魂の輪廻から外されました

第46話 ギザな男の名前はザギ

「まだ･･･足取りは掴めないのか？」

「申し訳ございません。総力をあげて事に当たっているのですが･･･」



ここは、ルルルール王国。 その王国の中心にそびえ立つ宮殿にて、ギザな男は王の部屋に呼び出されていた。

要件は言わずもがな、消えた三人についてだ


「一つの世界に、天界からの転生者は一人だけ。それがこの世のルールと言うものだ」

真っ白な髭を指で弄りながら、王はギザな男を見る。そして、机の上に置いてある資料を手に取り、話を続ける


「今はまだ、気温が例年より高くなっているだけですんでいる。が、このまま奴を放置すれば この世界はいずれ崩壊を始める」

「はい、分かっています･･･」

「･･･わかっていますじゃねーよばかたれっ！」

グシャグシャ！ぽいっ！

コツン･･･！


「･･･ですから、いま総力をあげて捜索中です。安心してください、全ての街に捜索隊を派遣しています」

「待てども待てども、その報告は来ないではないか！この世界の失態は、管理者である私の責任となる！神様に怒られちゃう！いやだ怖いよぉぉおお！」

「落ち着いてくださいって！あぁもう！そんな歳して子供見たいに喚くな！みっともねぇなぁ！」


ギャーギャー騒ぐ王室。部屋へと通じる長い廊下を、一人の兵士が走っていた


ダッ！ダッ！ダッ！ダッ！


どんどんどん！


「なんだ！入れ！」

「報告いたします！南のはずれにある街、ドウセンにて、刀を持たない侍の目撃情報が！」

「なんだと！」

「王様、捕らえる許可を」

「そんなもん入らん！すぐに向かえ！その場で殺しても構わん、一刻も早く奴をこの世界から消すのだ！」

「了解」



･･･




大勢の兵士が整然と並ぶ中、ギザな男は前に立つ。

じりじりと照りつける太陽が、いつもより強い熱を放っていることに、まだ世界の人々は気づいていない。

しかし、それも数ヶ月経てば、人々ははっきりと感じ取ることになるだろう。世界の異変に


「よーしおまえらぁ。ついに侍の足取りを掴んだ訳だ。わかっていると思うが、目的は侍だ。一般市民には絶対危害をくわえんじゃねーぞ」

【はいっ！】


ギザな男は兵士達を見渡す。強者ばかりで編成。相手は転生者、チートである可能性が高いので、油断はしてはならない。

なにより、俺は1度 奴を逃がしてしまっている。もう同じような失敗は繰り返さない。絶対に殺す。



「じゃー。行くぞ･･･」