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2章 かぶき者
4 果てなき愛に翻弄される
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人の気配に目をあけた。
誰?
男の顔が目の前にあった。
見たことのない顔だ。
でも、はっきりと見えているわけではない。
輪郭がぼやけている。
体が痺れて動かない。
声を出そうとしたが、出ているのかどうかさえわからない。
男の手が、顔を撫でている。
「との・・・お会いしとうございました」
そう囁いた唇が降りてくる。
額、眉、瞼、鼻、耳、頬、顎。
男の唇と舌が、一つ一つを確かめるようになぞっていく。
そして、唇が重なり、今まで経験したことのないほどの濃密な愛撫になる。
とのって、誰なんだ?
そう呼ばれる覚えはない。
人違い?
それにしては、濃すぎないか。
口って、こんなに感じるものなの?
喘ぎながらも、まだ、そう考える余裕があった。
唇から、首筋へ、唇が降りていく。
胸を執拗に愛撫する。
そして、腹から、下へ、ゆっくりと・・・。
やだ!
言ったつもりが、やはり声が出ていない。
唇と舌が這っていく。
力が入らず、逃れられない。
愛撫は絶え間なく続く。
体の敏感なところを探るように、少しづつ降りていく。
痛みはなく、強烈な快感に翻弄される。
内腿から、膝、くるぶし、足の指まで到達する。
指の一本一本を、舌で丁寧に転がされる。
くすぐったさが快感となって、体が跳ねそうになる。
やっと解放されたと思ったら、抱きしめられ、それが束の間の休憩になる。
絶え絶えの息を整えていると、うつ伏せに寝かされた。
次は後ろだ。
うなじを吸われるところから、背中、腰、お尻。
菊座まで・・・。
勘弁して!
舌が刺激する。
舌先が侵入してきた。
感触を確かめるように自在に動く。
心臓の鼓動が速くなった。
入れられるのか?
だが、そこまでで、後ろから抱きしめられた。
「との・・・もう離しはしない・・・」
泣いている?
声を殺して泣いているような気配がした。
また前に向かされて、口を吸われる。
二度目は、感じるところをピンポイントで攻めてくる。
絶える間もなく襲う愛撫に、喘ぐしかなかった。
もう何度目か、数える気力もなく、ぐったり力尽きたころ、ようやく男が離れていった。
朝が来て、日も高くなり、ようやく伊織が様子を見にきた。
「ご気分はいかがですか?」
布団にうつ伏せに寝たまま、起き上がれなかった。
「悪い。・・・一服盛るなんて、ひどい」
声は出せるようになったが、かれている。
恨めしげに、伊織を睨んだ。
「申し訳ございませぬ」
何食わぬ顔で軽く頭を下げている。
何があったのか、知っているのだろうか。
「気持ち悪い。流したい」
「では、湯殿へ」
「一人で行くからな」
もう、あんなことはごめんだ。
「支度をして参りますので、少々お待ちを」
伊織が、微笑を残して、立っていった。
一体どうなっているのか、さっぱりわからなかった。
奴隷のように扱われるでもなく、昨夜の男も、痛めつけるような苦痛を与えてはこなかった。
よく考えれば、いくらでも犯せるのに、そうではなかった。
全身くすぐられて、イカされただけだ。
思い出すと恥ずかしい。
伊織が呼びにくるまで、またとろとろと眠った。
風呂で体を流したあとは、食事が出された。
「何も入ってないだろうな」
今日は小姓ではなく、伊織が世話をしてくれる。
「はい。今度こそ、主人がお話しいたします」
昨日ほどではないが、景司にとっては十分ご馳走だ。
お腹が空いていたので、性懲りもなくがっついてしまった。
お腹が膨れると、耐え難い眠気に襲われて、畳に寝転んだ。
膳は下げられ、気持ちのよい風が庭から吹いてくる。
体がだるくて仕方がなかった。
また何か入れられたのではないかと疑いたくなる。
どれくらい経ったのか。
人が近づく気配に、目を開けた。
男の顔が目の前にあった。
昨夜の男だ。
細面で、鼻が高く、彫りの深い顔立ちがはっきりと見えた。
反射的に半身を起こし、後ずさった。
今度は体が動く。
「どういうつもりだ!」
かすれた声でなじる。
だが、男は、座り直して、平伏した。
「それがしは、久松式部でござる。そなたのまことの父は片瀬兵衛介にあらず。前藩主、松平定良さまである」
「・・・?」
何を言っているのか、理解できなかった。
誰?
男の顔が目の前にあった。
見たことのない顔だ。
でも、はっきりと見えているわけではない。
輪郭がぼやけている。
体が痺れて動かない。
声を出そうとしたが、出ているのかどうかさえわからない。
男の手が、顔を撫でている。
「との・・・お会いしとうございました」
そう囁いた唇が降りてくる。
額、眉、瞼、鼻、耳、頬、顎。
男の唇と舌が、一つ一つを確かめるようになぞっていく。
そして、唇が重なり、今まで経験したことのないほどの濃密な愛撫になる。
とのって、誰なんだ?
そう呼ばれる覚えはない。
人違い?
それにしては、濃すぎないか。
口って、こんなに感じるものなの?
喘ぎながらも、まだ、そう考える余裕があった。
唇から、首筋へ、唇が降りていく。
胸を執拗に愛撫する。
そして、腹から、下へ、ゆっくりと・・・。
やだ!
言ったつもりが、やはり声が出ていない。
唇と舌が這っていく。
力が入らず、逃れられない。
愛撫は絶え間なく続く。
体の敏感なところを探るように、少しづつ降りていく。
痛みはなく、強烈な快感に翻弄される。
内腿から、膝、くるぶし、足の指まで到達する。
指の一本一本を、舌で丁寧に転がされる。
くすぐったさが快感となって、体が跳ねそうになる。
やっと解放されたと思ったら、抱きしめられ、それが束の間の休憩になる。
絶え絶えの息を整えていると、うつ伏せに寝かされた。
次は後ろだ。
うなじを吸われるところから、背中、腰、お尻。
菊座まで・・・。
勘弁して!
舌が刺激する。
舌先が侵入してきた。
感触を確かめるように自在に動く。
心臓の鼓動が速くなった。
入れられるのか?
だが、そこまでで、後ろから抱きしめられた。
「との・・・もう離しはしない・・・」
泣いている?
声を殺して泣いているような気配がした。
また前に向かされて、口を吸われる。
二度目は、感じるところをピンポイントで攻めてくる。
絶える間もなく襲う愛撫に、喘ぐしかなかった。
もう何度目か、数える気力もなく、ぐったり力尽きたころ、ようやく男が離れていった。
朝が来て、日も高くなり、ようやく伊織が様子を見にきた。
「ご気分はいかがですか?」
布団にうつ伏せに寝たまま、起き上がれなかった。
「悪い。・・・一服盛るなんて、ひどい」
声は出せるようになったが、かれている。
恨めしげに、伊織を睨んだ。
「申し訳ございませぬ」
何食わぬ顔で軽く頭を下げている。
何があったのか、知っているのだろうか。
「気持ち悪い。流したい」
「では、湯殿へ」
「一人で行くからな」
もう、あんなことはごめんだ。
「支度をして参りますので、少々お待ちを」
伊織が、微笑を残して、立っていった。
一体どうなっているのか、さっぱりわからなかった。
奴隷のように扱われるでもなく、昨夜の男も、痛めつけるような苦痛を与えてはこなかった。
よく考えれば、いくらでも犯せるのに、そうではなかった。
全身くすぐられて、イカされただけだ。
思い出すと恥ずかしい。
伊織が呼びにくるまで、またとろとろと眠った。
風呂で体を流したあとは、食事が出された。
「何も入ってないだろうな」
今日は小姓ではなく、伊織が世話をしてくれる。
「はい。今度こそ、主人がお話しいたします」
昨日ほどではないが、景司にとっては十分ご馳走だ。
お腹が空いていたので、性懲りもなくがっついてしまった。
お腹が膨れると、耐え難い眠気に襲われて、畳に寝転んだ。
膳は下げられ、気持ちのよい風が庭から吹いてくる。
体がだるくて仕方がなかった。
また何か入れられたのではないかと疑いたくなる。
どれくらい経ったのか。
人が近づく気配に、目を開けた。
男の顔が目の前にあった。
昨夜の男だ。
細面で、鼻が高く、彫りの深い顔立ちがはっきりと見えた。
反射的に半身を起こし、後ずさった。
今度は体が動く。
「どういうつもりだ!」
かすれた声でなじる。
だが、男は、座り直して、平伏した。
「それがしは、久松式部でござる。そなたのまことの父は片瀬兵衛介にあらず。前藩主、松平定良さまである」
「・・・?」
何を言っているのか、理解できなかった。
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