堕天使 ～地獄に行かずに異世界に来た～

episode5 堕天使 村に到着する？

森を抜け暫らく歩いていた二人だったが、やっと粗末な柵で囲われた村が見えてきた。

（はぁ、久しぶりに良く歩いたなぁ.....。こんなに歩いたのは何時ぶりだろう？風呂に入ってマッサージしないと、明日は筋肉痛になるよなぁ！？）

「ルシファーさま、あの、その.......。」

リリアは何か言いたげにルシファーの顔を恐る恐る覗いた。

「んっ？リリアよ、どうした？言いたい事が有れば、はっきりと申せ？」

「あっ、は、はい、あの～　ル、ルシファーさまの、その、黒い翼ですが...　か、隠せませんか？　村のみんなが.......驚くと思うので.....ご、ごめんなさい。」

（んっ？　驚く？　俺の翼で驚く？　んんっ？　俺の下僕共が俺の姿を見て驚く？　はぁ？　ここはアケロン地獄じゃ無いのかぁ！？　う～ん？？？？　まぁいいや♪　リリアの目に涙を浮かべた、顔を見ると何か断れないんだよなぁ.......。）

考える事が苦手なルシファーは、リリアの顔を見て「うむ、あい分かった。」と言うと漆黒の翼が光の粒になって消えていった。

「あ、ありがとうございます。ルシファーさま、もう村に着きまｓ....「おーい！無事だったのかぁー？」....。」

村の出入り口から、白髪で白い髭を蓄えた老人が走ってやって来た。

「あっ！ロイ村長～！どうしたんですか？そんなに走ったら体に悪いですよぉ～！？」

「はぁ、はぁ、ぜぇ、ぜぇ、リ、リア、無事、だったのか？　ふぅ、ふぅ、森に、魔物が出たって言っていたから、ぜぇ、ぜぇ、儂は、心配して、はぁ、はぁ、森に向かおうと思ってたんじゃ、ふぅ、ふぅ」

「ロイ村長、大丈夫ですか！？少し落ち着いて下さい！わたしはロイ村長の方が、倒れないか心配ですよ！！」

「ふぅ～　なーに、久しぶりに走ったから、少し息切れがしただけじゃよ！儂は、まだまだ若い者には負けないぞ！ガハハハハ.....　して、横の居る御仁は何方様なのかのぅ？」

「森でゴブリンに襲われてた所を助けてくれた、ルシファーさまです。（ドヤッ）」

ドヤ顔でルシファーを紹介するリリア

「なに？リリア、ゴブリンに襲われたのかい？ケガは無いのか？だから、森の奥に一人で行ってたらダメだって言っただろ！お前に何か遭ったらカリーナに（ブツブツ）.....。はっ！？も、申し訳御座いません。私わたくしは、オルの村で、村長をしております。ロイと申します。ルシファー殿、この度は、リリアを救って頂いて誠に感謝いたします。」

（んっ？オルの村？アケロン地獄には、そんな場所は無かったはず？もしかして、此処はアケロン地獄じゃ無いのか！？.....。くっ、くっ、そうか♪そうか♪あはははは♪）

「愉快♪愉快♪久しぶりに爽快な気分だ♪こんなに歓喜のは何時ぶりだろう♪」

「へっ？る、ルシファーさま、ど、どうしたのですか？」

突然ルシファーの歓喜な姿に戸惑うリリアだった。

「リリア、ロイ、俺は今、非常に気分が良い♪よし、特別に俺の母上と同じ様にルシフェルと呼ぶが良い🎵あっ、そうそう、敬称も必要無いぞ🎵」

「えぇぇ！？そ、そんなぁ！？王様を呼び捨てなんて出来ません！」

「ひぃぃ！る、ルシフェル殿は王様？なのですか？数々の無礼、何卒、何卒、ご、ご容赦下さい。」

リリアは命を救ってくれた恩人を呼び捨てできるはずが無い。との気持ちを主張した。が一方のロイは王様と聞いて、何か不敬が有ったかと戦々恐々していた。

「二人とも面を上げなさい。良いか？よーく聞くがいい！王とは統べる場所世界があり、そこに住む民が居て初めて王と名乗れるのだよ。今の俺は統べる場所地獄も無ければ民部下も居ない。俺はただのルシフェルルシファーだ。」

と言うのは建前で、元々が傲慢七つの大罪なルシファーが、五月蠅い神父ゼウスの居ないこの世界で勝手気儘に振舞えるチャンスを見逃すばず無かった。

「し、しかし、それでは不敬に当たります。せ、せめて、ルシフェル様とお呼びさせて頂けませんでしょうか？お、お願いします。」　ロイは不敬を恐れて懇願した。

「ルシフェル...さま、わたしからも、お願いしｍ「えぇーい！呼び方など、もう、どうでも良い！それより、弟の為に薬草を届けるのだろう？早く行くぞ！」.....はい。」

薬草を届ける為に三人は急いで孤児院に向かった。