【旧版】桃色恋華

美和優希

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第4章

ひとつの命(3)

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 ジュンが笑顔を見せたのはこの時が最後だった。


 ジュンは翌日の未明に、容態が悪化して亡くなった。



 ──人は死期がきたら、それを感じ取るのだろうか。



 ジュンが無理して面会してまで伝えた言葉。



 思い返せば、どれもが自らの死を悟っていたかのように感じ取れた。


 通夜は拓人は仕事の関係上出席できなかったが、葬式はジュンの両親に

「是非出てあげて欲しい」

 と伝えられたのもあり、仕事を調整して出席した。


 脱帽した時にオレンジがかった髪はさすがにまずいし、目立つ。


 そう思った拓人は、その日1日は髪を黒に染め、黒縁のメガネをかけて出席した。


 ジュンは賢くて可愛いという理由で学校では人気者だったらしい。


 葬式にはジュンと同じ学校の生徒も何人も訪れて最後の別れを惜しんでいた。


 桃華はやはり相当ショックを受けたようで、ずっと泣いていた。


 拓人が帰りに声をかけるまで、拓人の存在にすら気づかなかったようだ。


「わわっ!? 誰かと思ったら拓人さん!? 全然見た目違うから分からなかった……」


 桃華の目は真っ赤に腫れ上がっていた。


 そのまま無言で2人は帰り道を行く。


 桃華が、例の公園の前で足を止めた。


 公園を見つめる桃華の目からは、涙がこぼれていた。


「私が、ここを通らなかったらよかったんだ……」


 桃華はそこにペタンと座り込んでしまった。


「ジュンくんは……私より病気重くなかったから、薬をしっかり飲んで大人しく暮らしていたら、きっと長生きできたはずなのに……」


 拓人は後ろから桃華を抱き寄せる。


「自分を責めるな。ジュンは桃華ちゃんのこと恨んでねぇよ……」


「そんなのなんで分かるの? 私には分からないよ……」


 拓人の手を振りほどいて立ち上がった桃華は、公園を避けて遠回りで家に向かった。


 拓人も桃華を追いかけた。


 その日はそれ以上2人は会話を交わすことなく別れた。
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