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本編・月の綺麗な夜でした
そのご 祝福
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気が付けば部屋の中は光に満ち、思い返さなくてもすごい夜だった。
肌をあわせて、気を失うように眠り、眩しさに朝だと思い目覚めた時には、太陽が中天をとっくに過ぎている。
起き上がろうとしたミントは、フニャフニャと力の抜ける身体に抗えず、ポスンと寝床に横たわる。
穿たれた痛みの残滓で、腹の奥がしびれるように熱い。
何事にも限度があるのを、身をもって知った。
その場の雰囲気に酔い、人肌から受け取る熱に正常な判断を失っていたとはいえ、やりすぎて恥ずかしくなった。
色々とすごかったが、初めてなのにひどいとしか言い様のない同衾は、一生忘れられない経験だろう。
それでも、思い返せば胸の奥に熱がともり、新たな疼きが生まれる。
イヤらしい。と、ミントは赤面して枕に顔をうずめた。
人は恋をすれば、愚かになるという。
何も知らない頃はそれを嘘だと思っていたけれど、今のミントは正しいと身に染みていた。
冷静に考えれば戦が起こる寸前で、それにわざわざ巻き込まれて行くしかない状況だから、のんびりと恋に溺れる暇などない。
それなのに、ローのことしか考えられない。
そんなミントの状態などローは御見通しで、拒絶されない事を都合よく解釈し、今までの色事への無関心が嘘のように、自由気ままに手を出すようになった。
「限界までやろうぜ」なんて平気で言う不埒な男だ。
一週間後にはいなくなると宣言してからは、遠慮も何もあったものではない。
有言実行とばかりに、隙あらば首筋に噛みついて跡を残す。
艶めいた声で耳元にささやきかけ、恥ずかしがる様子を堪能してその先へと誘い、一度でもやってしまえばあとはなし崩しである。
とにかく、足と足の間の感覚がおかしくて、腰が痛いミントであった。
人が恋をするには、体力が必要だ。
そんな風に考えてしまうぐらいには、ミントはこの恋に溺れていた。
ローはローで、ミントの問いにうっかり反応して、余計なことを教えなければならない状況をかわす手段でもあるのだろう。
心も体も自分でいっぱいにしておけば、厄介な状況を悟られずにすむとでも思っているに違いない。
やりたい放題をしても疲れることなどなく、むしろ艶々と肌艶に潤いを得て、すがすがしいほどに元気を増す男である。
ミントが倒れるように寝ている間に、ふらりと出かけて色々と動いているのは知っていても、何をしているのかやどこと誰が戦うのかすら、尋ねる余裕がないほどに、獰猛で鬼畜な獣に似た男は隙あらば手を出し、口を開こうとすればヒョイと抱えて寝室に直行した。
合意を得るなんて考えもしないし、時間なんて関係ない。
なぜ? なんて尋ねる暇もなく、あっという間に蕩けて繋がって、すべてをうやむやにさせられる。
抵抗しようにも、可愛いウサギの本気の拒絶は、獰猛な獣を喜ばせるだけの小さないたずらでしかなかった。
いいように振り回されて三日ぐらいは家から出る事も出来ず、フラフラになっていたが四日目ぐらいにようやく買い物に出かけることができた。
そして、そこでかけられた声に仰天することになる。
「ティアちゃん、おめでとう! 番犬のにーちゃんとうまくいったんだって?」
は? である。クワッと大きな目を更に大きく見開いて、ついでに口までポカンと開けていたら、肉屋のおかみさんがうふふと口元を手で押さえながら、からかうように笑った。
「今週いっぱい、蜜月だっけ? 一週間、部屋にこもってイチャイチャするんだろう? 蜜月が終わったら、雇い主にあんたを嫁にしたと報告をしに離れるけど、迎えに来るまでよろしく頼むわ~なんて言われちゃってさ。ああ見えて真面目な子だ。あんたみたいに控えめなお嬢さんには、あぁいうわかりやすい男がお似合いだろうねぇ」
は?! である。
蜜月とは、婚姻を結んですぐの愛欲期間の事だ。
結婚式を行う者は僻地だと少ないが、婚姻のような慶事は地域の者が積極的に祝福するのは知ってはいた。
けれど、自分がいつ当事者になっていたのかすら知らなかったので、もらう祝福の言葉だけでも、色々と情報量が多くて理解が追い付かない。
おしゃべり好きで人望のある肉屋のおかみさんが説明してくれた内容は、おそらく街では共通認識のはずだ。
どういう経緯かわからないけれど、おかみさんが浮かれて祝福してくれているのはわかった。
いったいいつ、誰が誰の嫁になって、今が蜜月なのか。
それに今更だけど、ティアちゃんと呼ばれて、戸惑ってしまう。
ずっと名前を名乗るのをひかえて他人との距離を保ち、治癒師のお嬢さんと呼ばれていたのだ。
いきなり「ミンティアちゃんって名前なんだねぇ。恥ずかしがるところも可愛いからティアちゃんって呼んでくれって頼まれちゃったわ」なんてからかわれても、実に困ってしまう。
ローさんのバカ、と心の中でそっとののしる。
何か考えがあっての行動だろうけど、報告や相談がないのがひどい。
だからといって直接文句を言ってもローには響かないだろうな、と思った。
飄々とした笑顔で「拗ねんなよ」と憎たらしいぐらい当たり前の顔をするだろう。
せめてどんな設定で、なにを言って回っているのか、教えて欲しい。
どうにか立ち直ろうと気持ちを奮い立たせたところで、馴染みのパン屋のおじさんから祝福という名の辱めを受けて膝から崩れ落ちそうになった。
「お、あと三日か四日は家にこもって仲よくするんだろう? な~に、一週間ぐらい、他の治癒師や薬屋に任せるのも、助け合いみたいなもんだ。昼ぐらいを見計らって食事は配達するから、安心して二人ですごしなさい」
すがすがしいほどに明るく告げられた言葉は、ミントの羞恥心をあおり、平常心を根元から折り倒す。
患者が一人も来ないのを不思議に思っていたけれど、まさか、そんな理由だったとは。
ローさんのバカ―! と心の中では叫び声を上げて、地面にガンガンと額を打ち付けたくなったけれど、平静を装ってグッと両足に力を込めてニコリと笑顔を浮かべた。
「ありがとうございます。しばらくお世話になりますね」
コレに耐えれば終わるはずだからと信じて、羞恥心と辱めに耐えた自分は偉いと、自分で自分を褒めるミントだったが、すぐにそれは間違いだと知った。
馴染みの店舗の人たちだけでなく、患者だった人や、祝福する言葉を聞いたすれ違うだけの人まで、新妻への祝福やささやかな贈り物を渡してくる。
全員が全員、蜜月真っただ中の子造りの最中だと思っていた。
滋養強壮に良いものとか、その気を煽るものとか、夜の営みを楽しむものを耳打ちされるにいたって、とうとう耐え切れなくなった。
蜜月だとか、結婚だとか、そんなことは知らないのだ。
流されるまま肉欲付きの恋に溺れているのは確かだけど、別れの日も見えているので、半分は思い出作りのようなものだ。
祝福を受けるような慶事ではないのに、事実は言えない。
どういった形でも良いからとにかく否定したかったけれど、そうじゃないと説明しかけたところで、すぐさま意味がないと気付いた。
周囲の祝福は覆しようがないほど広がっていて、恥ずかしがって本当のことが言えない、初々しい新妻としか相手の目には映らないのだ。
最終的には治癒師の冷静な表情を放り捨て、真っ赤になってフルフルと震えながら「ありがとうございますー!」と半泣きで家に逃げ帰ることしかできなかった。
肌をあわせて、気を失うように眠り、眩しさに朝だと思い目覚めた時には、太陽が中天をとっくに過ぎている。
起き上がろうとしたミントは、フニャフニャと力の抜ける身体に抗えず、ポスンと寝床に横たわる。
穿たれた痛みの残滓で、腹の奥がしびれるように熱い。
何事にも限度があるのを、身をもって知った。
その場の雰囲気に酔い、人肌から受け取る熱に正常な判断を失っていたとはいえ、やりすぎて恥ずかしくなった。
色々とすごかったが、初めてなのにひどいとしか言い様のない同衾は、一生忘れられない経験だろう。
それでも、思い返せば胸の奥に熱がともり、新たな疼きが生まれる。
イヤらしい。と、ミントは赤面して枕に顔をうずめた。
人は恋をすれば、愚かになるという。
何も知らない頃はそれを嘘だと思っていたけれど、今のミントは正しいと身に染みていた。
冷静に考えれば戦が起こる寸前で、それにわざわざ巻き込まれて行くしかない状況だから、のんびりと恋に溺れる暇などない。
それなのに、ローのことしか考えられない。
そんなミントの状態などローは御見通しで、拒絶されない事を都合よく解釈し、今までの色事への無関心が嘘のように、自由気ままに手を出すようになった。
「限界までやろうぜ」なんて平気で言う不埒な男だ。
一週間後にはいなくなると宣言してからは、遠慮も何もあったものではない。
有言実行とばかりに、隙あらば首筋に噛みついて跡を残す。
艶めいた声で耳元にささやきかけ、恥ずかしがる様子を堪能してその先へと誘い、一度でもやってしまえばあとはなし崩しである。
とにかく、足と足の間の感覚がおかしくて、腰が痛いミントであった。
人が恋をするには、体力が必要だ。
そんな風に考えてしまうぐらいには、ミントはこの恋に溺れていた。
ローはローで、ミントの問いにうっかり反応して、余計なことを教えなければならない状況をかわす手段でもあるのだろう。
心も体も自分でいっぱいにしておけば、厄介な状況を悟られずにすむとでも思っているに違いない。
やりたい放題をしても疲れることなどなく、むしろ艶々と肌艶に潤いを得て、すがすがしいほどに元気を増す男である。
ミントが倒れるように寝ている間に、ふらりと出かけて色々と動いているのは知っていても、何をしているのかやどこと誰が戦うのかすら、尋ねる余裕がないほどに、獰猛で鬼畜な獣に似た男は隙あらば手を出し、口を開こうとすればヒョイと抱えて寝室に直行した。
合意を得るなんて考えもしないし、時間なんて関係ない。
なぜ? なんて尋ねる暇もなく、あっという間に蕩けて繋がって、すべてをうやむやにさせられる。
抵抗しようにも、可愛いウサギの本気の拒絶は、獰猛な獣を喜ばせるだけの小さないたずらでしかなかった。
いいように振り回されて三日ぐらいは家から出る事も出来ず、フラフラになっていたが四日目ぐらいにようやく買い物に出かけることができた。
そして、そこでかけられた声に仰天することになる。
「ティアちゃん、おめでとう! 番犬のにーちゃんとうまくいったんだって?」
は? である。クワッと大きな目を更に大きく見開いて、ついでに口までポカンと開けていたら、肉屋のおかみさんがうふふと口元を手で押さえながら、からかうように笑った。
「今週いっぱい、蜜月だっけ? 一週間、部屋にこもってイチャイチャするんだろう? 蜜月が終わったら、雇い主にあんたを嫁にしたと報告をしに離れるけど、迎えに来るまでよろしく頼むわ~なんて言われちゃってさ。ああ見えて真面目な子だ。あんたみたいに控えめなお嬢さんには、あぁいうわかりやすい男がお似合いだろうねぇ」
は?! である。
蜜月とは、婚姻を結んですぐの愛欲期間の事だ。
結婚式を行う者は僻地だと少ないが、婚姻のような慶事は地域の者が積極的に祝福するのは知ってはいた。
けれど、自分がいつ当事者になっていたのかすら知らなかったので、もらう祝福の言葉だけでも、色々と情報量が多くて理解が追い付かない。
おしゃべり好きで人望のある肉屋のおかみさんが説明してくれた内容は、おそらく街では共通認識のはずだ。
どういう経緯かわからないけれど、おかみさんが浮かれて祝福してくれているのはわかった。
いったいいつ、誰が誰の嫁になって、今が蜜月なのか。
それに今更だけど、ティアちゃんと呼ばれて、戸惑ってしまう。
ずっと名前を名乗るのをひかえて他人との距離を保ち、治癒師のお嬢さんと呼ばれていたのだ。
いきなり「ミンティアちゃんって名前なんだねぇ。恥ずかしがるところも可愛いからティアちゃんって呼んでくれって頼まれちゃったわ」なんてからかわれても、実に困ってしまう。
ローさんのバカ、と心の中でそっとののしる。
何か考えがあっての行動だろうけど、報告や相談がないのがひどい。
だからといって直接文句を言ってもローには響かないだろうな、と思った。
飄々とした笑顔で「拗ねんなよ」と憎たらしいぐらい当たり前の顔をするだろう。
せめてどんな設定で、なにを言って回っているのか、教えて欲しい。
どうにか立ち直ろうと気持ちを奮い立たせたところで、馴染みのパン屋のおじさんから祝福という名の辱めを受けて膝から崩れ落ちそうになった。
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すがすがしいほどに明るく告げられた言葉は、ミントの羞恥心をあおり、平常心を根元から折り倒す。
患者が一人も来ないのを不思議に思っていたけれど、まさか、そんな理由だったとは。
ローさんのバカ―! と心の中では叫び声を上げて、地面にガンガンと額を打ち付けたくなったけれど、平静を装ってグッと両足に力を込めてニコリと笑顔を浮かべた。
「ありがとうございます。しばらくお世話になりますね」
コレに耐えれば終わるはずだからと信じて、羞恥心と辱めに耐えた自分は偉いと、自分で自分を褒めるミントだったが、すぐにそれは間違いだと知った。
馴染みの店舗の人たちだけでなく、患者だった人や、祝福する言葉を聞いたすれ違うだけの人まで、新妻への祝福やささやかな贈り物を渡してくる。
全員が全員、蜜月真っただ中の子造りの最中だと思っていた。
滋養強壮に良いものとか、その気を煽るものとか、夜の営みを楽しむものを耳打ちされるにいたって、とうとう耐え切れなくなった。
蜜月だとか、結婚だとか、そんなことは知らないのだ。
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どういった形でも良いからとにかく否定したかったけれど、そうじゃないと説明しかけたところで、すぐさま意味がないと気付いた。
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