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*第4章*
新しい関係(3)
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「俺のことはもういいから。別れようか、俺ら」
こんなこと私が思う資格ないってわかってるのに、別れの言葉を告げられた瞬間、胸が大きく抉られたようだった。
「……え」
健は本気で言っているようで、別れの言葉を撤回する様子はない。
「未夢のことを苦しめるだけの関係なら、終わらせよう」
「そんなことないよ……。確かに私は今まで無意識のうちに傷つけてしまったけど、私、ちゃんと健のこと」
健のこと、好きだと思うようになってた。
そんな私の言葉は健の言葉により遮られてしまった。
「未夢! もう、いいから!」
怒鳴るような言い方なのに、健の顔は今にも泣きそうで、それだけ健のことを苦しめていたんだと感じる。
「俺も、辛いんだ。本当は未夢のこと、手放したくないよ。だけど、未夢が辛い方がもっと嫌なんだ」
「ごめん、ごめんね、健……。本当に、ごめん」
「いいよ、たくさん悩ませてごめんね。俺のことも好きになろうとしてくれて、ありがとう。好きって言ってくれたとき、もしかしたら未夢の本心からじゃないかもしれないとは思ってたけどさ、すげぇ嬉しかった」
私が健と付き合ってる間、健のことを好きだと思ったのは、決して嘘じゃなかった。
それさえも本心じゃないと思われていることに、胸が痛む。
だけど、それを伝えて何になるだろう?
今もちゃんと健のことを好きだと思っていたことを伝えようとしたことを遮られたんだ。
伝えたところで、きっと私が気を遣って言っている言葉にしか聞こえないのだろう。
「だから……。幼なじみだった頃の俺らに戻ろう?」
私には、その言葉にうなずく以外、選択肢はなかった。
「わかった。たくさん傷つけてごめんね。だけど私は、健と付き合えて良かったと思ってるよ。短い間だったけど、たくさん愛してくれてありがとう」
健は、こんな私のことを最後に抱きしめてくれた。
「悔しいけど、これからは俺は未夢の恋を応援するよ。未夢も、俺と別れたとは言っても俺の大切な幼なじみにはかわりないんだから、和人のことで辛くなったときはいつでも俺のところに来ていいからね」
応援って言っても、和人には真理恵がいるし、こんなの不毛な恋だってわかっている。
健の方が絶対辛いのに、そんな優しさに涙が止まらなかった。
そのあとは、二人で抱き合って泣いた。
抱き合うといっても、もう今までの恋人同士のような雰囲気は一切なくなっていた。
私たち以外の誰もいないことをいいことに、二人で散々泣いてその涙が枯れる頃には、私と健の間は以前のような幼なじみの雰囲気に戻っていた。
一時でも深い関係になった私たちはそれだけお互いのことを知って、きっと前以上に強固な関係になれたのかもしれない。
再び幼なじみに戻った私たちは、散々泣いたあと、夕陽に照らされる中笑いあった。
「じゃあ、帰ろうか」
あれだけのことがあったにも関わらず、健は変わらない笑顔を向けてくれる。
「うん」
その笑顔が、とても嬉しかった。
真理恵のことを怒らせてしまったことを気にする私に、健は真理恵のお見舞いに行こうと提案してくれた。
他愛ない話をしながら家の近くまで帰ると、ちょうどジャージの上に防寒着を羽織った真理恵がコンビニの袋を提げて家に帰ってくるところに鉢合わせた。
「あ……」
私と健に気づくなり、真理恵には視線をそらされてしまった。
あれだけ和人のことで怒らせてしまったのだから、仕方がない。
私が視線を下に落としてしまいそうになったとき、私の背に健の手が触れる。
「大丈夫だよ、行こう?」
健は私の不安もわかってくれてるようで、優しくそう言ってくれた。
とはいえ、真理恵に何て言ったらいいんだろう?
体調は大丈夫?
それとも、この前はごめんね?
真理恵に一歩、また一歩と近づく。
その度に緊張と罪悪感が私を襲う。
「もう出歩いて大丈夫なの?」
「まぁ……」
健が聞いた言葉に、真理恵から返ってきたのは素っ気ない返事だった。
元気が無さそうに見えるのは、本当に体調がよくないからなのか、それとも、あの日のことがあったからなのかはわからない。
「未夢とはちゃんと話したから」
「そっか。じゃあ、次は私の番ね」
真理恵の視線がこちらに向けられて、思わずどきりとする。
なかなか一歩を踏み出せずにいた私に、健は優しく背中を押してくれた。
「大丈夫だから。女同士でゆっくり語らってよ。俺はここで退散させてもらうからさ」
「え、っと……」
健も一緒に真理恵のお見舞いに行くんじゃなかったの?
いかにももう帰りますって雰囲気の健に、思わず心細い気持ちになってしまう。
こんなこと私が思う資格ないってわかってるのに、別れの言葉を告げられた瞬間、胸が大きく抉られたようだった。
「……え」
健は本気で言っているようで、別れの言葉を撤回する様子はない。
「未夢のことを苦しめるだけの関係なら、終わらせよう」
「そんなことないよ……。確かに私は今まで無意識のうちに傷つけてしまったけど、私、ちゃんと健のこと」
健のこと、好きだと思うようになってた。
そんな私の言葉は健の言葉により遮られてしまった。
「未夢! もう、いいから!」
怒鳴るような言い方なのに、健の顔は今にも泣きそうで、それだけ健のことを苦しめていたんだと感じる。
「俺も、辛いんだ。本当は未夢のこと、手放したくないよ。だけど、未夢が辛い方がもっと嫌なんだ」
「ごめん、ごめんね、健……。本当に、ごめん」
「いいよ、たくさん悩ませてごめんね。俺のことも好きになろうとしてくれて、ありがとう。好きって言ってくれたとき、もしかしたら未夢の本心からじゃないかもしれないとは思ってたけどさ、すげぇ嬉しかった」
私が健と付き合ってる間、健のことを好きだと思ったのは、決して嘘じゃなかった。
それさえも本心じゃないと思われていることに、胸が痛む。
だけど、それを伝えて何になるだろう?
今もちゃんと健のことを好きだと思っていたことを伝えようとしたことを遮られたんだ。
伝えたところで、きっと私が気を遣って言っている言葉にしか聞こえないのだろう。
「だから……。幼なじみだった頃の俺らに戻ろう?」
私には、その言葉にうなずく以外、選択肢はなかった。
「わかった。たくさん傷つけてごめんね。だけど私は、健と付き合えて良かったと思ってるよ。短い間だったけど、たくさん愛してくれてありがとう」
健は、こんな私のことを最後に抱きしめてくれた。
「悔しいけど、これからは俺は未夢の恋を応援するよ。未夢も、俺と別れたとは言っても俺の大切な幼なじみにはかわりないんだから、和人のことで辛くなったときはいつでも俺のところに来ていいからね」
応援って言っても、和人には真理恵がいるし、こんなの不毛な恋だってわかっている。
健の方が絶対辛いのに、そんな優しさに涙が止まらなかった。
そのあとは、二人で抱き合って泣いた。
抱き合うといっても、もう今までの恋人同士のような雰囲気は一切なくなっていた。
私たち以外の誰もいないことをいいことに、二人で散々泣いてその涙が枯れる頃には、私と健の間は以前のような幼なじみの雰囲気に戻っていた。
一時でも深い関係になった私たちはそれだけお互いのことを知って、きっと前以上に強固な関係になれたのかもしれない。
再び幼なじみに戻った私たちは、散々泣いたあと、夕陽に照らされる中笑いあった。
「じゃあ、帰ろうか」
あれだけのことがあったにも関わらず、健は変わらない笑顔を向けてくれる。
「うん」
その笑顔が、とても嬉しかった。
真理恵のことを怒らせてしまったことを気にする私に、健は真理恵のお見舞いに行こうと提案してくれた。
他愛ない話をしながら家の近くまで帰ると、ちょうどジャージの上に防寒着を羽織った真理恵がコンビニの袋を提げて家に帰ってくるところに鉢合わせた。
「あ……」
私と健に気づくなり、真理恵には視線をそらされてしまった。
あれだけ和人のことで怒らせてしまったのだから、仕方がない。
私が視線を下に落としてしまいそうになったとき、私の背に健の手が触れる。
「大丈夫だよ、行こう?」
健は私の不安もわかってくれてるようで、優しくそう言ってくれた。
とはいえ、真理恵に何て言ったらいいんだろう?
体調は大丈夫?
それとも、この前はごめんね?
真理恵に一歩、また一歩と近づく。
その度に緊張と罪悪感が私を襲う。
「もう出歩いて大丈夫なの?」
「まぁ……」
健が聞いた言葉に、真理恵から返ってきたのは素っ気ない返事だった。
元気が無さそうに見えるのは、本当に体調がよくないからなのか、それとも、あの日のことがあったからなのかはわからない。
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「そっか。じゃあ、次は私の番ね」
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なかなか一歩を踏み出せずにいた私に、健は優しく背中を押してくれた。
「大丈夫だから。女同士でゆっくり語らってよ。俺はここで退散させてもらうからさ」
「え、っと……」
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