暴君王子は恋を知る

まぁ

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「ここ、どこだ?」
 そうぼそりと呟いたアンリ。辺りをキョロキョロと見渡すが、この部屋に見覚えはない。決して広くはなく、あるのはテレビとベッドのみだ。そしてベッド脇の小さなテーブルにはアメニティが入った箱が置いてある。
「何だこれ?」
 それを手に取りアンリは目を丸くした。同時に手から落ちたそれを見て顔を赤くする。
「こ、コンドーム?」
 慌てふためくアンリ。するとどこからかガチャっと音がしたので振り返る。
「あぁ、日本語も話せたんだ」
「お、お前は……!」
 上半身裸に、腰にはタオルを巻いただけの男。それはバーで会った和史だ。和史の体は年齢のわりには引き締まっており、肉厚でセクシーだ。だがそんな事よりも何故自分がこんな状況に陥っているのかが不思議で仕方なかった。
「あの後大変だったんだぞ」
「な、何が!」
「酔って吐いたアンリを運ぶの。ちょうどラブホしかなかったからな。不本意だが入ってお前を介抱したわけだ」
「はっ?えっ……吐いた?」
 よく見れば自分も服を着ていない。正確に言うならパンツ一枚だ。しかもここがラブホだと言うならばこの丁度品には納得だ。
「さて、服はクリーニングに出したが、明日までは足止めだ。どうする?」
「ど、どうするって何が?」
 じりじりとアンリに詰め寄る和史に、アンリは危機感を覚える。だが和史本人は意地の悪そうな笑みを浮かべている。バーで見た紳士的な笑みはどこにいったのだろう。
「恋を知りたいんじゃないのか?」
「こ、恋……?」
「そうだ。言ってたじゃないか恋が何かわからないって……だから俺が教えてやるって言ったの」
 そんな事を話したような話してないような。お酒が入っていて曖昧な為か、うろ覚えだ。そんなアンリに業を煮やしたのか、突然和史はアンリをベッドに寝かせた。
「お、おい……!」
「どうせお子様のセックスしかしらないのなら、俺が大人のセックスを教えてやるよ」
「せっ!な、何言ってるんだ!」
 両手を和史の手で拘束されているアンリだが、足だけでも抵抗しようとしたのに、その足の間に和史が来たので抵抗らしい抵抗も出来ない。どうしてこんな状況になったのか……思考回路がうまく働かないアンリに和史は言う。
「恋がどんなものか知りたいのですよね?なら教えてあげますよ」
 急に人の好さそうな声色と笑顔で言ってきた和史。この男は表情がコロコロと変わってどれが本当なのかわからない。第六感が危険を察知した瞬間だった。和史の顔がやたら近く感じ、唇にはやわらかい何かが触れた。
「ん!んっ!」
 それが和史の唇だと理解した瞬間、和史の舌がアンリの唇を無理やり開こうとする。
「んっ!ヤダ……!」
 隙を見て入り込んだ舌に翻弄されたアンリ。初めての事で何が何だかわからない。早く離れて欲しい。そう思った時、和史が離れた。
「キスは苦手か?随分とたどたどしいが……」
「うっ……嫌だ……」
「アンリ?」
 アンリの顔を見てギョッとした和史。アンリはあまりの出来事にショックを受けたのか、涙を流していた。だがキスの影響で顔が紅潮し涙を流す姿はなんとも言えないものがあった。
「初めてなのに……こんな無理やりは嫌だ……」
「初めて?」
 泣いては睨みつけるアンリ。そんなアンリに和史は一瞬にして心を奪われたのは言うまでもなかった。
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