【短編集2】恋のかけらたち

美和優希

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「優しい鈴の音と鼓動」

2-5

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 私はまだ黒板の消せていない部分を消すと、急いで鞄をつかんで教室を出ようとした。

「ちょっと待てよ。何そんなに怒って……」

 慌てたように私の肩をつかんだのは、凪くんだった。


「私のことが嫌いなのはわかったから。もう、話しかけないで」

「は? 何言って。って、おい!」

 凪くんの焦るような声とともに、ちりん、と遠くで高い音が聞こえた気がした。


「日直の仕事終わったから帰るね。手伝ってくれてありがとう。凛佳ちゃんは部活、頑張って」

 自分も変われると一瞬でも思ってワクワクした自分が惨めで情けなくて恥ずかしくて、私は凪くんの言葉を無視して凛佳ちゃんにそう告げると、足早に教室を出た。

 *

 中学校から家までは徒歩で十五分程度だ。

 とてもじゃないけれど、中学校から家までノンストップで走る体力のない私は、途中からトボトボと歩いて家までの道を帰った。

 自宅の隣に並ぶ凪くんの家を見上げる。

 凪くんが最近ずっと意地悪で冷たいのはわかっていたけれど、さっきのはさすがに傷ついた。
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