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第七章 進化と万能編
第144話 草原のハナモン(前)
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ユニオン・ギルズのギルとカリーナ、二人の間に子供が産まれるという話を聞いた一同はおめでたい事だと祝うも今後のユニオン・ギルズの事が気になり出していた。
実のところ多くの討伐者は子供が出来たのを機に方向性を変えているのだ。女は当然ながら身重になり出産、子育てに心血を注ぐので討伐者としての活動は休止、もしくは引退だ。男も収入が得られなくなる女を支える必要があるだろう。命の危険を冒さないのは当然だが大きな怪我を負って稼げないようになるのも避けねばならない。つまり難易度の低いクエストしか受けないようになるか、討伐者活動は引退して危険の少ない衛兵としての職に着いたり、他の仕事に従事するようになる傾向がある。もちろん引き続き討伐者として難易度の高いクエストに挑戦する者もいる。どうするかは人それぞれだが子供が産まれるという事はギルとカリーナにとって今後の討伐者としての方向性を考える時でもあるのだ。
サイモンは察したように話し出した。
「しばらく私とタズは二人で倒せそうな難易度の低い近郊のクエストか護衛の依頼を受けるつもりだよ。二人とも新しい武器を手にしたばかりだし慣れる期間と考えれば丁度いいだろう。ギルさんが今後どうするのかはまだ分からないが当面カリーナは討伐者としての活動はできないだろうな。いや、例えカリーナがやると言っても私たちがさせない」
「です! カリーナさんには無事に元気な赤ちゃんを産んで貰って子育て頑張って欲しいですからね!」
「あんたたちの気持ちは十分に分かったわ」
「致し方がない事ですがギルドから依頼があるほどのパーティーが活動休止となると相当な痛手ですね」
「何を言っている、今は君たちがいるだろ? メルクベルの難易度Bのクエストを数件こなせば有力パーティーとして認知されるのは間違いないし、その実力を持っていることも私たちは知っている」
「師匠たちならすぐに頼られるパーティーになっちゃいますよ。
アーマグラスでもそうだったじゃないですか。
それに引き換え私たちの実績の大半はギルさんの実績ですからね~」
「タズ、それを言うな」
「えへへ」
「サイモン、私たちにあんたたちの代わりをやれって言うの?」
「誰かがやらなければならないクエストは間違いなくあるんだ。リーダーであるギルさんが抜けている今の私たちにその役目はできない。押し付けるようで悪いが君たちに期待してはダメか?」
「期待って言われてもねー。他にも有力パーティーは沢山いるでしょ。バムカとかさ。私たちは私たちがやりたいクエストをやるだけよ」
「ははは、それでいいさ。
ロッカは頼まなくても難易度の高いクエストが好きそうだからな」
「フン!」
サイモンさん、正解!
そりゃもう何度も経験済みです。
しかも次に挑むクエストほぼ決まってから伝えられますからね。
サイモンは何やらメモ書きをしてロッカに渡した。
「それは私たちの拠点の場所だ。まぁ、タズの両親がいる実家なんだが。
何か私たちの助力が必要になったときは訪ねて来るといい。君たちには必要ないかもしれないができる範囲でなら協力しよう」
「行くとしたらカリーナの様子見か、出産後に赤ちゃん見に行くくらいかもね」
「是非、来て下さーい」
「ここで会えて良かったよ。ではまたな」
サイモン、タズと別れた後、ロッカはギルドの二階に向かった。さっそく次に挑むクエストの物色に行ったのだろう。バンもロッカを追いかけて二階に向かった。明日以降、挑むクエストの難易度が跳ね上がるのは間違いない。
「ロッカのやつ絶対、難易度Bを選んで来ますよね?
俺たちも見に行きます?」
「僕たちが意見できるのはいつも決まってからなんだよな~。
二人が戻って来るのをもう少し待ってみようよ」
「いきなり難易度AやSを持って来ないことを願うっす」
「それはないだろ。もしバンがロッカの押しに負けてそれ選んで来たら僕たちで何が何でも阻止するよ。いつかやるにしても今じゃない。それなりの準備が必要なのは間違いないし勝算がないと挑んじゃダメなクエストだからね」
しばらく経って戻って来た二人が選んできたクエストは『巨大触手花討伐』難易度はBだった。以前、掲示板を見たときから残ったままのクエストでもある。メルクベル北西の草原地帯に生息しているようなので日帰りはできそうにない場所だ。北側は初心者の討伐者がよく向かう地域だ。知らずにこのモンスターがいる北西側に行ってしまった討伐者が犠牲になっているという情報は記載されているがどのような姿なのかの情報はない。
「得体のしれないモンスター、ワクワクするでしょ?」
「・・・大丈夫かそれ。ずっと残っている時点で何かありそうだけど」
「難易度はBなのでそれなりに強いモンスターでしょうね。
皆さん、準備は入念にお願いします」
◇◇
翌日、巨大触手花討伐へ向かうスレーム・ガング一同が乗る馬車はやたらと速く進んでいた。メルクベルの北門を抜けると更に加速。長期遠征ではないので荷台が軽いこともあるが馬次郎が元気一杯なのだ。
”ブルㇽ・・・”
「久々だから馬次郎張り切ってるわね」
「俺が御者のときだけ自由に振舞うのはそろそろやめて欲しい・・・」
「わはは、何でだろうな? 嫌われてるわけじゃなさそうだけど」
目的地近くの街道沿いにはオドブレイクがある。巨大触手花はそのオドブレイクから西に1時間ほど歩いた場所にある草原地帯を縄張りとしているようだ。
「馬次郎を預けるかどうが迷うところですね」
「馬次郎のモンスター捜索は役に立つけど今回の相手は巨大だから僕たちでもすぐに見つけられると思うよ」
「付近にいるモンスターはそいつだけじゃないわよ。けど、難易度Bのモンスターに馬次郎を近づけるのは危ないわね。預けて行こう」
「分かりました。
草原地帯はかなりの広範囲ですし、一泊してから挑む事にしましょう」
「なんかオドブレイクに立ち寄るのも久しぶりですね」
「ヨゴオートノに向かうとき以来か」
ロッカは手にしている巨大触手花討伐の依頼書を見ながら言った。
「ねぇ? 巨大触手花って名前長過ぎると思わない? 呼び辛いし」
「そう言えば触手持ちのタコとかイカはそのまんま元の名で呼んでいましたね」
「そうね~、う~ん。よし、呼び名は『ハナモン』にしよう」
「ハナじゃないんかい!」
「ハナモンって花のモンスターの略?」
「花の紋様のようでかわいい呼び名ですね」
「何だかやる気が削げる名っす」
「わはは!」
目的地近くのオドブレイクに着くと割と多くの討伐者が来ていた。初心者向けの地域の為か若い人たちが多い。このオドブレイクから街道で更に北側に行くと漁師たちが営む小さな港町がある。魚介類の料理が有名なのでそこに向かって足を運んでいる者が大半だろう。弱いモンスターを倒しながら港町に向かって到着したらご褒美の料理を堪能できるコースといったところだ。掲示板に貼ってあるクエストはほとんどなく剥がされている依頼書ばかりだが西側の草原地帯にはハナモンがいるので入り込まないよう注意書きが貼ってあるようだ。
「ハナモンの注意書きはあるけど依頼書は貼ってないようね。
街道沿いから5km圏内を越えてるってことかな?」
「歩いて1時間は微妙な距離だよな~、それだけで疲れそうだ」
「なんかこの先にある港町の魚介料理が楽しみだって言ってる討伐者いましたね。新鮮な刺身とか食べられるようですけど帰りに寄って行きます?」
刺身が苦手なロッカに即却下された。スイーツ目的なら釣れたかもしれないが刺身目的でロッカは釣れない。バンは少し残念そうにしていた。
実のところ多くの討伐者は子供が出来たのを機に方向性を変えているのだ。女は当然ながら身重になり出産、子育てに心血を注ぐので討伐者としての活動は休止、もしくは引退だ。男も収入が得られなくなる女を支える必要があるだろう。命の危険を冒さないのは当然だが大きな怪我を負って稼げないようになるのも避けねばならない。つまり難易度の低いクエストしか受けないようになるか、討伐者活動は引退して危険の少ない衛兵としての職に着いたり、他の仕事に従事するようになる傾向がある。もちろん引き続き討伐者として難易度の高いクエストに挑戦する者もいる。どうするかは人それぞれだが子供が産まれるという事はギルとカリーナにとって今後の討伐者としての方向性を考える時でもあるのだ。
サイモンは察したように話し出した。
「しばらく私とタズは二人で倒せそうな難易度の低い近郊のクエストか護衛の依頼を受けるつもりだよ。二人とも新しい武器を手にしたばかりだし慣れる期間と考えれば丁度いいだろう。ギルさんが今後どうするのかはまだ分からないが当面カリーナは討伐者としての活動はできないだろうな。いや、例えカリーナがやると言っても私たちがさせない」
「です! カリーナさんには無事に元気な赤ちゃんを産んで貰って子育て頑張って欲しいですからね!」
「あんたたちの気持ちは十分に分かったわ」
「致し方がない事ですがギルドから依頼があるほどのパーティーが活動休止となると相当な痛手ですね」
「何を言っている、今は君たちがいるだろ? メルクベルの難易度Bのクエストを数件こなせば有力パーティーとして認知されるのは間違いないし、その実力を持っていることも私たちは知っている」
「師匠たちならすぐに頼られるパーティーになっちゃいますよ。
アーマグラスでもそうだったじゃないですか。
それに引き換え私たちの実績の大半はギルさんの実績ですからね~」
「タズ、それを言うな」
「えへへ」
「サイモン、私たちにあんたたちの代わりをやれって言うの?」
「誰かがやらなければならないクエストは間違いなくあるんだ。リーダーであるギルさんが抜けている今の私たちにその役目はできない。押し付けるようで悪いが君たちに期待してはダメか?」
「期待って言われてもねー。他にも有力パーティーは沢山いるでしょ。バムカとかさ。私たちは私たちがやりたいクエストをやるだけよ」
「ははは、それでいいさ。
ロッカは頼まなくても難易度の高いクエストが好きそうだからな」
「フン!」
サイモンさん、正解!
そりゃもう何度も経験済みです。
しかも次に挑むクエストほぼ決まってから伝えられますからね。
サイモンは何やらメモ書きをしてロッカに渡した。
「それは私たちの拠点の場所だ。まぁ、タズの両親がいる実家なんだが。
何か私たちの助力が必要になったときは訪ねて来るといい。君たちには必要ないかもしれないができる範囲でなら協力しよう」
「行くとしたらカリーナの様子見か、出産後に赤ちゃん見に行くくらいかもね」
「是非、来て下さーい」
「ここで会えて良かったよ。ではまたな」
サイモン、タズと別れた後、ロッカはギルドの二階に向かった。さっそく次に挑むクエストの物色に行ったのだろう。バンもロッカを追いかけて二階に向かった。明日以降、挑むクエストの難易度が跳ね上がるのは間違いない。
「ロッカのやつ絶対、難易度Bを選んで来ますよね?
俺たちも見に行きます?」
「僕たちが意見できるのはいつも決まってからなんだよな~。
二人が戻って来るのをもう少し待ってみようよ」
「いきなり難易度AやSを持って来ないことを願うっす」
「それはないだろ。もしバンがロッカの押しに負けてそれ選んで来たら僕たちで何が何でも阻止するよ。いつかやるにしても今じゃない。それなりの準備が必要なのは間違いないし勝算がないと挑んじゃダメなクエストだからね」
しばらく経って戻って来た二人が選んできたクエストは『巨大触手花討伐』難易度はBだった。以前、掲示板を見たときから残ったままのクエストでもある。メルクベル北西の草原地帯に生息しているようなので日帰りはできそうにない場所だ。北側は初心者の討伐者がよく向かう地域だ。知らずにこのモンスターがいる北西側に行ってしまった討伐者が犠牲になっているという情報は記載されているがどのような姿なのかの情報はない。
「得体のしれないモンスター、ワクワクするでしょ?」
「・・・大丈夫かそれ。ずっと残っている時点で何かありそうだけど」
「難易度はBなのでそれなりに強いモンスターでしょうね。
皆さん、準備は入念にお願いします」
◇◇
翌日、巨大触手花討伐へ向かうスレーム・ガング一同が乗る馬車はやたらと速く進んでいた。メルクベルの北門を抜けると更に加速。長期遠征ではないので荷台が軽いこともあるが馬次郎が元気一杯なのだ。
”ブルㇽ・・・”
「久々だから馬次郎張り切ってるわね」
「俺が御者のときだけ自由に振舞うのはそろそろやめて欲しい・・・」
「わはは、何でだろうな? 嫌われてるわけじゃなさそうだけど」
目的地近くの街道沿いにはオドブレイクがある。巨大触手花はそのオドブレイクから西に1時間ほど歩いた場所にある草原地帯を縄張りとしているようだ。
「馬次郎を預けるかどうが迷うところですね」
「馬次郎のモンスター捜索は役に立つけど今回の相手は巨大だから僕たちでもすぐに見つけられると思うよ」
「付近にいるモンスターはそいつだけじゃないわよ。けど、難易度Bのモンスターに馬次郎を近づけるのは危ないわね。預けて行こう」
「分かりました。
草原地帯はかなりの広範囲ですし、一泊してから挑む事にしましょう」
「なんかオドブレイクに立ち寄るのも久しぶりですね」
「ヨゴオートノに向かうとき以来か」
ロッカは手にしている巨大触手花討伐の依頼書を見ながら言った。
「ねぇ? 巨大触手花って名前長過ぎると思わない? 呼び辛いし」
「そう言えば触手持ちのタコとかイカはそのまんま元の名で呼んでいましたね」
「そうね~、う~ん。よし、呼び名は『ハナモン』にしよう」
「ハナじゃないんかい!」
「ハナモンって花のモンスターの略?」
「花の紋様のようでかわいい呼び名ですね」
「何だかやる気が削げる名っす」
「わはは!」
目的地近くのオドブレイクに着くと割と多くの討伐者が来ていた。初心者向けの地域の為か若い人たちが多い。このオドブレイクから街道で更に北側に行くと漁師たちが営む小さな港町がある。魚介類の料理が有名なのでそこに向かって足を運んでいる者が大半だろう。弱いモンスターを倒しながら港町に向かって到着したらご褒美の料理を堪能できるコースといったところだ。掲示板に貼ってあるクエストはほとんどなく剥がされている依頼書ばかりだが西側の草原地帯にはハナモンがいるので入り込まないよう注意書きが貼ってあるようだ。
「ハナモンの注意書きはあるけど依頼書は貼ってないようね。
街道沿いから5km圏内を越えてるってことかな?」
「歩いて1時間は微妙な距離だよな~、それだけで疲れそうだ」
「なんかこの先にある港町の魚介料理が楽しみだって言ってる討伐者いましたね。新鮮な刺身とか食べられるようですけど帰りに寄って行きます?」
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