堕天使 ~地獄に行かずに異世界に来た~

粗品はカラシ

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episode6 堕天使 現状を知る?

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「歩こぅ~♪歩こぅ~♪俺は元気~♪フンフンフン♪」

孤児院まで歩く三人だが、ルシファーだけは、スキップしそうなほど機嫌が良かった。それもそのはず忌々しいクソ親父が居ないのだから!

「ルシフェル様、ご機嫌のご様子ですね?なにか良い事でもありましたか?」

先ほどまで、不敬を恐れいたロイだが、ルシファーのご機嫌な姿に緊張が解けてきた。

「ロイ村長!お優しいルシフェルさまは、此の薬草でゲティの病を治療出来る事が、嬉しいのですよ!(キラキラ)」

羨望の眼差しを向けるリリア

(んっ?ゲティって誰だ?リリアよ、その眼差しは......止めて!!! リリアの勘違いだって言い........い、言えないよなぁ!?)スゥーっと視線を逸らすルシファー

「お、おう、り、リリアの言う通り、その薬草でゲティ?の病が癒されるのが嬉しいんだよ.......。早く薬草を処方したい!二人とも急ぐぞ!」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

(しかし、この村は貧しいのぅ、畑には農作物が、殆んど実って無いし、人や家畜も痩せ細っているし、建物も俺の鼻息で倒壊しそうだ。森にこんなにも近いのに何か変だぞ?)

キョロキョロと辺りを見ているルシファーは、この村の違和感が何かと考えていた。

「ルシフェルさま、どうしたのですか?なにか珍しい物でもありました?」

リリアは小首を傾げて不思議そうに問いかけた。

「んっ?そうだなぁ.....。この村は森が近いのに、農作物が実らないのか?」

ルシファーは、素朴な疑問をぶつけてみた。

「えっと......そ、そうですね。わたし達も頑張っているけど.......。」

リリアは悲しそうに顔を伏せ消え入る様な声で答えた。

(はっ!?しまったぁーー!?リリアの地雷を踏みぬいたぁーー!?いかん!?いかん!?ど、どんげかせんといかん!!どうすれば?どうすれば?うーん?唸れ~考えろ~俺の灰色の脳細胞!!)

ルシファーは、目を白黒させながらロイの方を向いた。

「いやぁ~.........お恥ずかしいかぎりで、畑も豊作になる様に工夫してますが、何故か?なかなか農作物が実らないのです。どうしたら良いものか?あはははは.......はぁ」

乾いた笑いを伴いながらロイは村の現状を嘆いた。

「そうかぁ.....畑の事は後で考えよう!今は薬草を届けるのが先だ!ほれ、行くぞ!」

ルシファーは何とか誤魔化した?

ほどなくすると朽ち果てそうな教会が見えてきた。

ドッドッドッドッドッ 土煙をまき散らしながら壮年の女性が走ってくる。

「リリアァァァーーー!!何処へ行ってたんだい!!この唐変木ぅぅぅ!!」

「あっ!?お義母さんシスター!?えっとー..... あのー..... あう!? ごめんなさい。」

「ま、まぁまぁ!?か、カリーナ、少し落ちくのじゃ、そ、その.....リリアも反省しとるようじゃし.......「はぁ~!?」(ギロッ)」

ロイはルシファーお客様の手前、カリーナの行動を諫めようとしたが......無理だった様だ

「何処で何をしてたんだい!私や他の子供達がどれほど心配したと思ってるのかい!」

カリーナの目に涙を浮かべてリリアを優しく抱きしめた。

「ううう......ご、ごめんなさい。お義母さんシスター、こ゛め゛ん゛な゛さ゛い゛」

カリーナが怒ってる事に内心、怯えてたリリアだが抱きしめられた事に緊張が解け自然と涙が溢れていた。

(なんだ、この女!?リリアを怯えさせた上に泣かせやがって!抹殺するか!)

二人の様子を見ていたルシファーは、一瞬殺気を漲らせたが女性がリリアを傷つけないと分かって気持ちを落ち着かせた。

「はぁ.....この子は本当に無茶ばっかする子だね。ゲティも心配してるし、さぁー家に帰るよ。おや?そこの御仁は誰さね?」

「んっ?俺か? ゴホン、俺は!森で偶々リリアと出会って此方まで案内をして貰ったのだ。よろしく頼む。」

さっきアケロン地獄の王と名乗った時のロイを思い出したルシファーは、あえて飄々と名乗った。

「ルシフェルさまは、わたしをまも...「はよ、薬草をゲティに投与しなくては!?さぁさぁ皆の者参ろうぞ!!」....?」

リリアがルシファーに魔物から助けて貰った事を伝えようとしたが、何故かロイが遮った。

(はて?ロイは、リリアの話を遮ってまで、何をそんなに焦ってるさね?しかし、可笑しな御仁さね!?禍々しくもあり、神々しくもあり、リリアを見る眼は慈愛に満ちた顔をしておる!?)

一人思案するカリーナはルシファーの後姿を見つめていた。
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