初恋*幼なじみ~歪に絡み合う想いの四重奏~

美和優希

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*第3章*

聖なる夜の誓い(1)

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 学校は、クリスマスを目前とした二十二日に終業式を終えて冬休みに入った。

 そうしてやって来た、クリスマスイブ。

 私たちは予定通り、あちらこちらにクリスマスの演出が施されたテーマパークに来ていた。


「やっぱりというか、すごい人だなぁ~」

「仕方ないだろ。今年のイブは日曜日だし、みんなクリスマスしに来てるんだろうな」

「そうだろうけどさ」


 和人にもっともな言葉を返されて、健は苦笑いを浮かべる。


 健と和人の言う通り、テーマパーク内は本当にすごい人だ。どこに視線を移しても、人、人、人、で圧倒されそうになる。


 今までは毎年ホームパーティーだったから知らなかったけど、結構みんなクリスマスってこういうところに来るものなんだなと思い知る。

 そのとき、ドンとすれ違い様に対面から歩いてきた人の波と私の肩がぶつかった。


「あ、す、すみません……っ」


 だけどぶつかってしまった相手は、特にこちらを気に留める様子もなく、私がそう言い終えたときには人の波の中に消えてしまっていた。


「大丈夫か?」

「うん、ありがとう」


 ぶつかってしまった反動でよろけた身体を、健は私の背後から両肩を支えて受け止めてくれていた。


「ほらよ」


 そんな健の声とともに、私の手は健の大きな手に絡め取られる。

 私が少し不思議そうに見上げると、健は目を細めて柔らかく微笑んだ。


「こうしてると、はぐれずに済むだろ?」

「う、うん……」


 ぎゅっと握られた手のひらから、健のぬくもりが伝わってくる。


「わああ! いつの間に二人、そんなにラブラブになってたの!? 私たちも負けてられないね!」


 どうやら真理恵は、今さっきの私たちの様子を見ていたみたい。

 だけど、そう言う真理恵たちこそ、いつの間にか手を繋いでるし……。


 真理恵は、手を繋いでいない方の手は和人の腕をつかんで、和人にくっついている。

 密着して歩く二人は、私たちよりずっとラブラブに見えた。

 何となく見てるのも恥ずかしくなって他へ視線を移すけれど、改めて周りを見回してみるとクリスマスイブだからなのか、カップルが多いような気がする。

 どのカップルもラブラブで幸せそうに見えた。


 もしかして私が気づいてないだけで、私と健も端から見たら幸せなカップルに見えてるのかな……?


 思わず健の顔を見上げれば、健の視線と私の視線がぶつかって、健は少し照れたように笑った。



 最初に乗ることに決めたのは、船のような乗り物に乗って水の上を浮かんでいくアトラクションだ。


 最初のうちは穏やかにクルージングを楽しむ感覚で進んでいくのだけれど、次第に周りの景色は穏やかなものから険しいものへとかわり、最後は滝のようになっているところを落ちていく、といったものだ。


 絶叫系は乗れないわけではないけれど、あまり得意ではない。

 私以外のみんな絶叫系が好きだから、必然的にこうなっちゃったけど、実はあまり気が乗らない。


「並んだのはいいけどさ、未夢、昔これ乗って目まわしてたよな」

 何となくみんなについて私も並ぶと、和人がふと思い出したように口を開いた。


「あ、うん……」

 ここのテーマパークに来るのは、実は今日が初めてなわけではない。

 小さい頃、何回か四人一緒に連れてきてもらったことがあった。


 ここに最後に来たのは、小学校高学年のときだ。

 そのとき、今並んでいる絶叫系の水のアトラクションはちょうど出来たばかりだった。


 そのときも、みんなに連れられるままに乗ったんだけど、最後の滝から落ちるところで、あまりの怖さに失神しちゃったんだよね……。

 まさか和人があのときのことを覚えてくれてただなんて思ってなかったから、びっくりした。


「言われてみれば! ごめん、未夢。俺らだけで他回るか?」


 心配そうに私を見て、健はそう聞いてきてくれる。

 でも、せっかくみんなで来たのに別行動なんてしたくなかった。


「いいよ。せっかくみんなで来たんだから」


 今日だって、途中からは別行動にしようかっていう話が上がってるくらいだし、せめてそのときまではみんなで過ごしたい。


「未夢、無理してない? 何なら、みんなで他のアトラクション回ることにしようか」

「そんないいからいいから! あのときは私もまだ小学生だったし……。もう高校生になって大きくなったし、多分大丈夫だと思う」


 真理恵は代替案を示してくれるけれど、私一人の都合でみんなに我慢させるなんてこともしたくない。


「それにこのアトラクションって、アトラクション中に記念撮影してくれるでしょ? せっかくだからみんなで写りたいじゃん」


 最後の滝から落ちる瞬間には、船を模した乗り物に乗ってる人たち全員が入った記念写真が自動的に撮影される。

 小学生のときにものすごく酷い顔で写っちゃったから、今回こそちょっとは小マシな顔で写り直したいっていうのもある。


「未夢がそこまで言うならいいけど。どうしても無理になったときは、目をつむって健にしがみついておくのよ」


 真理恵は最後まで心配そうにしていたけれど、私の気持ちは変わらないままだった。
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