スライムスレイヤー ~イシノチカラ~

亜形

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第七章 進化と万能編

第146話 東からやって来た旋風

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 トウマは地面の土を掘っている。ハナモンが落としているはずの魔石が見当たらないからだ。考えられるのは只一つ。ハナモンの核は球根の下の地中に埋まっていた触手ミミズの根本にあったので落とした魔石も土の中の可能性が高いということだ。

「なんで俺だけ土の中探さなきゃならないんですか~?」
「ハナモン倒したのはトウマなんだから当然でしょ」

「にしても核が地中にあるってよく気づいたな?」
「他に思い当たる場所がなかっただけですよ。
 でもはっきりとした場所までは分からなかったので効果範囲が少しでも広くなるように炎熱剣でブーストかけてました。地中なら炎熱剣使っても焼け野原になる心配はなかったからですね。上手くいって良かったです」
「へ~、そこまで考えて使ったんだ」

「まったく、仕方ないわね。皆で早いとこ魔石探すわよ」

 あれ? 一緒に探してくれるの?
 今日のロッカは機嫌よかったりする?

「難易度Bの割にはあっさり片付いた感じっすね」
「時期が良かったのかもしれませんね。
 もしこの辺りが緑一面だったならヒマワリのモンスターに気づくのが遅れて不意に襲われていたかもしれません」
「そうだな。いきなりヒマワリの種飛ばされてビックリしているところに触手ミミズに吸い付かれたらヤバかったかも」

「あった! 魔石・大です。赤の不純物入り」

「「おー」」

「赤だから真魔玉【赤】の素材ってことか。
 これ換金せずに博士に渡したほうがいいんですかね?」
「魔石は私たちが得た報酬よ。
 毎回魔石渡してたら私たちが全然稼げなくなっちゃうでしょ。
 博士から依頼されたわけじゃないし、そんな気を遣う必要ないわ」
「それもそうか」

「では戻りましょうか?」
「忘れてた~。ここからまた1時間歩くのか~」
「セキトモ、普段は鍛えるとか言ってるでしょ」
「1時間歩いて激しい戦闘してまた1時間歩くって結構キツくない?」
「ははは、セキトモさんが弱音はくなんて珍しいですね」
「急ぐ必要はないのでゆっくり戻りましょう」
「そうしてくれると助かる。
 久しぶりに前に出て緊張感のある戦いだったから少し足にきてるんだ」

 オドブレイクに戻った一同は一泊してメルクベルに戻った。

◇◇

 馴染みのある南門側のギルドに立ち寄って「巨大触手花討伐」の報酬を受け取っていると過去ハナモン挑んだことのある討伐者たちから驚かれた。彼らは善戦はできても結局核の場所が分からずジリ貧になって諦めていたようだ。

【巨大触手花討伐依頼 難易度B】
 討伐報酬 150万エーペル

【魔石換金報酬】
 魔石・大(不純物あり) 1個 16万エーペル
 魔石・小 12個 6万エーペル(道中のモンスター討伐分)

 合計 172万エーペル。
 分け前は一人30万ずつにして、残りはパーティー管理費に回す。

「結構ざわついてますね?」
「難易度Bとはいえ長い期間討伐されていなかったからかな?」

 このクエストの成功一つだけでスレーム・ガングの名が知れ渡り、東大陸での活躍の噂話の尾ひれもついてメルクベルの有力パーティーの一組に名乗りを上げる結果となった。

「私とバンは中央に戻って来ただけなのに『東からやって来た旋風』って評判はおかしくない?」
「まあ、まあ。これは一時的なものだから。
 メルクベルで実績を上げていけば次第によそ者扱いはなくなるだろ」
「俺は素直にうれしいですね。東大陸から来た討伐者も負けてないぞって感じで」
「そうだな」

「帰りに雷神に寄って行きましょうか?
 あれから約3日経ちますのでそろそろ新装備が仕上がっているかもしれません」

◇◇

 雷神に行くとそこにはワイルド・レオの3人が来ていた。

「あれ? お前らも来たのか、ちょうど良かったな。
 俺たちの新装備さっき仕上がったばかりだぞ。これ見てくれよ」

 クルーロが着ているのは半袖、立ち襟のコートのような白い服だ。裾は長く太もも辺りまでありライオンの鬣のような黄金色のラインが入っている。そして両腕には象牙の素材で作った籠手。

「何それ、かっこいいですね!」
「だろ~! この服にも象牙の端材が織り込まれてるんだぜ。
 これなら軽くて動きやすい」
「ボクのも見るにゃ」

 チナが身に着けているのはクルーロと同様の柄で長めのスカーフのような腰巻だ。こちらも象牙の端材が織り込まれていてチェインメイルのような役割ができるようだ。腕に装着できる象牙の素材で作った小ぶりの盾も持っている。

「チナの腰巻かわいいわね」
「ありですね」

「全員おそろの柄にしてもらったんだ。レオの装備はもっとすげえぞ。
 もうすぐ出て来るから待ってろ」

 装備を着けて出て来たレオは象牙のフル装備。白銀色に塗装してあるが黄金色のラインはしっかり入っている。

「うわ~、レオの装備も凄く良さそうじゃん」
「トウマ、これでオレは無敵になったかもしれんぞ」

 レオと一緒に出て来たガライは疲労困憊のようだ。

「こいつらついでに象牙の端材でチェインメイルのような服を作れって、それが一番苦労したわ。端材を極限まで細く伸ばして編み込ませやがったんだぞ。それにどれだけ時間がかかったことか」
「おっちゃんいい仕事するな~、お陰でいい物になったよ! ありがとな~」
「お代はたんまり貰うからな」
「分かってるって~」

 レオが肩当てを外した。

「セキトモ、この肩当てはお前にやる」
「え?! いいの? せっかくの全身装備なのに」
「こいつはオレの剣技の邪魔になりそうだ」

 レオの剛炎剣は上段の構えをとるから肩周りはなるべく開けておきたいってことか。守りより攻撃、レオらしい考え方だな。

「セキトモ、貰うのはいいけど塗装は変えて貰いなさいよ。
 その模様入ってるとワイルド・レオの一員みたいに見えるわ」
「お、それいいね。セキトモこっちに移籍する?」
「ダメですって! セキトモさんは俺たちに必要なんですから」

「セキトモさん、モテモテっすね?」
「わはは、僕なんかを必要としてくれるなんて有難いよ」
「移籍はダメですからね!」

 ワイルド・レオの3人が店を出た後、ガライはスレーム・ガングで頼んだ二足竜の素材を使った装備を持って来てくれた。二足竜の爪で作った籠手はセキトモ用だ。これは二足竜に破壊されたセキトモの籠手を二足竜の素材で作ってやろうとトウマが提案したものである。そして上半身装備と盾。

「あれ? これサイズ小さくないですか?」
「そんな事あるか、バンかロッカには丁度合うはずだぞ」
「うっそ! 俺の装備じゃないの?」
「は? お前の装備を作る素材だったのかよ。
 てっきり消耗しているバンかロッカの装備だと思ってたぜ」
「そう言えば誰の装備用か言ってなかった気がする・・・」
「わはは、トウマの発注ミスだな。これは仕方ない」
「トウマ、ありがとー! それ私とバンで使わせて貰うわ。
 私はねー、この肩当でいいわ。軽いし丈夫そう」
「では私は胸部のほうを頂きますね。トウマさん、ありがとうございます」

「そんな~」
「トウマさん、まだ残ってるっすよ」

 残っているのは爪を使った盾と皮を使った手甲だ。手甲は伸縮性があるので誰でも装着できそうだ。

「この盾は俺が貰いますからね!
 手甲はイズハに使って貰います」
「自分も貰っていいんすか?」
「もちろんだよ。二足竜を一緒に倒したのはイズハだからね。
 あ、でもあげるって言ってもお代はそれぞれで払って下さいよ」

「え~、トウマからのプレゼントじゃないの~?」
「当り前じゃないですか!
 素材提供してお代まで俺が払うってどう考えてもおかしいでしょ」
「わはは! そりゃそうだ」

 結果的にスレーム・ガングの5人全員が二足竜の素材を使った防具を手に入れたのだった。

「せっかくだから私たちも共通の何か入れて貰おうか?
 そうね~、白で風が吹いているような、旋風に見える感じにするのはどう?」
「お、それいいね。僕たちは今『東からやって来た旋風』だからな」

支払った代金は総額300万エーペル。
素材持ち込みだった割にかなりの高額であった。

 先に見積もり出して貰うべきだった・・・。
 金に糸目を付けないで最高の仕上りにしてくれたってことだろうけど危うく一人で全額支払う羽目になるところだったよ。あぶね~。
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