は用意しているわ。お風呂が先でもいいけど、とりあえず済ませる事を済ませなさい」
「はい、わかりました」
そう言ってセリカはエリサの手からミリアを預かる。エリサは先にお風呂に入って夕食をとった。日中一緒にいれなかったのもあるので、しばらくはミリアと遊び、寝かせつけた頃、セリカがお茶を用意してくれていた。
「施設の方で何か問題があったの?」
「施設は大変でしたが今の所問題はなかったですよ」
「そう、それじゃあ何があったのか話してくれるかしら?」
やはりセリカの目はごまかせない。むしろエリサの態度がわかりやすかったのかもしれないが、このパターンは話すまでは放してくれないだろう。隠す事でもないので、エリサは正直に話した。
「じ、実は今日、マルディアス様に会ったのです」
「えっ?」
「本当に偶然で……それでマルディアス様に奥さんとお子さんがいてびっくりしちゃったんです」
エリサの言葉を聞いてセリカは「そう……」と一言だけ言った。驚く素振りもないので、もしかしたら知っていたのかもしれない。
「セリカお姉様は知っていたっぽいですね」
「まぁ……貴族社会と言えど、狭いものですからね。この一年エリサは大変な時だったので、なるべく耳に入れないようにしていたのですが……」
「偶然とはいえ、いきなりって怖いものですね。もう二度と会わないと思っていただけに、いろいろと衝撃過ぎて……」
「エリサ。今日の事は本当に偶然なら、もう忘れなさい」
「大丈夫ですよ。今は仕事で忙しくて考える暇すらないですから」
「それならいいけど……もし何かあれば言いなさい」
「はい」
もう二度と会わない。会う事はない。そう思っていたのだが、翌日施設に薔薇の花束が贈られた。その薔薇の品種はかつてルディア―ス家の庭園で見たものと同じ品種だった。
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