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おまけ
愛の泉 ※ 山賊(仮さんとの逃亡中のお話
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※時系列で言うと、本編の「末永くお幸せに」の前に入るお話です。
泉のように湧き出るのが女の愛だと、昔、下腹を撫でてくれた人がいた。
少年の態をしていても初潮を迎え、戸惑うばかりだったあの日。
老境に差し掛かったその女性は師匠の患者だったけれど、アラアラとあきれたように師匠を叱り飛ばして、あれこれと教えてくれた気がする。
あまりに暖かなその微笑みに、愛とはとても良いものだろうと思ったけれど、自分自身の生い立ちを考えれば不相応なものだと割り切っていた。
だからミントは、愛なんて、一生縁がないと思っていたのだ。
薄闇の中、ゆるりと身体を揺すられて、ミントは熱い息を吐き出した。
身体の奥深くに灯った熱でトロトロと溶けて潤んだ下腹が、自身の体温よりも熱くて硬い昂ぶりで満たされている。
顔を上げれば見惚れそうな男と見つめ合うことになり、恥ずかしくて顔を伏せれば首筋を甘噛みされて、フルリと身を震わせた。
情欲をギリギリまで押さえつけた静かな交わりは、相手の存在を恐ろしいほどに浮き上がらせる。
身体の形をなぞる手も、火傷しそうな昂ぶりも、速まる鼓動のひとつまでも、私のものだと腹の奥がきゅうきゅうと主張するように熱を帯び、ゆるやかにのぼりつめていくのだ。
吐息のひとつ、鼓動のひとつまで、肌越しに伝わってしまう。
引き寄せられる力に逆らわず身を寄せれば硬い胸板につぶれる白い双丘は淫らに揺れて、恥ずかしさで自分の指先を食んで甘い嬌声もかみ殺す。
けれどすぐにその指は引き抜かれ、代わりに硬くて骨ばった男の指が唇をなぞってから口腔に入ってくる。
「噛まねーのか?」
その指でじらすように舌先を玩ばれて、コクコクとミントはうなずいた。
素直な肯定に、赤い瞳が面白そうに眇められる。
食い殺されそうなほど強く飢えた光が、こういうときには獲物の動向を楽しむようにきらめくから、ミントは見惚れる事しかできない。
いつもそうだ。
噛みつくような激しい口づけから始まっても、挿入ってくるその時だけでなく繋がっている最中も、食い殺す得物のわななきまでも堪能するように、ジッとローは見つめてくる。
肌の下を駆け巡る血潮だけでは飢えが満たされないとでも言いたげな、獰猛な獣に似た瞳は恐ろしいはずなのに、身の内から湧き出るすべてを与えたいほど狂おしくて戸惑ってしまう。
どれほど心を寄せても、いつか去っていく人なのにと、何度も思う。
縛り付けてしまえば、獰猛な獣のようなその在り方を奪いそうで怖い。
今は夫婦モノとして旅をしているし、婚姻関係を証明するものもあるけれど、それはミントを守るための偽造で、どこまでも仮初の関係だから心のよすがにもならなかった。
愛とか、恋とか、移り変わる儚い心模様にしかすぎないから、何の約束にもならない。
手を伸ばして触れ合うことのできる今だけが、全てなのだ。
それでも、赤い瞳と見つめ合う瞬間。
肌と肌をあわせて、深くつながっている間も、言葉にならない声が聞こえる気がするのだ。
手のひら上で転がすような調子の良い言葉のすべてが、まぎれもない真実だと。
獰猛な獣の想いが、愛という言葉に納まるわけがないだろうと。
ゾクゾクするほどの愉悦を連れて、覚悟を決めろ、と申し渡すほどの獰猛なその眼差しに、刺し貫かれている快楽が背筋を駆け上っていく。
陳腐な言葉の枠を突き壊すように唐突に強く突き上げられて、ミントは甘く啼いた。
手を伸ばして首筋にすがれば、指が抜かれて唇が落ちてきた。
浅く速まった息遣いまで重なって、むさぼるように唇を喰われてしまう。
向き合って抱きしめ合う形だと互いの心音まで肌越しに伝わるようで、貫かれた最奥からトロトロと蜜があふれ落ちていくのがわかる。
耳元にある浅くかすれた息遣いと、止まる事のない淫らな水音に、ミントは耐え切れないように身をくねらせた。
「もう……もう、だめぇ……」
「だめじゃねぇよ、もうちょい頑張れ」
どれほど身をよじっても腰に回された硬い腕は力強くミントを引き寄せ、更に繋がりを深めるように互いの腰を押し付けるから、前後にもかき混ぜられ頭の中がおかしくなりそうだった。
やわらかく尻を持ち上げられ深く落とされる速度も上がっていき、とうとう声をかみ殺せなくなってのけぞった。
瞬間。
熱い飛沫が腹の奥深くへとほとばしり、気が遠くなる。
その熱を絞り取るよう蜜壁がわななくと同時にクラリと視界が揺れて、目を閉じた。
それでも、すぐには快楽はおさまらず、受け取った白濁を腹の奥へと吸い込むように、キュウキュウと締め付けているのがわかった。
倒れそうな身体を支えてくれている腕を感じて、なだめるように背中をさする大きな手のひらに胸がつまる。
荒く乱れた息を整えて、そっと目を開けば、赤い瞳が想像よりも近くにあった。
まだ、身体の中に男の体温があるのに、いつも、初めて肌をあわせたような気持になる。
鼻先が触れ合うほどの距離で、ニヤリと笑われてキュウッと胸の奥が痛くなる。
「ローさん、私、あなたが好き」
「おう。そいつは良かった」
喉の奥でクツクツ笑いだすので、なんだかしゃくにさわって、少しだけ身を浮かせてミントから唇を合わせた。
軽く触れあって離れても驚いた顔一つ見ることはできず、むしろミントが小さな悲鳴を上げることになる。
グルンと視界が回ると繋がったままベッドに押し倒された姿勢になっていて、違うスイッチを入れてしまったと気付いた時には遅かった。
「ミントからっつーのは悪くねぇな。ひさしぶりに限界までやろーぜ」
「えぇ?! それはちょっと、待ってぇぇぇ……!」
「待つわけねーだろ」
噛みつくような接吻と激しい交合が始まって、甘い声を上げる獲物をむさぼる獣は喜びに踊り狂う。
なにしろ、意中の女の愛の泉はいつだって満ちて、誘うように潤っているのだから我慢する理由もない。
それなりに大きな街の安全な宿に泊まっていたのも大きいが、獰猛な獣の独占欲は相当なものなのである。
知らぬは獲物の兎ばかり。
夜明けが来るまで甘く啼かすだけでは全然足りないのだと、知るのはそう遠くない日の事である。
泉のように湧き出るのが女の愛だと、昔、下腹を撫でてくれた人がいた。
少年の態をしていても初潮を迎え、戸惑うばかりだったあの日。
老境に差し掛かったその女性は師匠の患者だったけれど、アラアラとあきれたように師匠を叱り飛ばして、あれこれと教えてくれた気がする。
あまりに暖かなその微笑みに、愛とはとても良いものだろうと思ったけれど、自分自身の生い立ちを考えれば不相応なものだと割り切っていた。
だからミントは、愛なんて、一生縁がないと思っていたのだ。
薄闇の中、ゆるりと身体を揺すられて、ミントは熱い息を吐き出した。
身体の奥深くに灯った熱でトロトロと溶けて潤んだ下腹が、自身の体温よりも熱くて硬い昂ぶりで満たされている。
顔を上げれば見惚れそうな男と見つめ合うことになり、恥ずかしくて顔を伏せれば首筋を甘噛みされて、フルリと身を震わせた。
情欲をギリギリまで押さえつけた静かな交わりは、相手の存在を恐ろしいほどに浮き上がらせる。
身体の形をなぞる手も、火傷しそうな昂ぶりも、速まる鼓動のひとつまでも、私のものだと腹の奥がきゅうきゅうと主張するように熱を帯び、ゆるやかにのぼりつめていくのだ。
吐息のひとつ、鼓動のひとつまで、肌越しに伝わってしまう。
引き寄せられる力に逆らわず身を寄せれば硬い胸板につぶれる白い双丘は淫らに揺れて、恥ずかしさで自分の指先を食んで甘い嬌声もかみ殺す。
けれどすぐにその指は引き抜かれ、代わりに硬くて骨ばった男の指が唇をなぞってから口腔に入ってくる。
「噛まねーのか?」
その指でじらすように舌先を玩ばれて、コクコクとミントはうなずいた。
素直な肯定に、赤い瞳が面白そうに眇められる。
食い殺されそうなほど強く飢えた光が、こういうときには獲物の動向を楽しむようにきらめくから、ミントは見惚れる事しかできない。
いつもそうだ。
噛みつくような激しい口づけから始まっても、挿入ってくるその時だけでなく繋がっている最中も、食い殺す得物のわななきまでも堪能するように、ジッとローは見つめてくる。
肌の下を駆け巡る血潮だけでは飢えが満たされないとでも言いたげな、獰猛な獣に似た瞳は恐ろしいはずなのに、身の内から湧き出るすべてを与えたいほど狂おしくて戸惑ってしまう。
どれほど心を寄せても、いつか去っていく人なのにと、何度も思う。
縛り付けてしまえば、獰猛な獣のようなその在り方を奪いそうで怖い。
今は夫婦モノとして旅をしているし、婚姻関係を証明するものもあるけれど、それはミントを守るための偽造で、どこまでも仮初の関係だから心のよすがにもならなかった。
愛とか、恋とか、移り変わる儚い心模様にしかすぎないから、何の約束にもならない。
手を伸ばして触れ合うことのできる今だけが、全てなのだ。
それでも、赤い瞳と見つめ合う瞬間。
肌と肌をあわせて、深くつながっている間も、言葉にならない声が聞こえる気がするのだ。
手のひら上で転がすような調子の良い言葉のすべてが、まぎれもない真実だと。
獰猛な獣の想いが、愛という言葉に納まるわけがないだろうと。
ゾクゾクするほどの愉悦を連れて、覚悟を決めろ、と申し渡すほどの獰猛なその眼差しに、刺し貫かれている快楽が背筋を駆け上っていく。
陳腐な言葉の枠を突き壊すように唐突に強く突き上げられて、ミントは甘く啼いた。
手を伸ばして首筋にすがれば、指が抜かれて唇が落ちてきた。
浅く速まった息遣いまで重なって、むさぼるように唇を喰われてしまう。
向き合って抱きしめ合う形だと互いの心音まで肌越しに伝わるようで、貫かれた最奥からトロトロと蜜があふれ落ちていくのがわかる。
耳元にある浅くかすれた息遣いと、止まる事のない淫らな水音に、ミントは耐え切れないように身をくねらせた。
「もう……もう、だめぇ……」
「だめじゃねぇよ、もうちょい頑張れ」
どれほど身をよじっても腰に回された硬い腕は力強くミントを引き寄せ、更に繋がりを深めるように互いの腰を押し付けるから、前後にもかき混ぜられ頭の中がおかしくなりそうだった。
やわらかく尻を持ち上げられ深く落とされる速度も上がっていき、とうとう声をかみ殺せなくなってのけぞった。
瞬間。
熱い飛沫が腹の奥深くへとほとばしり、気が遠くなる。
その熱を絞り取るよう蜜壁がわななくと同時にクラリと視界が揺れて、目を閉じた。
それでも、すぐには快楽はおさまらず、受け取った白濁を腹の奥へと吸い込むように、キュウキュウと締め付けているのがわかった。
倒れそうな身体を支えてくれている腕を感じて、なだめるように背中をさする大きな手のひらに胸がつまる。
荒く乱れた息を整えて、そっと目を開けば、赤い瞳が想像よりも近くにあった。
まだ、身体の中に男の体温があるのに、いつも、初めて肌をあわせたような気持になる。
鼻先が触れ合うほどの距離で、ニヤリと笑われてキュウッと胸の奥が痛くなる。
「ローさん、私、あなたが好き」
「おう。そいつは良かった」
喉の奥でクツクツ笑いだすので、なんだかしゃくにさわって、少しだけ身を浮かせてミントから唇を合わせた。
軽く触れあって離れても驚いた顔一つ見ることはできず、むしろミントが小さな悲鳴を上げることになる。
グルンと視界が回ると繋がったままベッドに押し倒された姿勢になっていて、違うスイッチを入れてしまったと気付いた時には遅かった。
「ミントからっつーのは悪くねぇな。ひさしぶりに限界までやろーぜ」
「えぇ?! それはちょっと、待ってぇぇぇ……!」
「待つわけねーだろ」
噛みつくような接吻と激しい交合が始まって、甘い声を上げる獲物をむさぼる獣は喜びに踊り狂う。
なにしろ、意中の女の愛の泉はいつだって満ちて、誘うように潤っているのだから我慢する理由もない。
それなりに大きな街の安全な宿に泊まっていたのも大きいが、獰猛な獣の独占欲は相当なものなのである。
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