【旧版】桃色恋華

美和優希

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第4章

触れ合う心(3)

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「桃華ちゃん……まさか自分でやったのか?」


 桃華は拓人から顔を逸らしたまま、答えようとしない。


「ちょっと見せて?」


「いやっ! やめてっ!」


 拓人の力に敵うはずもなく、桃華の傷はあらわになった。


 拓人はその傷をしばらく見つめ、鞄から消毒液を取り出して傷を消毒すると、持ってたハンカチで止血した。


 そして桃華を真っ直ぐ見つめ、両肩を強く掴んで言った。


「お願いだから、こういうことはしないでくれっ!!」


 拓人の手は力強く桃華の両肩を押さえ付けていたが、拓人は僅かに震えていた。


「痛い……離して……」


「何でこんなことしたんだ?」


 桃華はやっぱり無言だった。


「やっぱり話せないかな?」


 しばらく間をおいて桃華は口を開く。


「辛いの……なんで私じゃなかったんだろうって考えちゃう。ジュンくんは私のせいで死んでしまったようなもんだし……私が死ぬべきだったんじゃないかって……」


「それが理由なのか? ジュンは命懸けで桃華ちゃんを助けてくれたんだろ? 桃華ちゃんはジュンが本当にそれを望んでると思う?」



 桃華の頭の中にジュンの言葉が再び蘇る。


 ──僕の分も生きて……?


 桃華はとっさに首を横に振り、話しを続ける。


「それに……拓人さんから離れなきゃって思ってるのに……。辛くて耐えられなくて……」


「何だよ……それ……」


「これ以上悩むのが辛いの……いっそのこと今死んでしまった方が楽かなって。どうせ近い未来死ぬ運命なんだから……今死んでも一緒かなって……」


 桃華を掴む拓人の手に力が入る。


「一緒って何だよ……何でそんなに俺から離れたがるんだよ。

そんなになるまで離れるのが辛いなら俺と一緒に居ろよ。傍に居ろよ。

桃華ちゃんが心から離れたいって思うまで、俺は桃華ちゃんの傍に居たいって思ってるからさ……」


「……拓人さんをどんどん好きになっていく自分が恐いの……」


「え……?」


「ずっとファンとしてTAKUさんが好きだったけど、いつの間にか拓人さんに恋してる自分が居て……こんなこと言っても困らせるだけだって分かってるけど……」


 桃華は泣きじゃくった。


「でも……私と拓人さんじゃつりあわないし、万が一結ばれたとしても、結局私は近い未来に死ぬ運命で拓人さんを最終的に傷つけちゃう……そんな私に、幸せになる資格なんてないわ……きゃっ」


 桃華は力強く、でも優しく拓人に抱きしめられた。


「幸せになる資格がない奴なんていねぇよ」


「拓人さん?」


「自ら死んでも良い人間もどこにもいねぇ」


 桃華が顔を上げて拓人を見上げる。


「やっとこっち向いた」


 拓人は優しく桃華に微笑みかけた。


「ねぇ、俺のこと本当に好き? TAKUに恋してるんじゃなくて、俺自身を見てる?」


 桃華は頬にたくさんの涙をつけて、辛そうに頷く。


「ごめんなさい……好きなの……」

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