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*第4章*
新しい関係(4)
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けれど……。
「未夢」
真理恵に呼ばれて視線を動かすと、真理恵は怒っているような様子ではなかった。
「大したことはできないけど、寄っていってよ」
健とはその場で別れて、私は真理恵の家にお邪魔することになった。
真理恵の両親は今日も仕事みたいで、リビングには私たち以外の誰もいなかった。
「……ココアで良かった?」
マグカップにお湯を注ぐだけでできるココアを、真理恵は台所から持ってきてくれる。
「……うん。ありがとう。ごめんね、体調よくないのに」
「いいのよ。私が誘ったんだし、熱ももう下がって明日から学校には行けるから」
本当に真理恵は体調が悪くて学校を休んでいたのだろう。
明日から学校には行けそうだと聞いて、一先ずホッとする。
だけどそこで会話が途切れると、何となく沈黙になってしまった。
リビングの丸いダイニングテーブルに私と隣り合わせに座る真理恵に、私の全神経が集中する。
どうしたらいいのかな……。
でも、このままでは何も変わらないのもわかってる。
きっと私を家に招き入れたということは、真理恵はまだ私のことを完全には嫌ってないんだと思う。
真理恵とまた笑い合える日が来てほしいなら、私からも一歩踏み出さないといけない。
「この前はごめんね、和人とのこと。真理恵の気持ちも考えずに、軽率だったと思う」
ココアをひとくち口に含んで、一呼吸おいてそう言うと、真理恵も申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「……ううん。私こそ、ごめん。未夢は悪気があってそんなことする子じゃないってわかってるのに、あのときの私にはそこまで気持ちに余裕がなかったの……」
真理恵がココアの水面を見つめて、深い息を吐き出す。
そして、何かを吹っ切るように顔を上げてこう告げた。
「私ね、和人と別れたの」
「……えっ!? そんな……っ」
真理恵と和人が、別れた……?
やっぱりあの日のことが原因なのだろうか。
だとしたら、私が二人の仲を引き裂いてしまったとしか考えられなくて、私の胸に罪悪感が一気に押し寄せた。
「そんな顔しないでよ。未夢のせいじゃないから。元々、私の一方的な片思いだったのよ」
真理恵の一方的な片思い?
どこからどう見ても、ラブラブだったのに?
私がよっぽど理解不能と言いたげな表情でもしていたのか、真理恵は私の顔を見るなりおかしそうに笑った。
「あいつ、他に好きな子がいたのよ」
「……え」
ってことは、和人は他に好きな人がいるにも関わらず、真理恵と付き合ってたってことなの……?
それなら和人が真理恵と付き合ってなかろうと、この私の想いも結局一方的なものだったんだと思わされて、胸が痛む。
こんなこと真理恵の前で思うなんて、良くないとわかっているだけに、真理恵に対しても申し訳なくなる。
「酷いやつでしょ? でも、それに気づいても私は和人を手離せなかった。無理言って和人にしがみついて、傷ついて……。なんかもう、しんどくなっちゃってさ、結局別れちゃった」
「そう、だったんだ……」
寂しそうな瞳で話を続ける真理恵に、私まで切なくなる。
何だかんだ言って、私は二人が別れたら別れたで辛いんだ。
真理恵の悲しむ顔を見たくなかったから。
「あ、もしかして今ので和人に幻滅しちゃった?」
「えっと。確かに和人って誠実そうに見えてたから、びっくりはしたけどさ……」
「あっはは! この言われ方! まぁこれも和人の自業自得だし、ざまあみろって感じだけど」
突然大きな声で笑い出した真理恵に、私もつられるように笑う。
だけど真理恵はひとしきり笑うと、真面目な表情でこう続けた。
「でもね、いろいろ話し合って聞いたんだけど、あいつなりにその好きな子を想っての選択だったらしいよ、私と付き合ったのは。悔しいくらいにその子への想いは真っ直ぐで、本物で……。大切に想い過ぎるが故に、あのバカは間違った方向へ進んでしまったみたい」
ざまあみろとか、あのバカとか、散々和人のことを悪く言ってるけれど、それとは裏腹に真理恵は優しい瞳をしていた。
それだけ真理恵は和人のことを好きで、嫌いになれなくて、強がりでそう言ってるんだってわかった。
「だから、和人のことは恨めなかった。間違ってるとは思ったけれど、和人の気持ちもわからなくはなかったから」
でも、私も人のことは言えない。
だって、私がやってたことって、理由は違うかもしれないにせよ、和人が真理恵にしてたことときっと同じだから。
「未夢」
真理恵に呼ばれて視線を動かすと、真理恵は怒っているような様子ではなかった。
「大したことはできないけど、寄っていってよ」
健とはその場で別れて、私は真理恵の家にお邪魔することになった。
真理恵の両親は今日も仕事みたいで、リビングには私たち以外の誰もいなかった。
「……ココアで良かった?」
マグカップにお湯を注ぐだけでできるココアを、真理恵は台所から持ってきてくれる。
「……うん。ありがとう。ごめんね、体調よくないのに」
「いいのよ。私が誘ったんだし、熱ももう下がって明日から学校には行けるから」
本当に真理恵は体調が悪くて学校を休んでいたのだろう。
明日から学校には行けそうだと聞いて、一先ずホッとする。
だけどそこで会話が途切れると、何となく沈黙になってしまった。
リビングの丸いダイニングテーブルに私と隣り合わせに座る真理恵に、私の全神経が集中する。
どうしたらいいのかな……。
でも、このままでは何も変わらないのもわかってる。
きっと私を家に招き入れたということは、真理恵はまだ私のことを完全には嫌ってないんだと思う。
真理恵とまた笑い合える日が来てほしいなら、私からも一歩踏み出さないといけない。
「この前はごめんね、和人とのこと。真理恵の気持ちも考えずに、軽率だったと思う」
ココアをひとくち口に含んで、一呼吸おいてそう言うと、真理恵も申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「……ううん。私こそ、ごめん。未夢は悪気があってそんなことする子じゃないってわかってるのに、あのときの私にはそこまで気持ちに余裕がなかったの……」
真理恵がココアの水面を見つめて、深い息を吐き出す。
そして、何かを吹っ切るように顔を上げてこう告げた。
「私ね、和人と別れたの」
「……えっ!? そんな……っ」
真理恵と和人が、別れた……?
やっぱりあの日のことが原因なのだろうか。
だとしたら、私が二人の仲を引き裂いてしまったとしか考えられなくて、私の胸に罪悪感が一気に押し寄せた。
「そんな顔しないでよ。未夢のせいじゃないから。元々、私の一方的な片思いだったのよ」
真理恵の一方的な片思い?
どこからどう見ても、ラブラブだったのに?
私がよっぽど理解不能と言いたげな表情でもしていたのか、真理恵は私の顔を見るなりおかしそうに笑った。
「あいつ、他に好きな子がいたのよ」
「……え」
ってことは、和人は他に好きな人がいるにも関わらず、真理恵と付き合ってたってことなの……?
それなら和人が真理恵と付き合ってなかろうと、この私の想いも結局一方的なものだったんだと思わされて、胸が痛む。
こんなこと真理恵の前で思うなんて、良くないとわかっているだけに、真理恵に対しても申し訳なくなる。
「酷いやつでしょ? でも、それに気づいても私は和人を手離せなかった。無理言って和人にしがみついて、傷ついて……。なんかもう、しんどくなっちゃってさ、結局別れちゃった」
「そう、だったんだ……」
寂しそうな瞳で話を続ける真理恵に、私まで切なくなる。
何だかんだ言って、私は二人が別れたら別れたで辛いんだ。
真理恵の悲しむ顔を見たくなかったから。
「あ、もしかして今ので和人に幻滅しちゃった?」
「えっと。確かに和人って誠実そうに見えてたから、びっくりはしたけどさ……」
「あっはは! この言われ方! まぁこれも和人の自業自得だし、ざまあみろって感じだけど」
突然大きな声で笑い出した真理恵に、私もつられるように笑う。
だけど真理恵はひとしきり笑うと、真面目な表情でこう続けた。
「でもね、いろいろ話し合って聞いたんだけど、あいつなりにその好きな子を想っての選択だったらしいよ、私と付き合ったのは。悔しいくらいにその子への想いは真っ直ぐで、本物で……。大切に想い過ぎるが故に、あのバカは間違った方向へ進んでしまったみたい」
ざまあみろとか、あのバカとか、散々和人のことを悪く言ってるけれど、それとは裏腹に真理恵は優しい瞳をしていた。
それだけ真理恵は和人のことを好きで、嫌いになれなくて、強がりでそう言ってるんだってわかった。
「だから、和人のことは恨めなかった。間違ってるとは思ったけれど、和人の気持ちもわからなくはなかったから」
でも、私も人のことは言えない。
だって、私がやってたことって、理由は違うかもしれないにせよ、和人が真理恵にしてたことときっと同じだから。
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