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2.お相手は、まさかの鬼上司!?
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本郷店長に代わってから三日が経った。
「久しぶり~! みんな、新店長と上手くやれてる~?」
事務室でお昼休憩をとっていた私たちの前に現れたのは、前任の池野店長だ。
池野店長は今は他店舗の店長をやっているんだけど、まだ本郷店長に引き継げてないことを引き継ぎに来たらしい。
「店長! 店長と別れたの、そんなに昔じゃないのに、何だかものすごく久しぶりのように感じるんですけど!」
事務室に置かれたテーブルで、私の向かいに座ってコンビニ弁当を食べていたパートの岩西さんは、池野店長を見るなり口を開く。
岩西さんは、この店舗唯一のビューティー担当の女性で、小学一年生と三年生の二人のお子さんを持つ、お母さんだ。
「お久しぶりです」
「岩西さんも高倉さんも、新しい店長の元では、どう?」
「ま、まぁ……」
「高倉さん、なんか歯切れの悪いこたえだな。もしかして、新店長にビシバシしごかれてる?」
池野店長は、私たちの表情を見て苦笑いを浮かべる。
「や、そういうわけじゃ、ないんですけど……」
私の印象として、本郷店長はひとつひとつの事柄に厳しい。
それだけ私がちゃんとできてないのだろうけれど……。
でも、言い方によっては本郷店長の悪口にも聞こえかねないし、と口ごもっていると、岩西さんが私の代わりに話しはじめた。
「それが、新店長、キツいんですよね。池野店長ではOKもらえるところが、本郷店長の前ではそうはいかないっていうか」
「ハハハ。まぁ、俺、自分で言うのもどうかと思うけど、超緩かったからなぁ。むしろ、本郷くんの方がデフォルトかもしれないよ?」
「店長、笑い事じゃないですよ~」
確かに池野店長のときは、わからないことや自信のないことは、池野店長に頼めば代わりにやってもらえた。
でも、本郷店長はそうはいかない。
一度はやり方を教えてもらえるけれど、次からはちゃんとそれが実行できなければならない感じなのだ。
仕事はそういうもんだ、と言われてしまえばそれまでなんだけど、今までぬるま湯に浸かってた私たちは、突然熱湯に投げ入れられたような心境だ。
「池野さん、引き継ぎの方、お願いします」
そこで、ノックはあったものの、突然今話題に上がっていた本郷店長が事務室に入ってくるもんだから、私も岩西さんもびくりと肩を跳ねさせた。
「はーい。じゃあ、二人とも頑張ってね~!」
池野店長は私たちに手をヒラヒラとさせて、事務室の奥にある店長机の方へといってしまった。
まだバクバクと嫌な鼓動が響く中、店長たちには聞こえないような小声で、岩西さんは口を開く。
「ビックリしたね」
「はい。すごいタイミングでしたね」
「でも、ここだけの話。次長から聞いたんだけど、本郷店長って、前の店舗では陰で“鬼店長”って呼ばれてたらしいよ」
「え、そうなんですか?」
「だから、ある程度は覚悟するしかないのかもしれないね」
岩西さんは、眉を下げて、少し離れたところにいる二人の店長の後ろ姿を見る。
覚悟、か。
今日の明日で、突然ものすごく仕事ができるようになれって言われても厳しいものがあるからなぁ。
本郷店長を知れば知るほど、この前の合コンのときの本郷さんとは別人なのではないかと思ってしまう。
まさか、あの本郷店長が梨緒の姿の私に、だなんて、今となっては想像しにくいものがある。
だって、被害妄想でもなく、本郷店長の奈緒としての私の印象はよくないだろうから。
……今度梨緒の姿で会うときは、もう梨緒の姿で会うことにならないように、ちゃんと断らなきゃ……。
私は壁にかかっているカレンダーを見つめて、ひとつため息を落とした。
「久しぶり~! みんな、新店長と上手くやれてる~?」
事務室でお昼休憩をとっていた私たちの前に現れたのは、前任の池野店長だ。
池野店長は今は他店舗の店長をやっているんだけど、まだ本郷店長に引き継げてないことを引き継ぎに来たらしい。
「店長! 店長と別れたの、そんなに昔じゃないのに、何だかものすごく久しぶりのように感じるんですけど!」
事務室に置かれたテーブルで、私の向かいに座ってコンビニ弁当を食べていたパートの岩西さんは、池野店長を見るなり口を開く。
岩西さんは、この店舗唯一のビューティー担当の女性で、小学一年生と三年生の二人のお子さんを持つ、お母さんだ。
「お久しぶりです」
「岩西さんも高倉さんも、新しい店長の元では、どう?」
「ま、まぁ……」
「高倉さん、なんか歯切れの悪いこたえだな。もしかして、新店長にビシバシしごかれてる?」
池野店長は、私たちの表情を見て苦笑いを浮かべる。
「や、そういうわけじゃ、ないんですけど……」
私の印象として、本郷店長はひとつひとつの事柄に厳しい。
それだけ私がちゃんとできてないのだろうけれど……。
でも、言い方によっては本郷店長の悪口にも聞こえかねないし、と口ごもっていると、岩西さんが私の代わりに話しはじめた。
「それが、新店長、キツいんですよね。池野店長ではOKもらえるところが、本郷店長の前ではそうはいかないっていうか」
「ハハハ。まぁ、俺、自分で言うのもどうかと思うけど、超緩かったからなぁ。むしろ、本郷くんの方がデフォルトかもしれないよ?」
「店長、笑い事じゃないですよ~」
確かに池野店長のときは、わからないことや自信のないことは、池野店長に頼めば代わりにやってもらえた。
でも、本郷店長はそうはいかない。
一度はやり方を教えてもらえるけれど、次からはちゃんとそれが実行できなければならない感じなのだ。
仕事はそういうもんだ、と言われてしまえばそれまでなんだけど、今までぬるま湯に浸かってた私たちは、突然熱湯に投げ入れられたような心境だ。
「池野さん、引き継ぎの方、お願いします」
そこで、ノックはあったものの、突然今話題に上がっていた本郷店長が事務室に入ってくるもんだから、私も岩西さんもびくりと肩を跳ねさせた。
「はーい。じゃあ、二人とも頑張ってね~!」
池野店長は私たちに手をヒラヒラとさせて、事務室の奥にある店長机の方へといってしまった。
まだバクバクと嫌な鼓動が響く中、店長たちには聞こえないような小声で、岩西さんは口を開く。
「ビックリしたね」
「はい。すごいタイミングでしたね」
「でも、ここだけの話。次長から聞いたんだけど、本郷店長って、前の店舗では陰で“鬼店長”って呼ばれてたらしいよ」
「え、そうなんですか?」
「だから、ある程度は覚悟するしかないのかもしれないね」
岩西さんは、眉を下げて、少し離れたところにいる二人の店長の後ろ姿を見る。
覚悟、か。
今日の明日で、突然ものすごく仕事ができるようになれって言われても厳しいものがあるからなぁ。
本郷店長を知れば知るほど、この前の合コンのときの本郷さんとは別人なのではないかと思ってしまう。
まさか、あの本郷店長が梨緒の姿の私に、だなんて、今となっては想像しにくいものがある。
だって、被害妄想でもなく、本郷店長の奈緒としての私の印象はよくないだろうから。
……今度梨緒の姿で会うときは、もう梨緒の姿で会うことにならないように、ちゃんと断らなきゃ……。
私は壁にかかっているカレンダーを見つめて、ひとつため息を落とした。
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