聖女陥落〜この恋は罪ですか?〜

まぁ

文字の大きさ
84 / 91

84

しおりを挟む
「自分の子供を施設に……ねぇ。まぁ、殺されないだけよかったのかもしれないけど、本当酷い事するわね」
 ここ最近の情報を園に来ていたディアナに話していたエリサ。貴族界隈の話は一般市民には伝わりにくいのもあり、何があったかはこうしてエリサに聞く方が早かったりもする。むしろエリサの方から話したかったのもある。
「私もこの情報を目にした時はびっくりして……今、ルディア―ス家の騒動は貴族達の間で持ち切りの話なんです。他人事でもないし、どうしても話したくなって……」
「まぁ、エリサさんのその気持ちはわかるわ。でも元々は貴女と恋仲になった相手でしょ?何かしらとスキャンダルが出て来るわね」
「そうですね……」
 もちろんこのスキャンダルが賑わっている中、過去のスキャンダルとしてエリサの事が書かれなかった事もない。実際に情報屋などがエリサの元に来たりもした。
「しばらくエリサさんの周りも落ち着かないって事かしら?」
「私の方は本当に一過性みたいなものなので大丈夫です。けどルディア―ス家やフェリシアさんの家には毎日のように情報屋などが張り付いているそうですね」
 聞いた話によれば、フェリシアが子を施設に預けた事に関して、マルディアスに情報屋などが問うような事もあったらしいが、マルディアスは一貫して「自分の子ではない以上関係ない」と非情に徹している。
 一方のフェリシアも、実家に戻ってからは屋敷から姿を見せていないそうだ。
 フェリシアサイドの情報としても、両親は大変驚き、そして娘の犯した罪に嘆いているのだそうだ。もちろん数珠繋ぎで元婚約者という人物まで登場する騒ぎらしく、今は多方面への対応に追われているそうだ。
「それにしても、相手の子ではないにしても、自らが腹を痛めて産んだ子なのに、よく平気で施設に出す事が出来るわね」
「そうですね。けど、それほどマルディアス様に対しての愛が深かったのかもしれませんね」
「でも愛があるならまずこんな事しようとは思わないわ。正々堂々相手にぶつかればよかったのに」
 そう出来ない何かがあったのだろう。フェリシアには元々婚約者がいる事もあり、マルディアスとの結婚の為に焦っていたのかもしれない。
(でも私にはリスクを負ってまで、フェリシアさんのような深い愛をマルディアス様に捧げられないわ)
 何が何でも。手段を選ばずといった事なのだろうが、エリサにはそこまでの勇気はない。それはいつか綻ぶ愛だ。それをわかっていたのかどうかしらないが、フェリシアは綻んだのだ。
(いや、綻ばせたのは私かもしれない……)
 あの時マルディアスと再会しなければと何度思ったか。だがそんなエリサとは違い、ディアナは言い放つ。
「エリサさんの事がなくても、いつかバレるものよ。子の成長と共に、自分と何か違うなんてきっとわかると思うもの」
「そういうものなのですか?」
「そういうものじゃないかしら?」


 ディアナが帰り、エリサは屋敷に戻ろうと思った時だった。背後に人の気配を感じたので振り返る。
「フェリシアさん?」
 そこにはボロボロな姿のフェリシアがいた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

ナタリーの騎士 ~婚約者の彼女が突然聖女の力に目覚めました~

りつ
恋愛
 リアンは幼馴染のナタリーに昔から淡い恋心を抱いていた。それは彼が成長して、王女殿下の護衛騎士となっても変わりはしなかった。両親や王女に反対されても、ナタリーと結婚したい、ずっと一緒にいたい……そう願い続けた彼の望みはようやく叶い、ナタリーと婚約することができた。あと少しで彼女は自分の妻となる。そう思っていたリアンだが、ある日ナタリーが王女に呼ばれ……

旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~

榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。 ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。 別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら? ー全50話ー

姉の婚約者と結婚しました。

黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。 式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。 今さら式を中止にするとは言えない。 そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか! 姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。 これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。 それどころか指一本触れてこない。 「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」 ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。 2022/4/8 番外編完結

【完結】お飾り妃〜寵愛は聖女様のモノ〜

恋愛
今日、私はお飾りの妃となります。 ※実際の慣習等とは異なる場合があり、あくまでこの世界観での要素もございますので御了承ください。

貴方だけが私に優しくしてくれた

バンブー竹田
恋愛
人質として隣国の皇帝に嫁がされた王女フィリアは宮殿の端っこの部屋をあてがわれ、お飾りの側妃として空虚な日々をやり過ごすことになった。 そんなフィリアを気遣い、優しくしてくれたのは年下の少年騎士アベルだけだった。 いつの間にかアベルに想いを寄せるようになっていくフィリア。 しかし、ある時、皇帝とアベルの会話を漏れ聞いたフィリアはアベルの優しさの裏の真実を知ってしまってーーー

処理中です...