【完結】誰に抱かれてもあなたへの愛は揺らがない

かじや みの

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炎の舞

絶頂 ※

 気がつくと、朝の光が、部屋の中にも入り込み、明るく照らし出していた。

 裸で抱き合ったまま、いつかの船の中のように、男の胸に頭を預けて眠っていた。

 体を離すと、部屋の中を見回し、水がないか探した。
 ひどく喉が渇いている。
 部屋の隅に、水差しを見つけ、這うようにしてそばに行き、水を飲んだ。

 髪が解けて、背中に落ち、乱れている。
 体も気持ちが悪いほど汗と体液にまみれている。

 朝はまだ肌寒く、冷たい水で、体が冷え、身震いした。

「雪也・・・おれにも水をくれ」
 背中にあたたかな肌が触れ、肩に顎を乗せて、左京大夫が掠れた声で言った。

 肩越しに水を飲ませると、後ろから乳房を揉んでくる。
 首筋に這わせる唇が、水を飲んだせいか、冷たかった。

「ああん・・・もう・・・や、あ・・・」

 四つん這いにして、後ろから挿ってくる。
 すでに大きく勃ち上がっている男根を、すんなりと呑み込んでしまった。

「朝から濡れておるではないか」

 腕に力が入らず、潰れるが、腰を持ち上げられて、揺すられる。

「いやん・・・もう、いい加減に・・・ああ」

 もうやめて欲しいのに、新しい刺激に感じてしまい、愛液が溢れ出す。

「どの口が言うのだ。何人も女を抱いてきたが、これほど心地よい抱き心地はなかなかない」
「ご冗談を」
 左京大夫は、頬に手を伸ばして顔をよく見えるように向かせた。
「この感じている顔もいい」
 目がうっとりと潤んで、半開きの口もそそるという。

 抱き上げるようにして、結合した部分を密着させたまま、少しずつ体の向きを変える。
 敏感なところが擦られて、飲み込んだものを無意識にきつく締め付けた。
「こら、そんなにきつくすると、出すぞ」
 上向きにし、両足を肩に乗せると、腰を振り出す。
 もう何度目になるのか。
 腰を掴まれ、激しく突かれて乳房が揺れ、否応もなく登り詰める。

 飽きないのだろうかという思いがよぎるが、与えられる快楽をこちらも飽きもせずに求めてしまう。
 切っても切れないというのは、こういうことを言うのだろうか。

「おれのものになれ」
 さすがに疲れたのか、朝一番の精を放ったあと、雪也の上に体を乗せたまま、息を吐いた。
「もう、なっております」
 逞しい体に腕を回して言った。
「私には、左京さましかおりません」
「ここにずっとおれ」
 愛おしげな声に、思わずうなずきそうになる。

「籠の鳥は嫌だと、前にも言ったはずです」
「強情だの」
「私は、舞がなければ生きてはいけません。ここでは無理です」
「深川でなければ生きられぬと言うのか」
「ここで、私のすることはありません」
 舞うことで、何があっても耐えられるのだ。
 いくら好きな人と過ごせても、舞えなくなるのは嫌だ。

「おれの子を産んで育てれば良い」
「・・・」
 そんな道もあるのかとふと心が動いた。
 殿様の思いびととして生きる道もある。
 女冥利に尽きるのかもしれない。

「そうせい。そうすれば、いつでもこうしていられる。・・・おれのものだと言ったな」
 目を覗き込んでくる。
「深川に、いつでもおいでくださいませ」
「そうしたいのは山々だが、そうもいかんのだ」
「遊びすぎましたか」
「周りが少々うるさくなってな。あまり大っぴらに出歩けなくなってきた」
「それで、私をここに置こうと?」
「そういうことだ。屋敷のうちなら、誰も文句はないだろう」

 湯殿の支度ができたと戸の外から声がかかった。


 贅沢な檜の風呂に、二人で入り、体を擦り合い、お湯をふんだんに使った。
 そして、暑い湯の中でも抱き合い、乱れた。

 その後、朝餉をご馳走になり、見事な山水の庭を眺めながら、二人でゆったりと過ごした。

 こんな贅沢な刻は、もう二度とないのではないかと怖くなるくらいだ。

「もう、極楽に来てしまいました。思い残すことはありません」
「なんだ。もう死ぬようなことを言う」

 風呂上がりの、湯帷子ゆかたびらを着て、春の庭を眺めながら、男に寄り添い、もたれかかった。

「いつ死んでも、悔いはありません」
「そうだな」
 と、左京大夫も笑った。
「このまま死んでもいいと、おれも思う」

 雪也の顎を持ち上げて、唇を重ねた。
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