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第5章
不安(2)
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手早くリビングの掃除を済ませると、お昼前だったので、拓人は桃華用のお昼ご飯を作って、持って上がることにした。
拓人を知ってて、桃華のことも知っている人物。そして桃華を憎んでいる人物──。
ふと拓人は調理する手を休め、思い立ったように電話をかけた。
人を疑うことは良くないと分かっていながらも、拓人は通話ボタンを押した。
──プップップッ。
──プルルルル。
電話が繋がるまでが、やけに長く感じた。
『……もしもし? 拓人?』
それは今となっては全く口もきかなくなった相手
「もしもし、ミカか?俺だ」
『拓人から電話してくれるなんて……なんか信じられないんだけど……』
ミカは電話の向こうで戸惑っているようだったが無理もない。
「変なこと聞くが、今週の週刊誌に載った俺の写真に心当たりねぇか?」
『は? 週刊誌? 何のこと!?』
「いや……俺、桃華と居るとこ誰かに撮られちゃってさ、今週発売の週刊誌に載せられたんだ」
『ちょっと!! あんた何やってんのよ!! ミカから離れてちゃんとやってるのかと思えば……』
ミカは昔仲良かった頃のように拓人を叱りだした。
ミカは本当に違うらしい……。
ミカの様子に拓人はそう感じとった。
「ミカ、疑って悪かった」
『なによ、拓人……ミカを疑ってたの? もうミカはあんた達には何もするつもりはないわ……』
「そうか、電話出てくれてありがとな」
拓人が電話を切ろうとするとミカの声が聞こえた。
『拓人! 待って!』
「なんだよ」
『その、桃華ちゃんと……幸せになってね。この前は本当にごめんなさい……じゃあね!』
ミカがそう言い終えると、電話は一方的に切れた。
拓人は最後のミカの一言を気にすることもなく、再び調理に戻り考えた。
(ミカが違うなら一体誰なんだろう……?)
全く見当がつかないことに不安を覚えながら、出来上がった昼食を桃華の居る部屋に持って上がった。
「桃華、入るぞ?」
桃華の居る自分の部屋に昼食を持って入り、テーブルの上に並べる。
桃華はそこには居なく、拓人の掛け布団を身体に巻き付け、ベッドの上で横になって震えていた。
拓人はそっとベッドの脇に座り、布団からはみ出す桃華の頭を撫でた。
「本当、恐い思いさせてごめんな……桃華のお母さんに電話したら、桃華が落ち着くまで俺ん家に居てくれていいって言ってくれたから」
桃華は拓人に背を向けたまま頷いた。
「俺が居るから……何かあったら守るから……安心しろ」
しばらくして桃華が泣き顔のままムクッと起き上がり、布団が絡み付いたままの身体で拓人に抱き着いた。
拓人はただ桃華を抱きしめ、言葉をかけてあげることしか出来ない自分に無力感さえ感じた。
「ありがとう……」
桃華は少し落ち着いたようで、小さな声で呟き、拓人から離れた。
「お昼、あそこに桃華の分置いてあるから」
拓人はテーブルを指さしながら言う。
「俺、昼から仕事で一緒には居れないから……お腹空いたら食べて? この部屋は好きに使ってくれていいから」
「……居なくなっちゃうの?」
桃華の口から不安な声が飛び出す。
「居なくはならないよ、家には居るから。本当は傍に居てあげたいけど、今日は1階のリビングで新曲の打ち合わせなんだ。だから何かあったら呼んで?」
「うん……」
桃華は小さく頷いた。
拓人を知ってて、桃華のことも知っている人物。そして桃華を憎んでいる人物──。
ふと拓人は調理する手を休め、思い立ったように電話をかけた。
人を疑うことは良くないと分かっていながらも、拓人は通話ボタンを押した。
──プップップッ。
──プルルルル。
電話が繋がるまでが、やけに長く感じた。
『……もしもし? 拓人?』
それは今となっては全く口もきかなくなった相手
「もしもし、ミカか?俺だ」
『拓人から電話してくれるなんて……なんか信じられないんだけど……』
ミカは電話の向こうで戸惑っているようだったが無理もない。
「変なこと聞くが、今週の週刊誌に載った俺の写真に心当たりねぇか?」
『は? 週刊誌? 何のこと!?』
「いや……俺、桃華と居るとこ誰かに撮られちゃってさ、今週発売の週刊誌に載せられたんだ」
『ちょっと!! あんた何やってんのよ!! ミカから離れてちゃんとやってるのかと思えば……』
ミカは昔仲良かった頃のように拓人を叱りだした。
ミカは本当に違うらしい……。
ミカの様子に拓人はそう感じとった。
「ミカ、疑って悪かった」
『なによ、拓人……ミカを疑ってたの? もうミカはあんた達には何もするつもりはないわ……』
「そうか、電話出てくれてありがとな」
拓人が電話を切ろうとするとミカの声が聞こえた。
『拓人! 待って!』
「なんだよ」
『その、桃華ちゃんと……幸せになってね。この前は本当にごめんなさい……じゃあね!』
ミカがそう言い終えると、電話は一方的に切れた。
拓人は最後のミカの一言を気にすることもなく、再び調理に戻り考えた。
(ミカが違うなら一体誰なんだろう……?)
全く見当がつかないことに不安を覚えながら、出来上がった昼食を桃華の居る部屋に持って上がった。
「桃華、入るぞ?」
桃華の居る自分の部屋に昼食を持って入り、テーブルの上に並べる。
桃華はそこには居なく、拓人の掛け布団を身体に巻き付け、ベッドの上で横になって震えていた。
拓人はそっとベッドの脇に座り、布団からはみ出す桃華の頭を撫でた。
「本当、恐い思いさせてごめんな……桃華のお母さんに電話したら、桃華が落ち着くまで俺ん家に居てくれていいって言ってくれたから」
桃華は拓人に背を向けたまま頷いた。
「俺が居るから……何かあったら守るから……安心しろ」
しばらくして桃華が泣き顔のままムクッと起き上がり、布団が絡み付いたままの身体で拓人に抱き着いた。
拓人はただ桃華を抱きしめ、言葉をかけてあげることしか出来ない自分に無力感さえ感じた。
「ありがとう……」
桃華は少し落ち着いたようで、小さな声で呟き、拓人から離れた。
「お昼、あそこに桃華の分置いてあるから」
拓人はテーブルを指さしながら言う。
「俺、昼から仕事で一緒には居れないから……お腹空いたら食べて? この部屋は好きに使ってくれていいから」
「……居なくなっちゃうの?」
桃華の口から不安な声が飛び出す。
「居なくはならないよ、家には居るから。本当は傍に居てあげたいけど、今日は1階のリビングで新曲の打ち合わせなんだ。だから何かあったら呼んで?」
「うん……」
桃華は小さく頷いた。
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