異世界にお引越し! - 訳あり物件でした -

でもん

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第6章 Call your name

65.準備

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===== Yuika =====

「あ、お姉ちゃん、おかえりー」
「ユイカちゃん! ユイカちゃん!」

 私とリリィが光のカーテンをくぐって自宅に戻ると、リビングで浩太がロラとくつろいでいた。ミントが足元で喜びながら、ぐるぐる回っている。話せるようになっても、こういう所は変わらないんだ。

「ロラ姉様……」
「リリィ……ん? その血は……」
「はい、それは後で……少し休ませてください」

 リリィはそう言ってバスルームに入っていった。あ、私もシャワーを浴びたい!

----------

 リリィの後にシャワーを浴び、少し休憩してからロラにサラ村での出来事を説明した。

「ロラ姉様。私は王位に就こうと思います。神託の通り、このままでは私たち人類は滅びます。それをタナカ家の皆様と防ぎたいと思います」
「そうか……それなら……」

 ロラはそう言って立ち上がり、リビングの壁に無造作に立て掛けてあった剣を持ち、刃を自分の方に向け、

「リリィ……いや、リリアナ殿下。ロラ・モランの忠誠をお受け取り下さい。我が忠義を疑うのであれば、そのままその剣を押し込んでください」
「ロラ姉様」

 リリィは涙ぐみながらも、その剣を受け取り、剣に口付けをした後、ロラに返した。なんか、アニメでこんなシーン、見たことあるよ。

「ありがとう……リリアナ殿下」
「これまでどおり、リリィと呼んでください」
「そうか……そうだな。すぐに王位に就くという訳でも無いし、これまで通りとさせていただこう」
「お願いします」

「という事で、リリィは私だけでなくモラン家の忠誠を得たと思って欲しい」
「はい?」
「いや、父上と話してあってな。リリィが王太女になった時点でモラン家は降臣しようという話になってるんだ」
「ええ?」
「多分、ダビド家も同じ事を考えていると思うぞ」
「そ、そうなんですか?」

 リリィが王位継承者になると、色々な事が変わるらしい。

「だが、問題は……ファビオとマシアス家……それにあいつらの息がかかった貴族連中だな」
「はい」

 リリィが頷いた。

 その後、ロラと浩太が集めた情報を色々教えてくれた。どうやら二人はここに戻った後も、何度も王都に戻り、情報を集めていたらしい。

「タナカ様を2週間後に返すという意味が判った。ファビオが王都に帰還するのを待って、王宮前の中央広場で、ファビオが救世主様を連れてきたという公開謁見をするらしい。そこで無理矢理、王位継承権の移譲を認めさせるみたいだ」

===== Hitoe =====

 王都アルテアの一番外の外壁ノベナの前で軍と対峙した日の夕方……

「うおーりゃ」

 私たちが展開している野営地へユイカが自転車で走ってきた……今、草原の中を突っ込んできたわよね。なんか、数日合わないうちに逞しくなってない?

「ユイカ、あなたどうしてここに?」
「ママ! パパが2週間後に解放される理由が判った!」

 私はユイカが説明してくれるのを聞く。

「そう……そういう事だったのね」
「だからね、パパを取り返すのと、リリィを王様にしちゃうのを一緒に……」

 ユイカ達が計画をしている事を聞く。

「ふーん、そうなんだ。まぁ、どっちでもいいじゃん。で、その準備にお買い物が必要なんだけど、ママ、私と一緒に家に戻って」
「え……あ、ああ。そうね、もうお金が使えるのね」

 支給日は確か昨日のはずだ。

「そう! 私と浩太が1つずつゲットしたから、全部で6つになった!」

 という事は120万エン。まだ借金生活だけど、少なくとも今月は120万エン分の利用枠がある……クレジットカードみたいね。

「判ったわ。ここからどのくらい?」
「私がチャリで全速で走って半日」
「そう……明日の朝一番に出れば、明日中に私はここに戻ってこれるわね」
「えー、家でゆっくりしないの?」
「謁見の日は明後日よ。もう時間が無いわ」
「もう……仕方が無いな」
「道は大丈夫?」
「うん、ほら、あそこに変な形の山があるでしょ。あそこから来た」
「そう、じゃあナバレッテさん達に挨拶をして、寝る場所を作ってもらいましょ」
「はーい」

 作戦を考えたのは誰かしら……話を聞く限り、ユイカが考えたみたいなんだけど、そんな才能があったの? 

===== Kota =====

「浩太、堂々としておれば大丈夫じゃ」
「はい、おじいちゃん・・・・・・

 僕はまた・・王宮内の聖地を通って王宮内をウロウロしていた。結局あれから毎日のようにセリノおじいちゃんと一緒に歩いている。もうほとんどの人が僕の事をモラン家の孫だって思っているのだろうな……新しく会う人会う人に、

「わしの孫じゃ! 可愛いだろう!」

 って、自慢しまくっている。

 そして、それを聞いた女王様がとうとう僕に会いたいって言い出したらしい。女王様の私室にあるテラスにお呼ばれしたので、僕はセリノおじいちゃんと一緒に歩いていた。

「それでは失礼します……」

 僕らが着くと、この間挨拶したカニさんが出てきた所だった。カニさんは変な名前なので、一回で覚えてしまったんだ。

「これはモラン様、今日もお孫さんとですか?」
「今日は女王様に呼ばれての」
「そうですか……あ、ファビオ様が間もなく到着されますので、明日の謁見は予定通りになります。モラン家の皆様も必ずご出席ください」
「ああ、勿論じゃ。この国の未来を決める大事なイベントだしの」
「ええ」

 そう言って、カニさんは頭を下げ立ち去っていった。

----------

「あなたがセリノのお孫さん? 可愛いわね?」
「そうじゃろ」

 女王様は多分、セリノおじいちゃんと同じ年くらいの人だった。

「でもいつの間に? まだ誰も結婚してなかったんじゃ……」

 そう質問された時、セリノおじいちゃんの大きな手が僕の背中を押した。僕は女王様の近くまで押し出されたので、部屋の隅にいた騎士が近づこうとしたけど、

「いいのよ。何かしら」
「はい。えーと……リリィが……リリアナ・ヒメノが間に合います。女王陛下」

 小声でそれだけ呟き、僕は元の場所に戻った。
 女王様はにっこり笑い……

「セリノ、いいお孫さんを持ったわね。ええ、いいわ。これからも、好きな時に遊びにいらっしゃい」
「はい」

「セリノ……モラン家は?」
「そういう事じゃ。陛下」
「そう……それではそういう事で。今日は楽しかったわ……とってもね」

===== Main =====

「チコ、暇だな……」
「そうですね、お義父さん」

 ここに軟禁されて13回目の朝が来た。外部との連絡は全く出来なかったが、屋敷の中では行動の自由が認められていた。と言っても、テレビも無いし、新聞も無い……本を幾つか読んだけど、それほど興味を引くようなものも無かった。

「もう少し……何か刺激が欲しいな」
「掃除、今日もしましょうか」

 ガチャ!

 そんな事を話している時、居間のドアが開いた。

「お前は……ファビオ! なんでここに……」
「お待たせしました、救世主様。さぁ、行きましょう」
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