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第26話 女帝の秘密
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「え、やる気!? それなら手ぇ貸すわよ、ね? アマクリ!」
「え、ええ? 私も!?」
「ちょ、いやいや、待て待て!」
「タッくん、落ち着け!」
突如宣戦布告をするタックにヴァギヌアやオルガスたちも各々の反応を見せる。
そんな中で……
「はははははは、男でありながら、それだけこのワシに吠えるのは……嫌いではない」
敵意をむき出すタックに対して、フタナリーナはただ残虐な笑みを浮かべるだけ。
「待て、ダーリン……母上に何をする気だ?」
「おい、タッくん!」
流石に母に対する敵意は看過できない、エクスタとオルガスが間に入ろうとする。
だが、その二人の肩に手を置き、フタナリーナは告げる。
「構わん。犬は先に、主人には絶対に逆らえぬという躾をしておくからこそ、従順になる」
タック相手に一切の恐れも、ましてや警戒を見せることも無く、むしろフタナリーナは無防備に両手を広げる。
「さあ、ワシを殺してみよ、男の子。見事殺せたら、世界を変えられるかもしれんぞ?」
「ッ……ッ!」
やれるならやってみろ。本当なら、相手の絶対的な立場と権力に竦んで何も出来ないだろう。
むしろ、やれなかったときは、全てを失うからだ。
だが、相手はタック。
「……なら!」
タックはその手に鉄球を握る。
(この人は……強い。異常な雰囲気にばかり気を取られそうになるけど……身に纏う雰囲気、たたずまい、違う。まずはこの投球で様子を見る!)
そして大きく振りかぶって、全身の力を乗せて一気に解き放つ。
「ムービングファストボールッ!!」
揺れ動く剛速球。
馬鹿正直に真っすぐ投げる。
勿論、タックとてこれで倒せるとも思ってないし、まともに当たるとも思っていない。
ただ、この一球でフタナリーナがどのような反応をするかを見たかっただけだった。
だが……
「……え……?」
「ちょ!?」
「あ……え?」
タック、そしてヴァギヌアとアマクリは顔を青ざめさせた。
無防備に両手を広げたフタナリーナに対し、タックの投げた鉄球が、フタナリーナの左胸、心臓の位置に深々とめり込んで陥没していたのだ。
「……あ、え、ええ? あ、当たっちゃった……」
当ててしまった。タック自身も信じられなかった。
フタナリーナの身に纏う雰囲気や体つきなどから「回避できる」と思っていたからだ。
しかし、現実には当たった。
しかも、誰がどう見ても致命傷の一撃。
だが……
「ダーリン、それではダメだ」
「タッくん……」
フタナリーナの娘であるオルガスとエクスタは特に慌てる様子もない。
すると、次の瞬間、ありえぬ声が響いた。
「球遊びか……おいおいおいおい……もっと進化した技術を見せてくれるかと思ったら、随分と原始的じゃなァ」
「ッ!!??」
陽気に笑うフタナリーナの声。
そして同時にタックが顔を僅かに歪めてその場から飛び退いた。
すると、フタナリーナにめり込んでいた鉄球が弾かれる。
その鉄球には、鋭くとがったものが突き刺さり、亀裂を走らせ、そして次の瞬間には鉄球が粉々に砕け散った。
「そ、そんな、何が……一体……え? ……骨?」
砕かれた鉄球には、真っ赤に染まる刃のようなものが五本も刺さっていた。
それは、鋭く尖っているものの、よく見れば間違いなく人の骨であった。
「ワシは心臓が体内に複数ある。痛覚を遮断すれば、一つ潰れてもなんとも思わん」
「な……」
「ただ、ワシに対して飛び道具を使ったのは正解じゃったな。もし無闇にワシに接近戦を持ち込んでいたら……体内に骨を増やして、鋭くし、刃と変えて予想外の攻撃で切り刻むことなど容易じゃ……その鉄球のようにな」
タックの鉄球を心臓に受け、左胸を陥没させながらも何事も無いかのように笑うフタナリーナ。
そして、その陥没した胸の傷は笑っている間にみるみると元に戻っていく。
「ちょ、な、なによ、これ……ヴぁ、ヴぁけも……」
「こ、こわい……」
――バケモノ
勇んでいたヴァギヌアですらも思わず震え、
「ダーリン、もうやめよ!」
「いくらタッくんでも母上には勝てん! ここでやめろ!」
そして同じく顔を青ざめながらタックを止めようとするエクスタとオルガス。
そんな中でタックは……
(これ……魔法? エルフの生態? 違う……これは――――)
恐怖もあるが、同時にフタナリーナの力を不可解に感じていた。
いかに未開の星、魔法などが存在する世界とはいえ、この力はそれらとは違うものだと、確証はないがそう感じていた。
すると、フタナリーナはそんな戸惑うタックにニヤニヤ笑みを浮かべながら……
「どうした? 銀河戦士とやらはそんなものか?」
「…………え……」
「忘れたか? ワシは触れた者の心を読める。先ほど貴様の頭を撫でた時に読み取った」
「ッ!?」
心を読んだ。
だからこそ、本来ならこの世界の住民にはありえない単語を口にすることができた……というだけではないと、タックは体が震え上がった。
「え? ぎ、ギンガ戦士? なんだ、母上それは?」
「タッくんが、ギンガ? 母上、知っているのか?」
そう、本来ならこれが普通の反応。たとえ、心を読めたとしても、その単語の意味を知らなければこういう反応になる。
しかし、フタナリーナの反応は明らかに……
「以前、我が無二の友でありパートナーである……『ロリユーリ』の心を読み取った時に、その単語が出てきた。あの女が最も恐れる組織だとか戦士だとかとな……」
「ッッ!!??」
そして、そのとき、フタナリーナの口からタックがこの世界にきたそもそもの理由の名前が出てきたのだった。
「え、ええ? 私も!?」
「ちょ、いやいや、待て待て!」
「タッくん、落ち着け!」
突如宣戦布告をするタックにヴァギヌアやオルガスたちも各々の反応を見せる。
そんな中で……
「はははははは、男でありながら、それだけこのワシに吠えるのは……嫌いではない」
敵意をむき出すタックに対して、フタナリーナはただ残虐な笑みを浮かべるだけ。
「待て、ダーリン……母上に何をする気だ?」
「おい、タッくん!」
流石に母に対する敵意は看過できない、エクスタとオルガスが間に入ろうとする。
だが、その二人の肩に手を置き、フタナリーナは告げる。
「構わん。犬は先に、主人には絶対に逆らえぬという躾をしておくからこそ、従順になる」
タック相手に一切の恐れも、ましてや警戒を見せることも無く、むしろフタナリーナは無防備に両手を広げる。
「さあ、ワシを殺してみよ、男の子。見事殺せたら、世界を変えられるかもしれんぞ?」
「ッ……ッ!」
やれるならやってみろ。本当なら、相手の絶対的な立場と権力に竦んで何も出来ないだろう。
むしろ、やれなかったときは、全てを失うからだ。
だが、相手はタック。
「……なら!」
タックはその手に鉄球を握る。
(この人は……強い。異常な雰囲気にばかり気を取られそうになるけど……身に纏う雰囲気、たたずまい、違う。まずはこの投球で様子を見る!)
そして大きく振りかぶって、全身の力を乗せて一気に解き放つ。
「ムービングファストボールッ!!」
揺れ動く剛速球。
馬鹿正直に真っすぐ投げる。
勿論、タックとてこれで倒せるとも思ってないし、まともに当たるとも思っていない。
ただ、この一球でフタナリーナがどのような反応をするかを見たかっただけだった。
だが……
「……え……?」
「ちょ!?」
「あ……え?」
タック、そしてヴァギヌアとアマクリは顔を青ざめさせた。
無防備に両手を広げたフタナリーナに対し、タックの投げた鉄球が、フタナリーナの左胸、心臓の位置に深々とめり込んで陥没していたのだ。
「……あ、え、ええ? あ、当たっちゃった……」
当ててしまった。タック自身も信じられなかった。
フタナリーナの身に纏う雰囲気や体つきなどから「回避できる」と思っていたからだ。
しかし、現実には当たった。
しかも、誰がどう見ても致命傷の一撃。
だが……
「ダーリン、それではダメだ」
「タッくん……」
フタナリーナの娘であるオルガスとエクスタは特に慌てる様子もない。
すると、次の瞬間、ありえぬ声が響いた。
「球遊びか……おいおいおいおい……もっと進化した技術を見せてくれるかと思ったら、随分と原始的じゃなァ」
「ッ!!??」
陽気に笑うフタナリーナの声。
そして同時にタックが顔を僅かに歪めてその場から飛び退いた。
すると、フタナリーナにめり込んでいた鉄球が弾かれる。
その鉄球には、鋭くとがったものが突き刺さり、亀裂を走らせ、そして次の瞬間には鉄球が粉々に砕け散った。
「そ、そんな、何が……一体……え? ……骨?」
砕かれた鉄球には、真っ赤に染まる刃のようなものが五本も刺さっていた。
それは、鋭く尖っているものの、よく見れば間違いなく人の骨であった。
「ワシは心臓が体内に複数ある。痛覚を遮断すれば、一つ潰れてもなんとも思わん」
「な……」
「ただ、ワシに対して飛び道具を使ったのは正解じゃったな。もし無闇にワシに接近戦を持ち込んでいたら……体内に骨を増やして、鋭くし、刃と変えて予想外の攻撃で切り刻むことなど容易じゃ……その鉄球のようにな」
タックの鉄球を心臓に受け、左胸を陥没させながらも何事も無いかのように笑うフタナリーナ。
そして、その陥没した胸の傷は笑っている間にみるみると元に戻っていく。
「ちょ、な、なによ、これ……ヴぁ、ヴぁけも……」
「こ、こわい……」
――バケモノ
勇んでいたヴァギヌアですらも思わず震え、
「ダーリン、もうやめよ!」
「いくらタッくんでも母上には勝てん! ここでやめろ!」
そして同じく顔を青ざめながらタックを止めようとするエクスタとオルガス。
そんな中でタックは……
(これ……魔法? エルフの生態? 違う……これは――――)
恐怖もあるが、同時にフタナリーナの力を不可解に感じていた。
いかに未開の星、魔法などが存在する世界とはいえ、この力はそれらとは違うものだと、確証はないがそう感じていた。
すると、フタナリーナはそんな戸惑うタックにニヤニヤ笑みを浮かべながら……
「どうした? 銀河戦士とやらはそんなものか?」
「…………え……」
「忘れたか? ワシは触れた者の心を読める。先ほど貴様の頭を撫でた時に読み取った」
「ッ!?」
心を読んだ。
だからこそ、本来ならこの世界の住民にはありえない単語を口にすることができた……というだけではないと、タックは体が震え上がった。
「え? ぎ、ギンガ戦士? なんだ、母上それは?」
「タッくんが、ギンガ? 母上、知っているのか?」
そう、本来ならこれが普通の反応。たとえ、心を読めたとしても、その単語の意味を知らなければこういう反応になる。
しかし、フタナリーナの反応は明らかに……
「以前、我が無二の友でありパートナーである……『ロリユーリ』の心を読み取った時に、その単語が出てきた。あの女が最も恐れる組織だとか戦士だとかとな……」
「ッッ!!??」
そして、そのとき、フタナリーナの口からタックがこの世界にきたそもそもの理由の名前が出てきたのだった。
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