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第17章
第2話(2)
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「どこか痛いところはない? 苦しいとこは?」
躰を離して自分の着ていたスーツの上着を素肌に着せかけると、如月は熱っぽく潤んだ眼差しで群司を見上げた。赤く上気した頬。薄く開いた口から繰り返される、浅く短い呼吸。
「琉生さん、身体、どっかおかしいところある? 舞台の上で、なにか飲まされたでしょ」
「か、だ……つい……」
「え?」
「からだ、あつい……」
如月は縋るように群司の二の腕をそっと掴んだ。その手が、かすかにふるえていた。
額から頬にかけて触れるとたしかに微熱があるようだが、それとは別に、頼りなげに自分を見つめる眼差しの中に、ある種独特の熱を孕んでいた。身体を重ねたからこそはっきりとわかる、特有の色香。如月は、発情しているのだと理解した。
ふと見ると、薄い布に覆われた下腹部がかすかに反応している。群司が手を伸ばして触れると、如月は顔を真っ赤にしてビクッとふるえた。
「やっ、ダメッ」
弱々しく抗おうとする躰を引き寄せる。
「琉生さん、大丈夫だから逃げないで。いま、いちばんつらいのはここ? ほかに変なとこない? 舞台でなんの薬飲まされたかわかる?」
「わ、わかんな……」
「あのね、落ち着いて聞いて?」
群司は如月の肩に手を置くと、まっすぐにその顔を覗きこんだ。
「あの舞台で行われていたのは、事前に捕らえておいた人間に即効性のあるフェリスを飲ませて、その効力がどれほどのものかを観客の前で披露すること。見世物にされたひとりめは、細身の成人男性でした。それがわずか数十秒で鍛え抜かれた格闘家を凌駕する体型になって、試合とは到底言えないワンサイドゲームを繰り広げることになった。実験台にされたのは、藤川です」
群司の言葉に、如月は息を呑んだ。
「それからその次に予定されていたのは、フェリスの力を使って成人男性をその場で女性化させて、複数の男たちでその躰を弄ぶこと。標的にされたのがだれか、わかりますよね?」
群司が問いかけると、如月は口唇を戦慄かせた。
「被験者には、併せて催淫性のある薬も服用させるという話でしたから、いま琉生さんの身体がつらいのは、そっちの影響なのかなって思うんだけど、どこかに違和感とか痛みとか、ありますか? とくに下腹部」
「よく、わかん、ない……。からだ、痺れてて、自分のじゃないみたいで……」
不安げな様子を見せる如月の背中を、群司は引き寄せてそっと撫でた。
「そのまえから薬を盛られていたことは間違いないから、あとできちんと医療機関で診てもらいましょう。でもそのまえに、琉生さんの身体に異変がないか、俺が確認してもいい?」
尋ねると、如月は泣きそうな顔で口唇を噛みしめる。その額に、群司は励ますように口づけた。
「大丈夫。なにがあったとしても、俺が必ず治してみせるから」
どんなことがあっても絶対に守ると断言する群司に、如月は意を決したように頷いた。
躰を離して自分の着ていたスーツの上着を素肌に着せかけると、如月は熱っぽく潤んだ眼差しで群司を見上げた。赤く上気した頬。薄く開いた口から繰り返される、浅く短い呼吸。
「琉生さん、身体、どっかおかしいところある? 舞台の上で、なにか飲まされたでしょ」
「か、だ……つい……」
「え?」
「からだ、あつい……」
如月は縋るように群司の二の腕をそっと掴んだ。その手が、かすかにふるえていた。
額から頬にかけて触れるとたしかに微熱があるようだが、それとは別に、頼りなげに自分を見つめる眼差しの中に、ある種独特の熱を孕んでいた。身体を重ねたからこそはっきりとわかる、特有の色香。如月は、発情しているのだと理解した。
ふと見ると、薄い布に覆われた下腹部がかすかに反応している。群司が手を伸ばして触れると、如月は顔を真っ赤にしてビクッとふるえた。
「やっ、ダメッ」
弱々しく抗おうとする躰を引き寄せる。
「琉生さん、大丈夫だから逃げないで。いま、いちばんつらいのはここ? ほかに変なとこない? 舞台でなんの薬飲まされたかわかる?」
「わ、わかんな……」
「あのね、落ち着いて聞いて?」
群司は如月の肩に手を置くと、まっすぐにその顔を覗きこんだ。
「あの舞台で行われていたのは、事前に捕らえておいた人間に即効性のあるフェリスを飲ませて、その効力がどれほどのものかを観客の前で披露すること。見世物にされたひとりめは、細身の成人男性でした。それがわずか数十秒で鍛え抜かれた格闘家を凌駕する体型になって、試合とは到底言えないワンサイドゲームを繰り広げることになった。実験台にされたのは、藤川です」
群司の言葉に、如月は息を呑んだ。
「それからその次に予定されていたのは、フェリスの力を使って成人男性をその場で女性化させて、複数の男たちでその躰を弄ぶこと。標的にされたのがだれか、わかりますよね?」
群司が問いかけると、如月は口唇を戦慄かせた。
「被験者には、併せて催淫性のある薬も服用させるという話でしたから、いま琉生さんの身体がつらいのは、そっちの影響なのかなって思うんだけど、どこかに違和感とか痛みとか、ありますか? とくに下腹部」
「よく、わかん、ない……。からだ、痺れてて、自分のじゃないみたいで……」
不安げな様子を見せる如月の背中を、群司は引き寄せてそっと撫でた。
「そのまえから薬を盛られていたことは間違いないから、あとできちんと医療機関で診てもらいましょう。でもそのまえに、琉生さんの身体に異変がないか、俺が確認してもいい?」
尋ねると、如月は泣きそうな顔で口唇を噛みしめる。その額に、群司は励ますように口づけた。
「大丈夫。なにがあったとしても、俺が必ず治してみせるから」
どんなことがあっても絶対に守ると断言する群司に、如月は意を決したように頷いた。
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