8 / 10
第1章
06 心変わり
しおりを挟む
貧民街の成り立ちを聞いてから、俺はずっとモヤモヤとしていた。
気づけばスラ太郎の周りにはたくさんの子供たちが集まっている。スラ太郎と遊ぶ子供達の笑顔は俺の心を苦しめてくる。
そんな葛藤を感じていると、
「レヴィお姉ちゃん帰ってきた!」
というメルの声が聞こえてきた。
窓から外を見てみると、先ほど街で見た少女、レヴィが子供たちの輪の中心でしゃがんでいた。
先程より近くで見てみると、レヴィは俺と同年代ほどのように見えた。
「お姉ちゃんお帰り!」
「お姉ちゃんも一緒に遊ぼ!」
「見て見てスラえもん!」
子供たちはレヴィに思い思いの言葉を発する。
スラえもん誰だよ。
「よし、じゃあみんなで遊ぼうか!」
「「「うん!!!」」」
みんなに微笑みかけるレヴィ。
そこには、大泥棒と呼ばれるような悪人とは程遠い優しさと愛に満ちた笑顔があった。
それは最後の砦であった『所詮泥棒は泥棒だ』という考えをぶっ飛ばすほどだった。
俺は……。
こんなにも子供達を愛しているレヴィを。親を失ってもなお、元気に懸命に生きているメルを。自分の生活も苦しいだろうに、メルを引き取ったジェイルさんを。
──俺は、更なる暗闇に叩き落とそうとしている……。
それを悟った時、突然自分が恥ずかしくなった。
私利私欲のためだけに、貧民街のみんなを苦しめる。そんなの最低な貴族たちと変わらない。
クエストなんて、別のを受ければいい。
それよりも、この子達の笑顔を、レヴィの笑顔を守ることの方が大事なんだ。
もうクエストの報酬なんてどうでもいいや。
俺は扉を開け、みんなの集まる場所へ合流する。
「あっ! 隼人お兄ちゃん!」
俺を見つけたメルは、嬉しそうに手を振る。
「おーい、お兄ちゃんも混ぜてくれよ!」
「え、あなたあの時の……」
レヴィは驚いた後、怪訝そうな顔で俺を見つめる。
「ま、まぁまぁ、そんなことはいいじゃないの! 今は一緒に遊ぼう! レヴィちゃん? な? さぁドッジボールでもやろうか、みんな!」
「れ、レヴィちゃん……!?」
と、レヴィが顔を真っ赤にしているが、今は気にしない。
子供たちは一斉に首を傾げる。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。どっちぼーるってなーに?」
「なんだ、ドッジないのか、このせか……いや、この地方には!」
子供達は一斉に顔を見合わせる。
レヴィは……少し不機嫌そうだった。
「ドッジボールってのはな……」
俺はルールを説明した。
「どっちぼーる!やる!」
「やりたーい!」
「やるやる!」
「じゃあみんな! じゃんけんして!」
こうして、みんなでドッジボールをした。
……ちなみに、ボールにはスラ太郎を使った。
ドッジボールを終え、泥まみれになった俺とメル。
そんな俺に、「ハヤト殿もシャワーを浴びてきなさい」と、ジェイルさんは言った。
ジェイルさんの服を借り、さらにはご飯まで頂いた。
ジェイルさんの服は少しブカブカだった。
「今日は止まっていきなさい」
と、ジェイルさんは言う。
「へ? いいんですか?」
「どうせ、服はまだ乾かないからな」
そうやってジェイルさんは、ニカッと笑った。
「ありがとうございます」
といい、俺もニカッと笑うのだった。
\( 〇△〇 \ 三/ 〇△〇)/
「……赤鬼くん、人間たちと仲良く暮らしてください。もし、僕が……ってもう寝てるな」
俺はメルのために絵本を作り、読んであげていた。
が、もう23時なので、メルは眠ってしまったようだった。
メルを布団の上に寝かせ、俺も寝ようかなと思っていた時だった。
コンコン。
と、ドアを叩く音がした。
「はいはい」
と、ジェイルさんが扉を開くと、そこにはレヴィが立っていた。
「あ、えーと隼人……だっけ? ちょっと話がある。私の家に来てくれ、この家の向かいにある家だ」
と言うと、すぐに帰っていった。
え、今から?
「ちょっと行ってきます、ジェイルさん」
気づけばスラ太郎の周りにはたくさんの子供たちが集まっている。スラ太郎と遊ぶ子供達の笑顔は俺の心を苦しめてくる。
そんな葛藤を感じていると、
「レヴィお姉ちゃん帰ってきた!」
というメルの声が聞こえてきた。
窓から外を見てみると、先ほど街で見た少女、レヴィが子供たちの輪の中心でしゃがんでいた。
先程より近くで見てみると、レヴィは俺と同年代ほどのように見えた。
「お姉ちゃんお帰り!」
「お姉ちゃんも一緒に遊ぼ!」
「見て見てスラえもん!」
子供たちはレヴィに思い思いの言葉を発する。
スラえもん誰だよ。
「よし、じゃあみんなで遊ぼうか!」
「「「うん!!!」」」
みんなに微笑みかけるレヴィ。
そこには、大泥棒と呼ばれるような悪人とは程遠い優しさと愛に満ちた笑顔があった。
それは最後の砦であった『所詮泥棒は泥棒だ』という考えをぶっ飛ばすほどだった。
俺は……。
こんなにも子供達を愛しているレヴィを。親を失ってもなお、元気に懸命に生きているメルを。自分の生活も苦しいだろうに、メルを引き取ったジェイルさんを。
──俺は、更なる暗闇に叩き落とそうとしている……。
それを悟った時、突然自分が恥ずかしくなった。
私利私欲のためだけに、貧民街のみんなを苦しめる。そんなの最低な貴族たちと変わらない。
クエストなんて、別のを受ければいい。
それよりも、この子達の笑顔を、レヴィの笑顔を守ることの方が大事なんだ。
もうクエストの報酬なんてどうでもいいや。
俺は扉を開け、みんなの集まる場所へ合流する。
「あっ! 隼人お兄ちゃん!」
俺を見つけたメルは、嬉しそうに手を振る。
「おーい、お兄ちゃんも混ぜてくれよ!」
「え、あなたあの時の……」
レヴィは驚いた後、怪訝そうな顔で俺を見つめる。
「ま、まぁまぁ、そんなことはいいじゃないの! 今は一緒に遊ぼう! レヴィちゃん? な? さぁドッジボールでもやろうか、みんな!」
「れ、レヴィちゃん……!?」
と、レヴィが顔を真っ赤にしているが、今は気にしない。
子供たちは一斉に首を傾げる。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。どっちぼーるってなーに?」
「なんだ、ドッジないのか、このせか……いや、この地方には!」
子供達は一斉に顔を見合わせる。
レヴィは……少し不機嫌そうだった。
「ドッジボールってのはな……」
俺はルールを説明した。
「どっちぼーる!やる!」
「やりたーい!」
「やるやる!」
「じゃあみんな! じゃんけんして!」
こうして、みんなでドッジボールをした。
……ちなみに、ボールにはスラ太郎を使った。
ドッジボールを終え、泥まみれになった俺とメル。
そんな俺に、「ハヤト殿もシャワーを浴びてきなさい」と、ジェイルさんは言った。
ジェイルさんの服を借り、さらにはご飯まで頂いた。
ジェイルさんの服は少しブカブカだった。
「今日は止まっていきなさい」
と、ジェイルさんは言う。
「へ? いいんですか?」
「どうせ、服はまだ乾かないからな」
そうやってジェイルさんは、ニカッと笑った。
「ありがとうございます」
といい、俺もニカッと笑うのだった。
\( 〇△〇 \ 三/ 〇△〇)/
「……赤鬼くん、人間たちと仲良く暮らしてください。もし、僕が……ってもう寝てるな」
俺はメルのために絵本を作り、読んであげていた。
が、もう23時なので、メルは眠ってしまったようだった。
メルを布団の上に寝かせ、俺も寝ようかなと思っていた時だった。
コンコン。
と、ドアを叩く音がした。
「はいはい」
と、ジェイルさんが扉を開くと、そこにはレヴィが立っていた。
「あ、えーと隼人……だっけ? ちょっと話がある。私の家に来てくれ、この家の向かいにある家だ」
と言うと、すぐに帰っていった。
え、今から?
「ちょっと行ってきます、ジェイルさん」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる