フェリシアン・シンドローム

九條 連

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エピローグ

第1話

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「課長、先日の聴取のまとめ、ご確認お願いします」
「ああ、うん。ご苦労さま」

 如月の提出した書類を受け取った上司は、にっこりとした。

「もうまとまったの? 相変わらず仕事が早いね」
 言ったあとで、ところで、と切り出した。

「今日から入省する新人、ひとり君の係に入れるから、指導、よろしく頼むね」
「はい。あの、でも人定の詳細、まだいただいてないんですけど」
「うん。僕のところで止めてある。来てからのお楽しみってことで」

 ますます満面の笑みで言われて、如月は首をかしげた。

「入省式終わったら顔出すと思うから、面倒見てあげてね」
「あ、はい……」

 なおも腑に落ちない顔をしている如月に、彼の直属の上司である立花は意味深な表情を浮かべて含み笑いを漏らした。
 そしてその一時間後。



 入省式を無事終えて、配属部署にやってきた新規採用職員の姿を見るなり、如月は薄茶の双眸を見張って絶句した。

「本日付で厚生労働省麻薬取締部、フェリス特別捜査本部勤務を拝命いたしました群司と申します。至らない点も多く、ご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、一日も早く仕事をおぼえられるよう精一杯精進して参りますので、よろしくご指導ください」

 キビキビとした口調で言って、姿勢よく、四十五度の角度で頭を下げる。しばしポカンとその姿を見つめていた如月は、やがて表情を取り繕うと、仕事の顔に戻って小さく頷いた。

「フェリス特別捜査本部捜査第一課捜査三係係長、如月です。どうぞよろしく」

 淡々とした様子で受け応える白皙の美貌を、群司はまぶしく見やった。課長席にいる立花が口の端を上げて群司に合図を送る。満足げなその様子に、群司はひそかに苦笑を閃かせた。
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