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第40話 屈辱
登校したシィーリアスは教室を見渡す。
そして、既に登校していたカイを見つけて駆け寄る。
「おはよう、カイ!」
「…………………」
カイは無視。
「おはよう、カイ!」
「…………………」
「おはよう! 何だ君は、挨拶ぐらいしたらどうなのだ! クラスメートだろう!」
「はぁ、……やれやれ」
頬杖ついて無視するカイ。だが、あまりにもシィーリアスがしつこく食い下がるものなので、溜息吐いてようやくシィーリアスに顔を向けた。
「朝から騒々しい。何の用だ?」
ただ挨拶をしに来ただけではないことはカイも察していた。
なぜなら、シィーリアスが教室に入って早々、カイを探して駆け寄ってきたからだ。
既に登校中のクラスメートたちも因縁の二人の接触に朝からハラハラ。
しかし……
「カイよ、頼みがある! 僕に勉強を教えてくれないだろうか!」
「…………なに?」
それはまさかのお願いだった。
「あら、面白い話をしているじゃない。でも、どうしてかしら? シィーリアスくん。あなた、フォルトたちに勉強を教わるのでは?」
ニコニコしながらジャンヌが寄ってきた。
そして、どこか皮肉を込めて微笑みながら、ジャンヌはシィーリアスと登校してきたフォルトとクルセイナを見る……が……
「あうぅ、ワタクシとしたことが……」
「私としたことが……」
二人は席について、顔を真っ赤にしながら頭を抱えて唸っていた。
「あら? ど、どうしたのかしら、二人とも」
「うむ……二人からは匙を投げられてしまった……」
「え?」
そう、当初はフォルトが勉強を教えるということだったが、それは無理ということになったのだ。
それは、誘惑に負けてハメを外し過ぎて勉強どころではなくなってしまったからだ。
落ち着いた途端に、自分たちが繰り広げた行為に恥ずかしくなって、フォルトとクルセイナはしばらく悶えることになり、そのためシィーリアスとの勉強会は不可能になってしまったのだ。
仮に開いたところで、また同じことをしてしまうという自覚が二人にはあったからだ。
そのため、シィーリアスは自分の勉強を他の者に見てもらわなければいけなくなり、そこでジャンヌには昨日断られたことで、もう一人の満点だったカイに頭を下げていた。
だが……
「貴様……ふざけているのか?」
「え?」
「なぜ自分が貴様なんぞにそんなことをしなければならない! 自分を舐めているのか?」
カイは明らかに怒りを込めて拒絶の態度を見せた。
それもそのはず。
カイにとって、シィーリアスは自分に屈辱を与えた相手である。
この学園のレベルを見下し、目立たないようにしようなどと思っていたカイを、戦闘で圧倒したのだ。
しかもそれだけならまだよかった。
カイにとってもっとも屈辱だったのは、シィーリアスは自分との戦闘や勝利に何とも思っていないこと。
今もこうして平然と勉強を教わりにきたりしている。
そう、カイにとってシィーリアスは謎の存在でありながらも、必ず与えられた屈辱を返さねばならぬ相手。
しかし、シィーリアスにとってはそうではない。
これだけ敵愾心を剥き出しにしている自分にも平然と接してくるということは、つまり、シィーリアスにとってカイは敵だとすら思っていないということだとカイは理解したのだ。
それは敗北以上の屈辱であった。
「舐める? 僕は男女の友情以外でキッスやハグはしないものと思っていたが……ひょっとして君もフォルトやクルセイナのようにペロペロと―――――」
「「シィーーーーーーーーーーーーさん(殿ぉ)!!??」」
次の瞬間、教室の机を高速で飛び越えたフォルトとクルセイナが同時にシィーリアスに飛びついてその口を押えた。
「もごお!?」
「シィーさ~~ん、それは内緒のお約束ですわ~? あと皆さん……ナンデモナイノデオキニナサラズ~」
「シィー殿ぉ、後生だ……そのことは……皆も良いなあ? ナンデモナイノダ」
二人同時に取り乱した姿にクラスメートたちが騒然とするが、二人が途端に微笑みながらも「聞いたら殺す」という殺気の籠った目で皆を睨みつけて、誰もツッコミ入れることができなかったのだった。
そんな中、そんな騒動にカイは溜息を吐き……
「ふん、いずれにせよ失せろ。貴様と関わる気はない」
「な、うう、そうか……ぐぅ……」
改めて拒絶。その際に、しょんぼりとしてしまうシィーリアスにフォルトとクルセイナは胸が痛みながらも、自分たちではまた昨日のようなことになってしまうと自覚しているからこそ、手を差し伸べることができなかった。
すると……
「ん?」
そのとき、教室に入ってきた一人の生徒の姿に気づいたシィーリアスは……
「あ、そうだ! おおい、セブンライト! おはよう!」
「ひっ!?」
それは初日に色々と起こった問題の中に居た、セブンライトであった。
セブンライトは、シィーリアスの姿に怯えた反応を見せる。
一体朝から何なのかと。
すると、シィーリアスは……
「唐突で申し訳ないのだが……小テストでクラス5位と優秀な君に頼みがある! どうだろうか、僕に勉強を教えてくれないだろうか!」
「……え?」
その意外な頼みにポカンとするセブンライト、そしてフォルトたちも驚いた顔を浮かべた。
そして、既に登校していたカイを見つけて駆け寄る。
「おはよう、カイ!」
「…………………」
カイは無視。
「おはよう、カイ!」
「…………………」
「おはよう! 何だ君は、挨拶ぐらいしたらどうなのだ! クラスメートだろう!」
「はぁ、……やれやれ」
頬杖ついて無視するカイ。だが、あまりにもシィーリアスがしつこく食い下がるものなので、溜息吐いてようやくシィーリアスに顔を向けた。
「朝から騒々しい。何の用だ?」
ただ挨拶をしに来ただけではないことはカイも察していた。
なぜなら、シィーリアスが教室に入って早々、カイを探して駆け寄ってきたからだ。
既に登校中のクラスメートたちも因縁の二人の接触に朝からハラハラ。
しかし……
「カイよ、頼みがある! 僕に勉強を教えてくれないだろうか!」
「…………なに?」
それはまさかのお願いだった。
「あら、面白い話をしているじゃない。でも、どうしてかしら? シィーリアスくん。あなた、フォルトたちに勉強を教わるのでは?」
ニコニコしながらジャンヌが寄ってきた。
そして、どこか皮肉を込めて微笑みながら、ジャンヌはシィーリアスと登校してきたフォルトとクルセイナを見る……が……
「あうぅ、ワタクシとしたことが……」
「私としたことが……」
二人は席について、顔を真っ赤にしながら頭を抱えて唸っていた。
「あら? ど、どうしたのかしら、二人とも」
「うむ……二人からは匙を投げられてしまった……」
「え?」
そう、当初はフォルトが勉強を教えるということだったが、それは無理ということになったのだ。
それは、誘惑に負けてハメを外し過ぎて勉強どころではなくなってしまったからだ。
落ち着いた途端に、自分たちが繰り広げた行為に恥ずかしくなって、フォルトとクルセイナはしばらく悶えることになり、そのためシィーリアスとの勉強会は不可能になってしまったのだ。
仮に開いたところで、また同じことをしてしまうという自覚が二人にはあったからだ。
そのため、シィーリアスは自分の勉強を他の者に見てもらわなければいけなくなり、そこでジャンヌには昨日断られたことで、もう一人の満点だったカイに頭を下げていた。
だが……
「貴様……ふざけているのか?」
「え?」
「なぜ自分が貴様なんぞにそんなことをしなければならない! 自分を舐めているのか?」
カイは明らかに怒りを込めて拒絶の態度を見せた。
それもそのはず。
カイにとって、シィーリアスは自分に屈辱を与えた相手である。
この学園のレベルを見下し、目立たないようにしようなどと思っていたカイを、戦闘で圧倒したのだ。
しかもそれだけならまだよかった。
カイにとってもっとも屈辱だったのは、シィーリアスは自分との戦闘や勝利に何とも思っていないこと。
今もこうして平然と勉強を教わりにきたりしている。
そう、カイにとってシィーリアスは謎の存在でありながらも、必ず与えられた屈辱を返さねばならぬ相手。
しかし、シィーリアスにとってはそうではない。
これだけ敵愾心を剥き出しにしている自分にも平然と接してくるということは、つまり、シィーリアスにとってカイは敵だとすら思っていないということだとカイは理解したのだ。
それは敗北以上の屈辱であった。
「舐める? 僕は男女の友情以外でキッスやハグはしないものと思っていたが……ひょっとして君もフォルトやクルセイナのようにペロペロと―――――」
「「シィーーーーーーーーーーーーさん(殿ぉ)!!??」」
次の瞬間、教室の机を高速で飛び越えたフォルトとクルセイナが同時にシィーリアスに飛びついてその口を押えた。
「もごお!?」
「シィーさ~~ん、それは内緒のお約束ですわ~? あと皆さん……ナンデモナイノデオキニナサラズ~」
「シィー殿ぉ、後生だ……そのことは……皆も良いなあ? ナンデモナイノダ」
二人同時に取り乱した姿にクラスメートたちが騒然とするが、二人が途端に微笑みながらも「聞いたら殺す」という殺気の籠った目で皆を睨みつけて、誰もツッコミ入れることができなかったのだった。
そんな中、そんな騒動にカイは溜息を吐き……
「ふん、いずれにせよ失せろ。貴様と関わる気はない」
「な、うう、そうか……ぐぅ……」
改めて拒絶。その際に、しょんぼりとしてしまうシィーリアスにフォルトとクルセイナは胸が痛みながらも、自分たちではまた昨日のようなことになってしまうと自覚しているからこそ、手を差し伸べることができなかった。
すると……
「ん?」
そのとき、教室に入ってきた一人の生徒の姿に気づいたシィーリアスは……
「あ、そうだ! おおい、セブンライト! おはよう!」
「ひっ!?」
それは初日に色々と起こった問題の中に居た、セブンライトであった。
セブンライトは、シィーリアスの姿に怯えた反応を見せる。
一体朝から何なのかと。
すると、シィーリアスは……
「唐突で申し訳ないのだが……小テストでクラス5位と優秀な君に頼みがある! どうだろうか、僕に勉強を教えてくれないだろうか!」
「……え?」
その意外な頼みにポカンとするセブンライト、そしてフォルトたちも驚いた顔を浮かべた。
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