【短編集2】恋のかけらたち

美和優希

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「歌声の魔法」

3-6

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 今流行りの曲を城野くんがカッコよくアレンジしたものを二曲歌うことになった。

 それ自体は良いのだけれど、本当にこれでいいのだろうか。

 不安を拭えないまま当日を迎えた。

 *

 文化祭当日。ステージ裏で緊張気味に立っていると、突然視界が真っ暗になった。


「わ……っ!」

「ほらよ、これで問題ないだろ?」

 思わず両手を頭に当てると、何かを被されているようだった。

 最初こそ前が見えずに戸惑ったが、被せられたものの隙間からわずかに前が見えることに気づいた。


「な、何これ……」

 背を押されるようにしながら姿見の前に連れてこられる。鏡に映る姿を見た感じ、魔法使いを連想させる黒の三角帽子に茶色いロングヘアのウィッグが付いている物を被せられているようだ。

 サイズが少し大きいせいで、三角帽子にわずかに開けられた穴から外の景色が見えているだけで、顔自体は鼻の辺りまですっぽりと覆われている。さらに肩上で切り揃えていた黒髪は三角帽子に付いたウィッグに隠れて別人のように見えた。

 しかも衣装として城野くんが用意していた黒いロングコートを身に付けていることから、風貌が本当に魔法使いのようだった。


「魔法使い静江っち、歌いまーす」

 私の両肩に手を添えて、おもしろかしく城野くんが口にする。
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