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第2章 フェロル村
11. 歓迎式典のお誘い
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この後、小屋に村長が迎えに来ることを皆に伝える。
食事を済ませ、着替えてでかけようとしたが、女性陣から待ったがかかった。
「私もシャワーを浴びたいかな……」
「うちも浴びる、リリィも浴びちゃいな」
「シャワー……ですか?」
こちらにはシャワーは無いのかな。
「水浴びの事だよ。本当だったらお湯が出るはずなんだけどね。今は水で我慢してくれ。ユイカ、使い方を教えてあげなさい」
「オッケー! リリィ、どうせなら一緒に入ろう! 全身チェックするよ!」
ユイカの手の動きが怪しいが放置しておこう。
妻も同じ手の動きをしている。
親子だ……
----------
しばらくして、リビングドアが開き、娘が裸で飛び出してくる。
「うー、寒い……!」
「こら! 服くらい着なさい」
「(にまー)」
娘が満面の笑みを浮かべ、バスルームを一度指差したあと、こちらに身体のラインを強調するようなジェスチャーをする。
「(ぼん、きゅっ、ぼん)」
グッドジョブだ、ユイカよ!
「あ、あのー」
バスルームからリリィの声がする。
「私の服が……」
「あ、洗濯機に入れて洗ってるよ」
「洗濯?」
「リリィさんは私の服を着て」
妻の声がした。
リビングのドアが開いているので、声が聞こえてくる。
洗面所の鏡でバスルームの中が、ぎりぎり……ちっ、見えないんだが、俺は紳士なので、そっちの方は見ないようにする。
先に上がって洗面所で化粧をしていた妻が、こっちを向いて「コ・ロ・ス」と口を動かしたような気がしたが、俺は気が付かなかったよ。たまたま、首を回した時に、洗面所の方に顔が向いただけだし。
娘がリビングのドアを閉めた。
「パパ、ここまでね」
「はい」
----------
さて、気を取り直して……
「全員、準備いい?」
皆がコクリと頷く。
娘だけ、OKサインを出す。
まずは自分だけ玄関から小屋の中に顔だけ出す。
「おはようございます」
小屋の中には昨日の3人が待っていた。
突然顔だけ出した俺にギョッとするが、すぐに
「お、おはようございます」
「よく眠れましたか?」
「昨日は本当にありがとうございました」
三者三様の挨拶をする。
「今日はまずは私の家族を紹介したいのですが、よろしいでしょうか?」
「家族ですか? 勿論です。是非お願いします。」
「わかりました」
一旦、顔を引っ込める。
「それじゃ、みんなで行きますか……あ、リリィは先に出ておいてね」
リリィが先に出て、それに続き、俺、妻、娘、息子のの順で外に出る。
リリィは村長の横に立ち、こちらに振り返る。
「えー、私の家族になります。妻のひとえです」
「ひとえです。この度、こちらに引っ越してまいりました。よろしくお願いします」
異世界モノの思考で考えていたので、召喚されたという意識でいたが、妻からすると、無理矢理とはいえ、引っ越して来たって感覚なのかな。
「長女のユイカです」
「ユイカです。よろしくお願いします」
さすが中学生。きちんと挨拶する。あ、こっそりリリィに向けてウィンクしやがったな。
「長男の浩太です」
「…………」
照れているのか、ぺこりとだけ頭を下げた。
「僕はトイプードルのミントです」
いつの間にか足元にいたミントが勝手に挨拶をした。
「ば、ば、馬鹿な」
「い、い、犬が喋った」
村長とカサルが驚いている。
「そうなんですよ。私も昨日、びっくりしました」
リリィはもう慣れたのかな。
「昨日も喋っていましたよ」
ルカスは、気が付いていたのか。
「そうなのか、勇者の国の犬は話すことが出来るんだ……」
村長の呟きに、心の中でツッコミを入れておいた。
----------
「とりあえず、この後の事なんですが、私達家族は他の世界から来たとは言え、単に引っ越してきただけの事です。行くあても無いので、ここから出て行けと言われると困るのですが、かといって、救世主として何かを期待されても困ります」
この先の身の処し方を左右しかねない事なので、先手を打って言いたい事を言ってしまおう。俺の話を聞いた後、カセルが口を開く。
「私ども神の社は神殿とは同じ神々を仰いではいるのですが、別の宗派になりますし、今回の神託については懐疑的な立場を取っております。救世主様を疑う訳では決してないのですが、現段階では、特に皆様の今後について、どうして欲しいというものがございません」
「村としても、聖地へ救世主様が住んでいるというだけで、光栄な事です」
村長も口を開き、二人はリリィを見る。
「わ、私は救世主様を首都にお連れするよう、任務を仰せつかっていて……タ、タナカ様のご意思は尊重したいのですが……」
間に立つ立場は辛いね。
どこの世界でも現場が泣く事になるんだよね。
「た、ただ私一人では首都までの道のりにおいて、道中の安全を確保する事が出来ません。昨日、迎えに来て欲しい早馬を出していまので、しばらくすれば、迎えが来るはずです」
まぁ、そんな所だよね。
「了解しました。では、その指示が来るまでは私どもはここでのんびりとさせていただきます」
「あ、それと……」
村長が口を開く。
「本日、皆様で村までお越しいただけないでしょうか。村の方で、歓迎の宴の準備をしております」
うそーん、のんびりさせてくれー。
「できれば、昨日の事もあるので、危険を考え、村へ行くのはご遠慮させていただきたいのですが……」
「大丈夫ですよ。スライムに襲われるなんて、滅多にある事じゃありません。それに今回はより慎重に行きたいと思います」
それはフラグなんだって。2度ある事は3度あるよ。
「タナカ様、家族皆様のお命は、このリリアナ・ヒメノが命に代えて守らせていただきます!」
だって、リリィさん、走って行っちゃうじゃない。
「あなた、村の皆さんへのご挨拶は、いずれにしても必要だと思うの。私達もずっとここに引き篭もっているわけにはいかないし」
確かに、ずっと自宅の中だけで生活する訳にはいかない。
妻の一言で、方針変換。
道中、スライムに遭遇しても、回避できるような方法を検討するか。
食事を済ませ、着替えてでかけようとしたが、女性陣から待ったがかかった。
「私もシャワーを浴びたいかな……」
「うちも浴びる、リリィも浴びちゃいな」
「シャワー……ですか?」
こちらにはシャワーは無いのかな。
「水浴びの事だよ。本当だったらお湯が出るはずなんだけどね。今は水で我慢してくれ。ユイカ、使い方を教えてあげなさい」
「オッケー! リリィ、どうせなら一緒に入ろう! 全身チェックするよ!」
ユイカの手の動きが怪しいが放置しておこう。
妻も同じ手の動きをしている。
親子だ……
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しばらくして、リビングドアが開き、娘が裸で飛び出してくる。
「うー、寒い……!」
「こら! 服くらい着なさい」
「(にまー)」
娘が満面の笑みを浮かべ、バスルームを一度指差したあと、こちらに身体のラインを強調するようなジェスチャーをする。
「(ぼん、きゅっ、ぼん)」
グッドジョブだ、ユイカよ!
「あ、あのー」
バスルームからリリィの声がする。
「私の服が……」
「あ、洗濯機に入れて洗ってるよ」
「洗濯?」
「リリィさんは私の服を着て」
妻の声がした。
リビングのドアが開いているので、声が聞こえてくる。
洗面所の鏡でバスルームの中が、ぎりぎり……ちっ、見えないんだが、俺は紳士なので、そっちの方は見ないようにする。
先に上がって洗面所で化粧をしていた妻が、こっちを向いて「コ・ロ・ス」と口を動かしたような気がしたが、俺は気が付かなかったよ。たまたま、首を回した時に、洗面所の方に顔が向いただけだし。
娘がリビングのドアを閉めた。
「パパ、ここまでね」
「はい」
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さて、気を取り直して……
「全員、準備いい?」
皆がコクリと頷く。
娘だけ、OKサインを出す。
まずは自分だけ玄関から小屋の中に顔だけ出す。
「おはようございます」
小屋の中には昨日の3人が待っていた。
突然顔だけ出した俺にギョッとするが、すぐに
「お、おはようございます」
「よく眠れましたか?」
「昨日は本当にありがとうございました」
三者三様の挨拶をする。
「今日はまずは私の家族を紹介したいのですが、よろしいでしょうか?」
「家族ですか? 勿論です。是非お願いします。」
「わかりました」
一旦、顔を引っ込める。
「それじゃ、みんなで行きますか……あ、リリィは先に出ておいてね」
リリィが先に出て、それに続き、俺、妻、娘、息子のの順で外に出る。
リリィは村長の横に立ち、こちらに振り返る。
「えー、私の家族になります。妻のひとえです」
「ひとえです。この度、こちらに引っ越してまいりました。よろしくお願いします」
異世界モノの思考で考えていたので、召喚されたという意識でいたが、妻からすると、無理矢理とはいえ、引っ越して来たって感覚なのかな。
「長女のユイカです」
「ユイカです。よろしくお願いします」
さすが中学生。きちんと挨拶する。あ、こっそりリリィに向けてウィンクしやがったな。
「長男の浩太です」
「…………」
照れているのか、ぺこりとだけ頭を下げた。
「僕はトイプードルのミントです」
いつの間にか足元にいたミントが勝手に挨拶をした。
「ば、ば、馬鹿な」
「い、い、犬が喋った」
村長とカサルが驚いている。
「そうなんですよ。私も昨日、びっくりしました」
リリィはもう慣れたのかな。
「昨日も喋っていましたよ」
ルカスは、気が付いていたのか。
「そうなのか、勇者の国の犬は話すことが出来るんだ……」
村長の呟きに、心の中でツッコミを入れておいた。
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「とりあえず、この後の事なんですが、私達家族は他の世界から来たとは言え、単に引っ越してきただけの事です。行くあても無いので、ここから出て行けと言われると困るのですが、かといって、救世主として何かを期待されても困ります」
この先の身の処し方を左右しかねない事なので、先手を打って言いたい事を言ってしまおう。俺の話を聞いた後、カセルが口を開く。
「私ども神の社は神殿とは同じ神々を仰いではいるのですが、別の宗派になりますし、今回の神託については懐疑的な立場を取っております。救世主様を疑う訳では決してないのですが、現段階では、特に皆様の今後について、どうして欲しいというものがございません」
「村としても、聖地へ救世主様が住んでいるというだけで、光栄な事です」
村長も口を開き、二人はリリィを見る。
「わ、私は救世主様を首都にお連れするよう、任務を仰せつかっていて……タ、タナカ様のご意思は尊重したいのですが……」
間に立つ立場は辛いね。
どこの世界でも現場が泣く事になるんだよね。
「た、ただ私一人では首都までの道のりにおいて、道中の安全を確保する事が出来ません。昨日、迎えに来て欲しい早馬を出していまので、しばらくすれば、迎えが来るはずです」
まぁ、そんな所だよね。
「了解しました。では、その指示が来るまでは私どもはここでのんびりとさせていただきます」
「あ、それと……」
村長が口を開く。
「本日、皆様で村までお越しいただけないでしょうか。村の方で、歓迎の宴の準備をしております」
うそーん、のんびりさせてくれー。
「できれば、昨日の事もあるので、危険を考え、村へ行くのはご遠慮させていただきたいのですが……」
「大丈夫ですよ。スライムに襲われるなんて、滅多にある事じゃありません。それに今回はより慎重に行きたいと思います」
それはフラグなんだって。2度ある事は3度あるよ。
「タナカ様、家族皆様のお命は、このリリアナ・ヒメノが命に代えて守らせていただきます!」
だって、リリィさん、走って行っちゃうじゃない。
「あなた、村の皆さんへのご挨拶は、いずれにしても必要だと思うの。私達もずっとここに引き篭もっているわけにはいかないし」
確かに、ずっと自宅の中だけで生活する訳にはいかない。
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