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1・白と黒
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戦場でのサムは、高台で涼しい顔をして見物をする。
そして、俺に酷評をするんだからいい身分だ。
だが……俺ももう戦に出ることもないだろう。
長い戦が終わりようやく、この国にも平穏な日々が訪れようとしたいたのだ。
伯爵という身分である俺は、戦が終わったとたんに見合い話が舞い込むようになった。
両親にしつこく言われ、連れ出され舞踏会やらお茶会に顔を出す事も多くなったが、サムと、違ってこんな無骨な容姿はご婦人たちからは恐れられるようで、華やかな場での俺の居場所はテラスとなっていた。
サムは羽飾りを沢山つけたご婦人がたよりも美しかった。
金色の髪が風に揺れる度に甘く優しい香りがする。
どこのご婦人がこんなに素敵だろうか?
俺はサムより美しいブロンドの女を見たことはなかった。
サムは華やかな場所が好きで、そしてそんな場がよく似合う。
でも、いつも微笑みながらワインで頬を染めて俺の傍にいた。
「サム……俺から離れて楽しんで来ていいんだぞ」
そう言う度に呆れたように笑ってワインをあおった。
「何言ってるんだよ、ボクがいないとダメなくせに」と白い歯を見せる。
そう、サムの言う通り俺はひとりではこんな場所にはいられないのだ。
「ジェイ様は男色家って噂でしてよ」
「あら、どちらも、いけるくちと伺いましたわ」
「あら、まあ! ほほほ」
「ほほほ! それはそれで甘美な光景じゃありませんこと?」
「ほほほ!」
などと、下世話でどうでも良い噂が一人歩きをする。
そもそも、伺いましたわ! なんて、ダレに伺ったのか聞きだいものだ。
一体俺の何を知っているのだろうか?
サムはそんな貴族の娘たちを見て大きなため息をついて言う「金とエッチの事しか頭にない、貴族のバカ娘なんか相手にする必要はないさ。ジェイには、もっといい女がいる」
一体どこにそんな女がいるのだろうかと失笑しながら、ワインを煽る。
苦手な舞踏会もサムのお陰で顔を出すことだけは出来ていたのだ。
俺はゴツゴツとした自分の手を見つめて小さくため息をついた。
「ジェイは? 平気?」
「ああ、少し……足が痛む。捻ったようだ」
「……ボクのせいだ、ごめんよ」
「大丈夫だ、このくらい」
コンコンとドアがノックされた。
俺はサムを見るとゆっくりと返事をする。
「……はい?」
「お目覚めになられましたのね! よかったわ! 起きあがっても平気でして?」
「ああ、大丈夫のようだ。一瞬くらっとしたがもう平気だ」
「まあ! よかったわ。ご気分はいかがでして?」
ドアを開けながら微笑んだ女はとても美しかった。
……いや、美しいと言うよりも可愛らしいとか可憐だというほうが正しいかも知れないと思っているとサムが寄って来る「な? 綺麗だよな」ふんふんと値踏みをするように腕を組んで俺の横に立った。
「気分……悪くない。失礼だが、ここは」
「ここは、街外れにございます私の家……父がお医者をしておりますの。……偶然川釣りを愉しんでおりました父が中州に倒れている騎士様を見つけて運びましたの」
「それは申し訳ないことをした」
彼女は微笑むと、カーテンを開けた。
そして、俺に酷評をするんだからいい身分だ。
だが……俺ももう戦に出ることもないだろう。
長い戦が終わりようやく、この国にも平穏な日々が訪れようとしたいたのだ。
伯爵という身分である俺は、戦が終わったとたんに見合い話が舞い込むようになった。
両親にしつこく言われ、連れ出され舞踏会やらお茶会に顔を出す事も多くなったが、サムと、違ってこんな無骨な容姿はご婦人たちからは恐れられるようで、華やかな場での俺の居場所はテラスとなっていた。
サムは羽飾りを沢山つけたご婦人がたよりも美しかった。
金色の髪が風に揺れる度に甘く優しい香りがする。
どこのご婦人がこんなに素敵だろうか?
俺はサムより美しいブロンドの女を見たことはなかった。
サムは華やかな場所が好きで、そしてそんな場がよく似合う。
でも、いつも微笑みながらワインで頬を染めて俺の傍にいた。
「サム……俺から離れて楽しんで来ていいんだぞ」
そう言う度に呆れたように笑ってワインをあおった。
「何言ってるんだよ、ボクがいないとダメなくせに」と白い歯を見せる。
そう、サムの言う通り俺はひとりではこんな場所にはいられないのだ。
「ジェイ様は男色家って噂でしてよ」
「あら、どちらも、いけるくちと伺いましたわ」
「あら、まあ! ほほほ」
「ほほほ! それはそれで甘美な光景じゃありませんこと?」
「ほほほ!」
などと、下世話でどうでも良い噂が一人歩きをする。
そもそも、伺いましたわ! なんて、ダレに伺ったのか聞きだいものだ。
一体俺の何を知っているのだろうか?
サムはそんな貴族の娘たちを見て大きなため息をついて言う「金とエッチの事しか頭にない、貴族のバカ娘なんか相手にする必要はないさ。ジェイには、もっといい女がいる」
一体どこにそんな女がいるのだろうかと失笑しながら、ワインを煽る。
苦手な舞踏会もサムのお陰で顔を出すことだけは出来ていたのだ。
俺はゴツゴツとした自分の手を見つめて小さくため息をついた。
「ジェイは? 平気?」
「ああ、少し……足が痛む。捻ったようだ」
「……ボクのせいだ、ごめんよ」
「大丈夫だ、このくらい」
コンコンとドアがノックされた。
俺はサムを見るとゆっくりと返事をする。
「……はい?」
「お目覚めになられましたのね! よかったわ! 起きあがっても平気でして?」
「ああ、大丈夫のようだ。一瞬くらっとしたがもう平気だ」
「まあ! よかったわ。ご気分はいかがでして?」
ドアを開けながら微笑んだ女はとても美しかった。
……いや、美しいと言うよりも可愛らしいとか可憐だというほうが正しいかも知れないと思っているとサムが寄って来る「な? 綺麗だよな」ふんふんと値踏みをするように腕を組んで俺の横に立った。
「気分……悪くない。失礼だが、ここは」
「ここは、街外れにございます私の家……父がお医者をしておりますの。……偶然川釣りを愉しんでおりました父が中州に倒れている騎士様を見つけて運びましたの」
「それは申し訳ないことをした」
彼女は微笑むと、カーテンを開けた。
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