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11.もう俺の前から逃がさない。
(4)
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「私がこの格好をして本郷店長と会ってたのは、この前お話した通りです。梨緒に身代わりを頼まれて参加した合コンで、本郷店長とこの姿で出会いました」
「それで?」
「最初は、断ろうと思ってたんです。しかも、本郷店長がまさかうちの社員で、うちの店舗へ異動して来たのを見て、尚更このままじゃいけないって思ってました」
「そうか。だけど、お前は姿を偽ったまま俺と会ってた。違うか?」
「はい。その通りでございます……」
まるで責め立てるような口調で問われて、小さくなってこたえる。
私は怒らせても仕方ないことを彼にしてきたのだ。
「そんなに楽しかったか? 鬼店長と陰で愚痴りながら、お前の正体に気づかずに、お前に本気になる俺を見て」
「……ち、違っ」
「陰で俺のことをバカにして笑ってたんだろ」
「そんなんじゃないですっ!」
誤解されても仕方ないのかもしれないけれど、決して本郷店長のことをバカにして笑ってたわけじゃないことは、私が一番わかっている。
私があまりに大きな声を出したからか、少し驚いたような表情を浮かべたあと、本郷店長は不機嫌そうに目を細めた。
「じゃあ何なんだよ」
「最初は本当に断ろうと思ってました。だけど、梨緒の姿で本郷店長に会って、そして店舗で本郷店長と一緒に仕事をして。いろんな角度から本郷店長のことを知って……。気づいたときには、本郷店長のことを好きになってしまってたんです」
「……」
「でも、本郷店長は梨緒としての私のことを想ってくれている一方で、本当の姿の私のことは出来の悪い部下としか思ってなさそうで……。そう思ったら、言い出せなかったんです。梨緒の姿のままでも良いから、傍にいたかったんです」
本当にすみませんでした、と深く頭を下げて謝罪する。
本郷店長は一向に何も言わなくて、胸が苦しくてたまらなかった。
しばらくして聞こえてきたのは、まるで呆れたかのように吐き出されたため息の音だった。
「バカみてぇ。そんな理由で、いつかバレるとは思わなかったのか?」
ぐさりと胸に突き刺さる言葉を投げつけられる。
「すみません……」
全くその通りすぎて、他の言葉は何も出てこない。
バレて、嘘に嘘を重ねていた分、失う信頼も大きくて、それなら最初、気づいたときに謝罪して本当のことを言っておいた方が良かったんだと思い知る。
後になって悔やむ。後悔ってこのことを言うんだなと、こんなときなのに思っていると、不意にグイと腕を引かれた。
「……わっ。んん……っ」
一瞬漏れ出た声は、本郷店長の口の中へと消えていく。
間近に見える、伏せられた本郷店長の目元。
キスをされているんだということは、この私でもすぐにわかった。
でも、なんでこのタイミングで……?
しかもここ、外なのに……。
「……あの、本郷て……んんっ!」
ほんの少し本郷店長の唇が離れた瞬間、口を開くも、その僅かな隙間からも舌を捩じ込まれる。
濃厚なキスに、芯から蕩けてしまいそうになるのを、ギリギリのところで踏みとどまらせる。
「……な、んで」
唇が解放されて、視界が開ける。
すると、行き交う人が興味深げにチラチラとこちらを見ているのも視界の隅に映って、余計に恥ずかしくなる。
「俺を騙した罰だ」
「……え?」
「言っただろ? もう俺の前から逃がさないって。お前は俺のものだ」
「それってどういう……」
「ああ? 物分かり悪い奴だとは思ってたけど、そんなこともわからねぇのか?」
「だ、だって……」
私は、完全に本郷店長に見放されたっておかしくないことをしてきたんだ。
それなのに、何でそんな私にキスして、そんな気のあるようなセリフを言うの……?
「それで?」
「最初は、断ろうと思ってたんです。しかも、本郷店長がまさかうちの社員で、うちの店舗へ異動して来たのを見て、尚更このままじゃいけないって思ってました」
「そうか。だけど、お前は姿を偽ったまま俺と会ってた。違うか?」
「はい。その通りでございます……」
まるで責め立てるような口調で問われて、小さくなってこたえる。
私は怒らせても仕方ないことを彼にしてきたのだ。
「そんなに楽しかったか? 鬼店長と陰で愚痴りながら、お前の正体に気づかずに、お前に本気になる俺を見て」
「……ち、違っ」
「陰で俺のことをバカにして笑ってたんだろ」
「そんなんじゃないですっ!」
誤解されても仕方ないのかもしれないけれど、決して本郷店長のことをバカにして笑ってたわけじゃないことは、私が一番わかっている。
私があまりに大きな声を出したからか、少し驚いたような表情を浮かべたあと、本郷店長は不機嫌そうに目を細めた。
「じゃあ何なんだよ」
「最初は本当に断ろうと思ってました。だけど、梨緒の姿で本郷店長に会って、そして店舗で本郷店長と一緒に仕事をして。いろんな角度から本郷店長のことを知って……。気づいたときには、本郷店長のことを好きになってしまってたんです」
「……」
「でも、本郷店長は梨緒としての私のことを想ってくれている一方で、本当の姿の私のことは出来の悪い部下としか思ってなさそうで……。そう思ったら、言い出せなかったんです。梨緒の姿のままでも良いから、傍にいたかったんです」
本当にすみませんでした、と深く頭を下げて謝罪する。
本郷店長は一向に何も言わなくて、胸が苦しくてたまらなかった。
しばらくして聞こえてきたのは、まるで呆れたかのように吐き出されたため息の音だった。
「バカみてぇ。そんな理由で、いつかバレるとは思わなかったのか?」
ぐさりと胸に突き刺さる言葉を投げつけられる。
「すみません……」
全くその通りすぎて、他の言葉は何も出てこない。
バレて、嘘に嘘を重ねていた分、失う信頼も大きくて、それなら最初、気づいたときに謝罪して本当のことを言っておいた方が良かったんだと思い知る。
後になって悔やむ。後悔ってこのことを言うんだなと、こんなときなのに思っていると、不意にグイと腕を引かれた。
「……わっ。んん……っ」
一瞬漏れ出た声は、本郷店長の口の中へと消えていく。
間近に見える、伏せられた本郷店長の目元。
キスをされているんだということは、この私でもすぐにわかった。
でも、なんでこのタイミングで……?
しかもここ、外なのに……。
「……あの、本郷て……んんっ!」
ほんの少し本郷店長の唇が離れた瞬間、口を開くも、その僅かな隙間からも舌を捩じ込まれる。
濃厚なキスに、芯から蕩けてしまいそうになるのを、ギリギリのところで踏みとどまらせる。
「……な、んで」
唇が解放されて、視界が開ける。
すると、行き交う人が興味深げにチラチラとこちらを見ているのも視界の隅に映って、余計に恥ずかしくなる。
「俺を騙した罰だ」
「……え?」
「言っただろ? もう俺の前から逃がさないって。お前は俺のものだ」
「それってどういう……」
「ああ? 物分かり悪い奴だとは思ってたけど、そんなこともわからねぇのか?」
「だ、だって……」
私は、完全に本郷店長に見放されたっておかしくないことをしてきたんだ。
それなのに、何でそんな私にキスして、そんな気のあるようなセリフを言うの……?
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