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第1章
05 貧民街の過去
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メルと共にやってきた貧民街は、始まりの街の西の方にひっそりと存在した。
時刻は夕方近く、西に沈む太陽の光はジャッカスマウンテンというすごく大きな山によって遮られている。
そのせいか貧民街は暗くて、ジメジメしていた。
メルがボロい家の中でも比較的大きめの家の扉を開け、
「父ちゃーん、帰ったよー」
と、叫んだ。
「さ、上がって上がって」
「あ、うん。お邪魔します……」
なぜかメルの家にお邪魔することになっていた。
「おぉ、帰ったかメル。して、その方は?」
メルの父と呼ぶには、少し老けすぎな爺さんが現れた。
「あっどうも、凪 隼人です」
「ハヤトお兄ちゃんはね! レヴィお姉ちゃんを悪いやつから助けてくれたんだよ!」
「レヴィを……そりゃどうもありがとうな。ワシはジェイル、よろしくな」
「いえ、こちらこそ」
普通に感謝されてしまって、少し罪悪感。
「ところで、レヴィさんはどちらにいらっしゃるんですか?」
「レヴィか? まだ帰ってきとらんの」
「えーと、レヴィさんはここで暮らしてるんですか?」
「いや、彼女が暮らしているのはウチの向かいの家じゃよ」
向かいの家ね、なるほどなるほど。
それにしても、メルとジェイルさんはどういった関係なんだろう? ジェイルさんの見た目からして、ただの親子という訳では無いのだろうが……。
「レヴィを助けてもらったお礼じゃ、夕飯でも食べていってくれ」
「あっどうも」
別に助けたわけでもないのにもてなされる上に、15万ゴールドも簡単にゲット出来そうだった。
「お兄ちゃん!遊ぼ!」
メルが膝に抱きついてくる。
「よーし、何して遊ぼうか?」
「うーん……何しようかな……」
「あっそうだ、俺の相棒を紹介するよ」
普段街の中にいる時は、スラ太郎はケージの中に入れている。ケージとは仲間モンスターをシステム内に保管する機能のことだ。
俺はメニューを開き、ペット項目をタップすると、スラ太郎をケージから出した。
「ピキーッ!」
スラ太郎は姿を表すと同時に元気に飛び跳ねる。
「あー! 可愛いー!!! スライムだー!」
メルがスラ太郎に飛び乗る。
「ピキッ!ピキーッ!」
「スラ太郎って言うんだ」
軽く紹介する。
「スラ太郎とお外で遊んでくるね!」
と、スラ太郎とメルは仲良さそうに、外に出て遊び始めた。
って、俺と遊ぶんやないんかーい!
……まぁ楽しそうだからいいか。
メルとスラ太郎がじゃれ合ってる姿は見ていてとても微笑ましかった。
その光景を窓からゆったりと眺めながら、
「ジェイルさん、俺はここら辺に来たばかりで、よく知らないんですが、貧民街というのはなぜ出来たんですか?」
と、気になっていたことを聞いてみた。
突然振られた話に一瞬きょとんとしたジェイルさんだったが、それからすぐに口を開いた。
「んー、ちょいと昔話をしてもよいかの?」
「えぇ」
「200年前のことじゃ。当時のこの街にはまだ支配者が存在した。その年は大雪が降ってな、農作物が育たんかったそうだ。
そのせいで支配者にも市民にもお金がなかった。税金を増やせば、市民の反感を買う。税金を増やさなければ、まともな政策も打ち出せず、またそれも市民の反感を買う。
そこで支配者達はある残酷な事を思いついた。それが貧民街制度じゃ。始まりの街の一部を丸ごと貧民街とし、そこのみから莫大な税金を徴収する。それに逆らったものは問答無用で処刑されたそうじゃ。
それにより多数の市民が笑い、少数の市民が苦しむ社会が形成されて言った。
そして、その悪しき風習は支配者がいなくなった今でも貴族によって綿々と引き継がれておる。と言っても問答無用で処刑、なんてことは無いがな。」
ジェイルさんはふぅ……と軽く息を吐く。
「貴族達はワシらが苦しむのなんか知らんぷりで金を徴収するんだ。そのせいで、メルの両親は病気で亡くなってしまった。ハヤト殿も感じていたじゃろうが、メルはワシの本当の子ではないんじゃよ」
ジェイルさんは悲しそうな顔をした。
「…………」
俺は何も言えなかった。
時刻は夕方近く、西に沈む太陽の光はジャッカスマウンテンというすごく大きな山によって遮られている。
そのせいか貧民街は暗くて、ジメジメしていた。
メルがボロい家の中でも比較的大きめの家の扉を開け、
「父ちゃーん、帰ったよー」
と、叫んだ。
「さ、上がって上がって」
「あ、うん。お邪魔します……」
なぜかメルの家にお邪魔することになっていた。
「おぉ、帰ったかメル。して、その方は?」
メルの父と呼ぶには、少し老けすぎな爺さんが現れた。
「あっどうも、凪 隼人です」
「ハヤトお兄ちゃんはね! レヴィお姉ちゃんを悪いやつから助けてくれたんだよ!」
「レヴィを……そりゃどうもありがとうな。ワシはジェイル、よろしくな」
「いえ、こちらこそ」
普通に感謝されてしまって、少し罪悪感。
「ところで、レヴィさんはどちらにいらっしゃるんですか?」
「レヴィか? まだ帰ってきとらんの」
「えーと、レヴィさんはここで暮らしてるんですか?」
「いや、彼女が暮らしているのはウチの向かいの家じゃよ」
向かいの家ね、なるほどなるほど。
それにしても、メルとジェイルさんはどういった関係なんだろう? ジェイルさんの見た目からして、ただの親子という訳では無いのだろうが……。
「レヴィを助けてもらったお礼じゃ、夕飯でも食べていってくれ」
「あっどうも」
別に助けたわけでもないのにもてなされる上に、15万ゴールドも簡単にゲット出来そうだった。
「お兄ちゃん!遊ぼ!」
メルが膝に抱きついてくる。
「よーし、何して遊ぼうか?」
「うーん……何しようかな……」
「あっそうだ、俺の相棒を紹介するよ」
普段街の中にいる時は、スラ太郎はケージの中に入れている。ケージとは仲間モンスターをシステム内に保管する機能のことだ。
俺はメニューを開き、ペット項目をタップすると、スラ太郎をケージから出した。
「ピキーッ!」
スラ太郎は姿を表すと同時に元気に飛び跳ねる。
「あー! 可愛いー!!! スライムだー!」
メルがスラ太郎に飛び乗る。
「ピキッ!ピキーッ!」
「スラ太郎って言うんだ」
軽く紹介する。
「スラ太郎とお外で遊んでくるね!」
と、スラ太郎とメルは仲良さそうに、外に出て遊び始めた。
って、俺と遊ぶんやないんかーい!
……まぁ楽しそうだからいいか。
メルとスラ太郎がじゃれ合ってる姿は見ていてとても微笑ましかった。
その光景を窓からゆったりと眺めながら、
「ジェイルさん、俺はここら辺に来たばかりで、よく知らないんですが、貧民街というのはなぜ出来たんですか?」
と、気になっていたことを聞いてみた。
突然振られた話に一瞬きょとんとしたジェイルさんだったが、それからすぐに口を開いた。
「んー、ちょいと昔話をしてもよいかの?」
「えぇ」
「200年前のことじゃ。当時のこの街にはまだ支配者が存在した。その年は大雪が降ってな、農作物が育たんかったそうだ。
そのせいで支配者にも市民にもお金がなかった。税金を増やせば、市民の反感を買う。税金を増やさなければ、まともな政策も打ち出せず、またそれも市民の反感を買う。
そこで支配者達はある残酷な事を思いついた。それが貧民街制度じゃ。始まりの街の一部を丸ごと貧民街とし、そこのみから莫大な税金を徴収する。それに逆らったものは問答無用で処刑されたそうじゃ。
それにより多数の市民が笑い、少数の市民が苦しむ社会が形成されて言った。
そして、その悪しき風習は支配者がいなくなった今でも貴族によって綿々と引き継がれておる。と言っても問答無用で処刑、なんてことは無いがな。」
ジェイルさんはふぅ……と軽く息を吐く。
「貴族達はワシらが苦しむのなんか知らんぷりで金を徴収するんだ。そのせいで、メルの両親は病気で亡くなってしまった。ハヤト殿も感じていたじゃろうが、メルはワシの本当の子ではないんじゃよ」
ジェイルさんは悲しそうな顔をした。
「…………」
俺は何も言えなかった。
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