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〈故郷の歌〉後編
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「特殊な飛行機?……で過去にも未来にも行けるなんて素敵! 過去で昔の仲間を救う話も感動したけど、未来の病院で出会う宗像先生と親友になる話も感動したわ」
「そ、その先生は僕の尊敬する緒方洪南先生がモデルなんだ」
「謎解きも面白かったけど、何と言っても主人公の最後の台詞……一番感動して何度も泣いて、この言葉を全国の人に伝えたいって思った」
「あれはヒロが考えた台詞なんだ! 僕は変える事も提案したんだけど、どうしてもこれがいいからって……な、ヒロ?」
ヒロは純子ちゃんに褒められて嬉しくて堪らないはずなのに、ソッポを向いてすましていた。
相変わらず素直じゃないやつだ……
「二人ともありがとう! お礼にウサギが出てくる歌を歌います! 離れていても私の歌、思い出してね?」
そう言うと純子ちゃんは、歌詞の最初にウサギが出てくる『故郷』の歌を歌ってくれた。
いつものように天使が舞い降りたような歌声だったが……
歌っている途中、珍しく何度も声が震えていた。
~~~~~~~~~~
うさぎ追いし かの山
小鮒つりし かの川
夢は今も めぐりて
忘れがたき 故郷
いかにいます 父母
恙なしや 友がき
雨に風に つけても
思いいずる 故郷
こころざしを 果たして
いつの日にか 帰らん
山は青き 故郷
水は清き 故郷
~~~~~~~~~~
純子ちゃんは泣くのを我慢しながら、立派に最後まで歌いきった。
僕も泣きそうになったが、必死に我慢した。
「純子ちゃん、ありがとう。向こうに行ってもこの歌を思い出して頑張るよ! 『故郷』は本当にいい歌だよね……日本人の心に染みるっていうか……」
「本当よね……この歌の作詞をしたのは源次さんと同じ名字の高田さんていうのよ? 作曲は岡田さん……て、光ちゃん大丈夫?」
ヒロはずっと下を向いていて、暫くなぜか大人しかったが……
突然顔を上げたと思ったら、珍しく号泣していた。
ヒロが泣いたのを見たのは、これが初めてだった。
「純子~! ほんまにありがとう~! なんや嬉しくて何かが込み上げて来て……天国に行きかけたわ」
「いやダメじゃない……行かないで、天国」
「ブッ……アッハッハッハ、二人の夫婦漫才、久し振りに見たよ」
「夫婦ちゃうわ~」「夫婦じゃない~」
僕達三人は本当に久し振りに心から笑った。
それから珍しくヒロが標準語になって……
「手紙書くよ……必ず」
「本当? 筆不精だから信じられないわ~年賀状出すのも面倒臭がってたじゃない」
「いいや必ず送る……楽しみに待っとけ」
「ヒロって真剣に何か言う時だけ標準語になるよね~僕も送るね? あと純子ちゃん、本当にありがとう……今の歌を聞いて決めたよ。土浦に向かう途中で母さんに会ってくる」
「二人とも行ってらっしゃい! 必ず帰ってきてね? 帰ってきたらウサギの人形達も一緒に、揃って三人でまた写真を撮りましょう?」
前回と同じように御茶ノ水駅で見送られた僕達二人は、土浦に向かう途中の駅で降りて埼玉の僕の実家に向かい……帰るなりヒロの事を「親友」と紹介すると、母さんは本当に嬉しそうに笑った。
相変わらず人たらしのヒロは母さんとすぐに仲良くなって、母さんはヒロのくだらない冗談に大笑いしていた。
母さんのそんな顔を見るのは本当に久し振りだった。
僕達は平井くんと待ち合わせをして三人で土浦海軍航空隊の門をくぐった。
その先にどんな過酷な運命が待ち受けているのかも知らずに……
「そ、その先生は僕の尊敬する緒方洪南先生がモデルなんだ」
「謎解きも面白かったけど、何と言っても主人公の最後の台詞……一番感動して何度も泣いて、この言葉を全国の人に伝えたいって思った」
「あれはヒロが考えた台詞なんだ! 僕は変える事も提案したんだけど、どうしてもこれがいいからって……な、ヒロ?」
ヒロは純子ちゃんに褒められて嬉しくて堪らないはずなのに、ソッポを向いてすましていた。
相変わらず素直じゃないやつだ……
「二人ともありがとう! お礼にウサギが出てくる歌を歌います! 離れていても私の歌、思い出してね?」
そう言うと純子ちゃんは、歌詞の最初にウサギが出てくる『故郷』の歌を歌ってくれた。
いつものように天使が舞い降りたような歌声だったが……
歌っている途中、珍しく何度も声が震えていた。
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うさぎ追いし かの山
小鮒つりし かの川
夢は今も めぐりて
忘れがたき 故郷
いかにいます 父母
恙なしや 友がき
雨に風に つけても
思いいずる 故郷
こころざしを 果たして
いつの日にか 帰らん
山は青き 故郷
水は清き 故郷
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純子ちゃんは泣くのを我慢しながら、立派に最後まで歌いきった。
僕も泣きそうになったが、必死に我慢した。
「純子ちゃん、ありがとう。向こうに行ってもこの歌を思い出して頑張るよ! 『故郷』は本当にいい歌だよね……日本人の心に染みるっていうか……」
「本当よね……この歌の作詞をしたのは源次さんと同じ名字の高田さんていうのよ? 作曲は岡田さん……て、光ちゃん大丈夫?」
ヒロはずっと下を向いていて、暫くなぜか大人しかったが……
突然顔を上げたと思ったら、珍しく号泣していた。
ヒロが泣いたのを見たのは、これが初めてだった。
「純子~! ほんまにありがとう~! なんや嬉しくて何かが込み上げて来て……天国に行きかけたわ」
「いやダメじゃない……行かないで、天国」
「ブッ……アッハッハッハ、二人の夫婦漫才、久し振りに見たよ」
「夫婦ちゃうわ~」「夫婦じゃない~」
僕達三人は本当に久し振りに心から笑った。
それから珍しくヒロが標準語になって……
「手紙書くよ……必ず」
「本当? 筆不精だから信じられないわ~年賀状出すのも面倒臭がってたじゃない」
「いいや必ず送る……楽しみに待っとけ」
「ヒロって真剣に何か言う時だけ標準語になるよね~僕も送るね? あと純子ちゃん、本当にありがとう……今の歌を聞いて決めたよ。土浦に向かう途中で母さんに会ってくる」
「二人とも行ってらっしゃい! 必ず帰ってきてね? 帰ってきたらウサギの人形達も一緒に、揃って三人でまた写真を撮りましょう?」
前回と同じように御茶ノ水駅で見送られた僕達二人は、土浦に向かう途中の駅で降りて埼玉の僕の実家に向かい……帰るなりヒロの事を「親友」と紹介すると、母さんは本当に嬉しそうに笑った。
相変わらず人たらしのヒロは母さんとすぐに仲良くなって、母さんはヒロのくだらない冗談に大笑いしていた。
母さんのそんな顔を見るのは本当に久し振りだった。
僕達は平井くんと待ち合わせをして三人で土浦海軍航空隊の門をくぐった。
その先にどんな過酷な運命が待ち受けているのかも知らずに……
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