いなくなった伯爵令嬢の代わりとして育てられました。本物が見つかって今度は彼女の婚約者だった辺境伯様に嫁ぎます。

りつ

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9、初夜*

「マリア……」

 僅かな間を置いたのち、ジークハルトがマリアを強く抱きしめた。驚く彼女の顔を上げさせ、口づけする。今までとは違うどこか切羽詰まったものを感じた。唇を何度も性急に触れ合わせて、息継ぎするために開いた口の隙間から舌が入ってきたので、マリアは身体を強張らせた。

「ふ……んんっ……」

 身を引こうとするマリアに、ジークハルトがあやすように背中を撫でてくる。

 自分の舌と彼の舌が触れ合うのが恥ずかしく、舌を引っ込ませようとするが、すぐに彼に捕まえられて咥内をねっとりと舐め回された。

「んっ――ふ、ぁ……はぁ……はぁ……っ」

 ようやく口が離れると、マリアは頭がぼうっとしたままジークハルトに抱き上げられた。寝台へ連れて行かれて優しく寝かされると、彼に覆い被されてまた口を塞がれる。

 苦しくてマリアの目に涙が浮かぶと、ジークハルトが顔を離して指で拭った。

「すまない。苦しかったか」
「ぁ……いえ、だいじょうぶ、です……」

 息も絶え絶えに述べたところで説得力はない。ジークハルトも苦笑いして、すまないとマリアの髪を撫でながらもう一度謝った。

「ゆっくりするから」

 そう宣言すると、涙で濡れた目元や頬に口づけを落としていく。何だかくすぐったくて顔を背けると、今度は首筋に触れられた。

「あ……」

 舌先で舐められて、びくっと身体が震えてしまう。するとジークハルトに頭を撫でられて、謝るように唇の端にキスされた。

 何だか動物の親が子にする仕草に思われて、マリアは少しおかしかった。でも実際そのお陰で少し落ち着いて、身体の力を抜くことができた気がした。

 マリアがそうなるのを待っていたのか、首筋に顔を埋めていたジークハルトはマリアの腕を撫でて胸へと触れた。柔らかな膨らみの大きさを確かめるように掌で包み込まれて、下から掬い上げられる。

 羞恥心に襲われて、自然と掌を彼の手の甲に重ねていた。

「痛いか?」

 小さく首を振る。痛いわけではなかった。

 恥ずかしいからあまり触らないでほしい。そう伝えていいか迷った。閨事はすべて殿方に任せておくようヨゼフィーネから言いつけられており、また彼に自分を求めてほしいと願ったからにはすべてを差し出さなければと思ったのだ。

「少し、くすぐったいだけ、です……続けてください」

 ジークハルトの目を見つめ返しながら頼んだ。

「……わかった」

 ジークハルトはマリアの許可を得て胸への愛撫を再開した。コルセットをつけていないので彼の手の感触をはっきり感じ、お椀型の乳房が形を変えていくのがよくわかった。見ていると変な気持ちになってくるので目を瞑り、声を出さぬよう我慢した。

 ジークハルトは胸を優しく揉んでいたが、腰や太股も撫で始めたので声が出そうになる。

「っ……はぁ……」

 ぴくぴくと反応しながらやり過ごし、大げさに思われない程度に身を捩っていると、夜着の裾が捲れていった。でもマリアは頑なに目を閉じていたので気づかなかった。声を抑えるのに必死でそれどころではなかったのだ。

「……マリア。服を脱がせてもいいか」
「っ……は、はい」

 ついそう返事したが、もう? と思ったマリアはうっすらと目を開ける。

 そんなに激しい動きはしていないのに息が微かに上がっていた。身体も熱い。胸を上下させながらジークハルトを見上げると、彼もまた先ほどと様子が違っているように見えた。

「ジーク、ハルト様……」

 何となく名前を呼べば、身を屈めた彼に口づけされる。間近で見る琥珀色の瞳は熱を持っていた。

 彼の眼差しにマリアの心臓も早鐘を打ち、目をそっと伏せた。

 夜着はリボンを解くと前が開く形になっている。本来ならこの下にシュミーズなどの下着を着るのだが、今日は初夜だからとメイドたちはあえて着せなかった。ウエディングドレスと同じ白色の紐をジークハルトの節くれだった太い指がゆっくりと解いていく。

 胸や太股、ドロワーズを穿いているとはいえ、大事なところも露わになり、マリアは羞恥に耐えるよう手を強く握りしめた。

 ジークハルトの掌が肌に直接触れて、は、と息を吐く。

 胸の膨らみにかかっている布地が払われて、視線を注がれる。ずっと見ているだけで何もされないので、ひょっとすると自分の乳房は他の女性と違うのではないか。

 マリアが気になって、シーツを握りしめていた手で胸を隠そうとしたところで、ジークハルトが胸を揉んできた。それだけでなく、身を屈めて膨らみに口づけしてきたので内心慌てる。

「ジーク、ぁ、んっ……」

 顔にもされたが、胸は何だか卑猥だ。

(恥ずかしい……)

 ジークハルトはわりと執拗に胸を愛撫し続けた。自分よりも年上かつ大人の男性である彼が舌を伸ばして舐めている姿は居たたまれない気持ちになる。

「ん……んっ……」

 舌先で丹念に舐められていくと、やがて平らな膨らみの先端が硬く尖ってきた。ジークハルトはそこに狙いを定めたように舌で懇ろに舐め回してくる。

(そんなに、舐めるの……?)

 マリアの息は乱れて、太股を擦りつけた。少しだけ、待ってほしい。そう思った時。

「あ、ん……」

 舐めていただけのジークハルトが突然強く吸ったのだ。まるで赤子のように。

 赤子に吸われても母親が決して抱かない気持ちをマリアは抱いてしまい、動揺した。

 混乱し始めるマリアを置き去りにしたまま、ジークハルトはさらに吸い上げて、舐めていく。マリアが声を抑えきれなくなるにつれて、舌は生き物のように動きを速めた。

「はぁ、待って、あ、んっ、ジークハルト、さま……っ」

 切羽詰まった声でマリアがジークハルトの肩を押すと、彼はようやく舐めるのをやめて顔を上げてくれた。彼の唾液で乳輪や蕾がてらてらと濡れて光っており、マリアは頬を染めた。

「どうした。痛かったか?」
「い、痛くはありません。でも、そんなにたくさん舐められたら……」

 おかしな気持ちになってしまう、と蚊の鳴くような声で白状した。
 ジークハルトは目元を和らげ、優しい声で答えた。

「おかしな気持ちになっていいんだ。俺も安心する」
「そう、なんですの?」
「ああ。初めてのことで慣れないかもしれないが、怖がらず受け入れてほしい」
「……わかりました。でも、もう、胸は十分ですから」

 もしかするとジークハルトはマリアが何も言わないから満足していないと思い、あんなに舐めたり吸ったりしたのではないか。

 そう思ったマリアがきちんと述べると、くすりと笑われる。

「では、下を触ってもいいかな」

 太股を撫でられて、びくりとする。

 ドロワーズは股の部分を縫い合わせておらず、ジークハルトが手を侵入させても拒めなかった。それでも行き止まりである部位を触られると、怖いと思った。

「マリア、大丈夫だ」

 マリアはしばらくジークハルトを不安な瞳で見つめていたが、やがてこくんと頷く。

 許可を得た彼の指がゆっくりとマリアの陰部を撫でていく。どうしても緊張して身を硬くしていたからか、ジークハルトが身を屈めて口づけしたり、もう十分だと教えた胸の愛撫を繰り返した。

 これは意味があることなのか、頑なに閉じられていた花びらが時間をかけてゆっくりと綻んでいき、微かな水音も聞こえてきた。

「マリア、指を入れるよ」
「はい……」

 マリアは脚を閉じたいのを我慢して、ジークハルトの指を受け入れる。

 濡れているお陰で痛みは感じないが、くちゅくちゅと聞こえてくる音に腰や尻を揺らしてしまう。

(男女の交わりが、こんなに恥ずかしいなんて……)

 何だか自分ばかり曝け出しているようで、少し不公平さを覚える。

 気を紛らわせるためにそんなことを考えていたマリアだが、その間にもジークハルトの指は中に馴染もうと居座り続け、やがてゆっくりと動き始めた。動くと言っても、内側にほんの少し曲げて中を揺らすように振動を与えるだけなのだが……。

「ふ、ぅ……ん……んっ」

 次第にもどかしいような、掻痒感に似た症状を抱く。

「はぁ、ジークハルト様、わたし、何だかおかしく、なりそうです」
「それでいいんだ」

 ぴちゃぴちゃと恥ずかしい音を立てながらジークハルトが言う。

 それでもマリアが不安そうな顔をしていたから、彼は指を抜いて、また蜜口をなぞりはじめた。彼の指はマリアの蜜で濡れており、最初とは違う感じがする。

「ん、んっ……ぁ、そこっ」

 触れる場所も花びらだけでなく、どちらかというと小さな蕾を重点的に弄ってくる。

「ここは嫌か?」
「んっ、だめ、じゃない、です、でも、あっ……」

 なぜかみだりがましい気持ちになってくる。直接見てはいないが、突起も大きく膨らんでいる気がする。マリアの心に反応するように。

「ジークハルト様、待って、怖い」

 追いつめられるようで、何かがきそうで、マリアはジークハルトの腕を掴んだ。彼はやめてくれず、むしろ先ほどよりも押しつぶすようにして蕾に刺激を与えてくる。

「あっ、やだっ、だめっ」
「そのまま受け入れて」
「ん、んっ……っ――……」

 マリアはとっさに口元を手で押さえて腰を浮かせた。ピンと脚が伸びてつりそうなほど力が入る。

 限界まで到達し、次第にゆっくりと張りつめた筋肉が弛緩していく。とても疲れてしまって、マリアはそのままぐったりと寝台に沈んだ。

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