秘密の恋人は鬼上司!?~ウソから始まるSweet Love~

美和優希

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11.もう俺の前から逃がさない。

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 本郷店長の作った夕食を食べ終えて、せめて後片付けくらいしようと流しへ持って行った食器を洗い始める。

 すると、ふわりと私の背後から腕を回されて、本郷店長の温もりに包まれた。


「置いておいてくれたら、やっておくからいいぞ?」

「いえ、なんだか食べただけなんて、申し訳ないので」

「それならこの前、お前だって俺に振る舞ってくれただろ? おあいこだ」

「そうは、言われましても……。あ……っ、ほ、本郷店長……っ!?」


 次の瞬間には、私の両腕を掴んだ本郷店長が、背後から私の首筋にキスを落としてくる。

 思わず反応してしまう身体に、お皿を落としてしまいそうになって、洗い物の手を止める。


「俺は後片付けより、今すぐにでも奈緒のことがほしいんだが」

「え、……っと」

 私が後ろを見上げると、本郷店長の熱い視線が私を捉えて離さない。

 そうしている間に、私は本郷店長によって唇を塞がれてしまった。

 触れ合うように重ねられた優しいキス。

 少し開いた唇の隙間から本郷店長の舌が侵入してきて、濃厚なものへと変わる。


 ボーッとしていく脳内。
 次第に身体からも力が抜けてきて、立っているのがやっとだった。

 すると、それに気づいたのか本郷店長は私の腰に腕を回して、支えてくれる。


「ひゃ……っ」

 ところが、本郷店長はそのまま私を担ぐように持ち上げたのだ。


「て、店長……っ!?」

 本郷店長はリビングを通って、リビングの端にあるドアの中へと私を連れていく。

 以前も入ったことのある、本郷店長の寝室だ。

 ゆっくりと下ろされたのは、ブラウンのシーツのベッドの上だった。


 本郷店長はベッドに仰向けで横たえた私を組み敷くように、私の上に覆い被さった。


「あ、あの、本郷店長……?」

 私を見つめる本郷店長の瞳は、真剣そのもの。
 見つめられてるだけなのに、心臓の鼓動は加速するばかりだ。


「お前の気持ちをちゃんと手に入れたとき、お前の全てを奪ってやる。俺がそう言ったことを覚えてるか?」

「……はい」

 確かに、前回ここに来たとき、この場所で言われた。

 本郷店長の大きな手が、私自身の肩までの長さの黒い髪に触れて、そこにキスを落とす。

 ドキドキと激しく鳴る胸の音は、梨緒の姿で会っていたときとは比べ物にならないくらいに速い。


「俺は、お前の気持ちをちゃんと手に入れられた。それに間違いはないか?」

「……はい」

 震えそうになる声を、必死に抑える。

 怖いわけではない。
 多分、それだけ緊張してるんだと思う。


 私の返事に、本郷店長は安心したような笑みを浮かべる。

 本郷店長はそっと顔を近づけてくると、私の唇にふわりと優しいキスを落とした。


「……まだお前の心の準備ができてないなら、遠慮なく言ってくれ。今ならまだ間に合うから」


 だけど、私の唇に触れて何かを感じ取ったみたいで、本郷店長は再び私から離れていく。

 さっきまでは見せなかった、少し苦しそうな瞳で見つめられる。


 そんな顔しないで。
 私なら、大丈夫だから……。

 そう思ったら、気づけば私は本郷店長の両頬に両手を添えて、引き寄せていた。

 本郷店長にした、初めての私からのキス。


 唇を数秒触れ合わせて離れると、本郷店長の驚いた瞳と目が合う。

 本郷店長はくしゃりと顔をほころばせると、私をぎゅうっと抱き締めた。


「それ、反則だろ。もう、止められねぇからな」


 本郷店長の大きな手が、私の身体を優しくなぞるように動く。

 時折指先で与えられる強い刺激に、身体が跳ねた。


「ほ、本郷店長……っ」


 思わず本郷店長の名前を呼ぶと、私の唇を本郷店長が人さし指でそっと押さえる。


「二人でいるときは、“本郷店長”って呼ぶの禁止な」

「……え」

「司、でいいだろ? 俺は奈緒って呼んでんだから」


 恥ずかしさからなかなか本郷店長の名前を呼べずにいると、本郷店長の指先が悪戯に私をもてあそぶ。



「ひゃ……っ」

「ほら、呼べよ。呼んだら、止めてやる」

「~~っ!」

 もうっ! 本郷店長の意地悪っ!


「つ、司、さん……っ!」

 もう半ばヤケになってそう呼ぶと、本郷店長……司さんは、再び強く私を抱き締めて耳元で囁いた。


「そうだ。好きだ、奈緒。愛してる」


 甘美な声が鼓膜を揺らして、更に気持ちが高ぶる。

 司さんの熱に、私は完全に溺れていった──。
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