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巡る、、会いに行く。
しおりを挟む人が天地の間に生きているのは、ちょうど白馬が走り去るのを戸の隙間から覗き見るようなもので、ほんの一瞬に過ぎないのだ。
五月のあなたに会いに行く。
青々とした伸びやかな深呼吸を眺める。
大地の存在する喜びを踏みしめ、褐色に焼けながら空を飛ぶあなた。
六月のあなたに会いに行く。
しとしとと静かに悲しむあなたは美しい。
万物に慈愛の心を捧げるあなた。
七月のあなたに会いに行く。
あなたは空の上に行こうとする。
流れる星を横目に、一等星より輝く。
しかし月は邪魔しないあなた。
八月のあなたに会いに行く。
燃える大地を遠くで眺めるあなた。
灯火を燃やし尽くさんとばかりに叫ぶあなた。
その熱に心打たれる。
九月のあなたに会いに行く。
落ち着きのある、ゆったりとした時間が流れる。
落ち葉が落ち、風に舞うのだけを眺め、微笑むあなた。
十月のあなたに会いに行く。
神のいない地上を眺める。
荒廃した土地を無表情で見つめるあなた。
儚い夢のような、美しさよ。
十一月のあなたに会いに行く。
霜と共にここへ降り、朝日が昇ると空に戻ろうとする。
どんどん白く、淡くなるあなた。
十二月のあなたに会いに行く。
狭い、白い世界の真ん中で。
全ての熱を飲み込み、それでも尚冷めたりぬと、冷たくなるあなた。
そのれい気に僕は身を震わせる。
一月、僕は新世界を傍観する。
二月、僕は雪崩を見つめる。
三月、僕は温もりを笑う。
四月、僕は花の大地を飛び立つ。
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ありがとうございます!!
綺麗
ありがとうございます!!