シニカルロマネスク

成宮まりい

文字の大きさ
4 / 22
1・白と黒

しおりを挟む
「……そうだな……16か、そのくらいではないか? すまん、ご婦人の年齢など考えたこともないので目安もたたぬのだが」


彼女は恥ずかしそうに頬を染める。


「来月で18になりますの……18にもなる娘が、嫁にも行かずもらい手もなく医者の真似事をしていると世間様で笑われておりますわ」


サムは俺の耳元で「18で美人で処女だ! ヤバいね、ジェイ、よだれ出ちゃう? そんでもってボクのニアピン賞だ!」と笑った。

「……18か。俺も来月で20になる」

「まあ、お誕生日が来月なんて奇遇ですわね」

「ああ、奇遇だな」

リリーはうれしそうに笑った。

そのリリーと俺を見ながらサムは愉しげに笑うと子供のように足をバタつかせて「奇遇だってさ、どうする? 奇遇じゃなくて奇跡です! 運命です。って言ってやれば?」と言った。


彼女は、はっとしてテレた様に笑うと首を傾げた。


「ええっと……お茶持って参りますわね」

「ああ……頼む」

パタリとドアが閉まるとサムはどすんとベッドに腰掛けて俺の頬に口づけをした。


「やめろ、サム」


「ジェイ、赤いよ? 戦場では勇敢な騎士様も好みの女の前ではただの男だな」

「……やめろ」

「好みだろ? 金色のサラサラした髪に華美過ぎないドレス、おっとりとした喋り方」

「黙ってろ」

「ははは! 図星だな、助けられたのがこの家でラッキーだ! そういやこの前やった女は? どこが好みだったの? ああ、あれは性欲解消の為だったね、男って出すもの出さないとね」

「ほっといてくれ」

サムは豪快に笑って俺にもたれ掛かる。

いつだってサムはこうして傍にいる。


俺はそれでいいと思っていたし、この先もそうなのだろうと何の違和感もなく思っていたのだ。


ドアが軽快にノックされリリーがお茶を運んできた。

 俺がベッドから降りて椅子に腰掛けると、さっとクッションが背もたれと体の間に挟まれた。

サムも踊るようにやってくると嬉しそうに腰掛ける。


「ずっと、寝ていらしたからこのほうがラクかと」

「すまない」

「へえ、気が利くぅ」と、サムはメモを取る真似をしながら言った。


趣味の良いティーポットから揃いのカップに品のいい香りのするお茶が注がれた。


「私がブレンドしたお茶ですの、どうぞ……おくちに合えば良いのですが」

彼女がそういうか早いかサムがお茶を覗き込んで大きく息を吸い込んだ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...