35 / 75
6.敵意を向けられても困るのですが。
(3)
しおりを挟む
「おい、どうした?」
「い、いえ! 大丈夫、です」
本郷店長は、私の様子を見て心配そうに聞いてくる。
ふり返ると、本郷店長の整った顔までもが幻想的に映し出されてるようで、直視できなかった。
もう、何で私、こんなにドキドキしてるのよ……!
本郷店長だって、私の様子に気づくくらいだから、よっぽどなんだ。
幻想的なこの空間に、早くも酔ってしまったのかな……?
「……あそこに泳いでるのは、イルカですか?」
この変な空気から抜け出すように視線を向けた先の水槽。
その中で泳ぐシルエットが、なんとなくイルカのように見えた。
「あぁ、そうだな。イルカは好きか?」
「はい、大好きです」
「そうか。なら、ちょうどいい。ちょうど季節限定で夜のイルカショーをやってるらしいから、それも行ってみるか」
「はいっ!」
あまりにテンション高く喜んだ私にフッと笑うと、本郷店長は再び私の手を取って、イルカショーの行われるプールへと連れていってくれた。
ライトアップが施されたプール。
夜の水族館は、屋内の水槽を見ていたときから思っていたけど、カップル率が高い。
華やかに花火が上がる中、イルカショーは開催された。
イルカが跳ねる度に飛び散る水しぶきが、ライトで反射してキラキラと煌めく。
目の前で繰り出されるイルカの技の数々に、デート中の緊張もどこかへ消え去り、夢中で拍手を送っていた。
「では、ラストです。今回頑張ってくれた、イルカのウミくんとナミちゃんによく頑張ったねのタッチをしてくれる方を、皆さんの中から選ばせていただきたいと思います!」
わっ! イルカにタッチって!
それって、イルカに触れるってことだよね……?
どうしよう。
一人で来てるならまだしも、本郷店長もいるからな……。
右手を頭上に上げようか上げまいかと、頭を悩ませる。
周囲をキョロキョロと見回すと、すでに何人もの人が、パラパラと手を上げているようだった。
「お前、イルカにタッチとか興味あるのか?」
「え!? は、はい……」
唐突に本郷店長にそんなことを聞かれて、思わず“はい”ってこたえてしまう。
すると、本郷店長は、私の両手首を片方ずつ両手でつかむと、思いっきり私の頭上に引っ張り上げた。
「え、っと、ほ、本郷さん……っ!?」
私が驚きの声を上げたのと同時。
「あらあらあら! 元気に両手を上げてくれたカップルさん発見~! じゃあ、そこの二人、お願いします。そうそう、あなたよ、今席を立った」
思わずその場に立ってしまった私を見て、丁寧に指名してくれる、イルカトレーナーのお姉さん。
私は本郷店長に背中を押されるがまま、プールの傍へと歩いていった。
イルカトレーナーのお姉さんに簡単に説明を受けて、本郷店長はウミくん、私はナミちゃんの頭に軽くタッチをさせてもらった。
*
「よかったじゃねぇか。念願のイルカタッチのイベントに選んでもらえて。ありゃかなりの倍率だったぞ?」
イルカショーを終えて、私たちは残りの館内を見て回る。
「そうですね。本郷さんのおかげです」
「俺……? 俺は大したことはしてないが」
「いえ、本郷さんがあのとき、私の手を上げてくれたからトレーナーさんの目について、選んでもらえたんだと思います」
本郷店長が私の手を引っ張り上げてくれてなかったら、きっと私は手を上げることすらできなかったと思うもん。
「い、いえ! 大丈夫、です」
本郷店長は、私の様子を見て心配そうに聞いてくる。
ふり返ると、本郷店長の整った顔までもが幻想的に映し出されてるようで、直視できなかった。
もう、何で私、こんなにドキドキしてるのよ……!
本郷店長だって、私の様子に気づくくらいだから、よっぽどなんだ。
幻想的なこの空間に、早くも酔ってしまったのかな……?
「……あそこに泳いでるのは、イルカですか?」
この変な空気から抜け出すように視線を向けた先の水槽。
その中で泳ぐシルエットが、なんとなくイルカのように見えた。
「あぁ、そうだな。イルカは好きか?」
「はい、大好きです」
「そうか。なら、ちょうどいい。ちょうど季節限定で夜のイルカショーをやってるらしいから、それも行ってみるか」
「はいっ!」
あまりにテンション高く喜んだ私にフッと笑うと、本郷店長は再び私の手を取って、イルカショーの行われるプールへと連れていってくれた。
ライトアップが施されたプール。
夜の水族館は、屋内の水槽を見ていたときから思っていたけど、カップル率が高い。
華やかに花火が上がる中、イルカショーは開催された。
イルカが跳ねる度に飛び散る水しぶきが、ライトで反射してキラキラと煌めく。
目の前で繰り出されるイルカの技の数々に、デート中の緊張もどこかへ消え去り、夢中で拍手を送っていた。
「では、ラストです。今回頑張ってくれた、イルカのウミくんとナミちゃんによく頑張ったねのタッチをしてくれる方を、皆さんの中から選ばせていただきたいと思います!」
わっ! イルカにタッチって!
それって、イルカに触れるってことだよね……?
どうしよう。
一人で来てるならまだしも、本郷店長もいるからな……。
右手を頭上に上げようか上げまいかと、頭を悩ませる。
周囲をキョロキョロと見回すと、すでに何人もの人が、パラパラと手を上げているようだった。
「お前、イルカにタッチとか興味あるのか?」
「え!? は、はい……」
唐突に本郷店長にそんなことを聞かれて、思わず“はい”ってこたえてしまう。
すると、本郷店長は、私の両手首を片方ずつ両手でつかむと、思いっきり私の頭上に引っ張り上げた。
「え、っと、ほ、本郷さん……っ!?」
私が驚きの声を上げたのと同時。
「あらあらあら! 元気に両手を上げてくれたカップルさん発見~! じゃあ、そこの二人、お願いします。そうそう、あなたよ、今席を立った」
思わずその場に立ってしまった私を見て、丁寧に指名してくれる、イルカトレーナーのお姉さん。
私は本郷店長に背中を押されるがまま、プールの傍へと歩いていった。
イルカトレーナーのお姉さんに簡単に説明を受けて、本郷店長はウミくん、私はナミちゃんの頭に軽くタッチをさせてもらった。
*
「よかったじゃねぇか。念願のイルカタッチのイベントに選んでもらえて。ありゃかなりの倍率だったぞ?」
イルカショーを終えて、私たちは残りの館内を見て回る。
「そうですね。本郷さんのおかげです」
「俺……? 俺は大したことはしてないが」
「いえ、本郷さんがあのとき、私の手を上げてくれたからトレーナーさんの目について、選んでもらえたんだと思います」
本郷店長が私の手を引っ張り上げてくれてなかったら、きっと私は手を上げることすらできなかったと思うもん。
1
あなたにおすすめの小説
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完】経理部の女王様が落ちた先には
Bu-cha
恋愛
エブリスタにて恋愛トレンドランキング4位
高級なスーツ、高級な腕時計を身に付け
ピンヒールの音を響かせ歩く
“経理部の女王様”
そんな女王様が落ちた先にいたのは
虫1匹も殺せないような男だった・・・。
ベリーズカフェ総合ランキング4位
2022年上半期ベリーズカフェ総合ランキング53位
2022年下半期ベリーズカフェ総合ランキング44位
関連物語
『ソレは、脱がさないで』
ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高4位
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高2位
『大きなアナタと小さなわたしのちっぽけなプライド』
ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高13位
『初めてのベッドの上で珈琲を』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高9位
『“こだま”の森~FUJIメゾン・ビビ』
ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高 17位
私の物語は全てがシリーズになっておりますが、どれを先に読んでも楽しめるかと思います。
伏線のようなものを回収していく物語ばかりなので、途中まではよく分からない内容となっております。
物語が進むにつれてその意味が分かっていくかと思います。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる