3 / 15
時空間調律師
しおりを挟む
霊界に戻ったリナリーとクルスは時空間調律師のベースがある『アニマート』へと帰還した。
アニマートは霊界でも五本の指に入る大きい都市で様々な人種の者達が集い活気に溢れている。
多人種の人々が集うことで色々な情報が入る事から「情報集約都市」と呼ばれる。
「リナリー、クルス戻りました」
「お疲れ様。もしかして今朝の任務もう完了?」
ベースに戻ると同じ時空間調律師であるエルガートが驚いた様子で話しかけてきた。
「一応ね。実はリナリーが遠征許可出すの忘れてたんでちょっとペース上げたかな」
「いやいや、そんな理由で仕事早く終わるなら誰も苦労しないって。相変わらずお二人さんは仕事が早いねぇ」
「見てみ、あの慌てよう。アンナさんのお陰だよ」
リナリーはベースのカウンターの端末でさっさと任務報告を終えると慌てた様子でクルスとエルガートに駆け寄って来た。
「じゃ、わたしはもう帰るから!さようなら!」
「うん、アンナさんに宜しくな」
「エルガートもまたね」
リナリーはそう言うと物凄い勢いでベースを出ていった。
霊界では18歳で成人となり自由な行動が許されるが18歳未満は未成年とされ基本、保護者の監視が必要になる。
保護者は親またはアンナの様な寮などの管理人でも保護者として認められる。
寮で暮らしているリナリーにとってアンナは保護者という訳だ。
「クルス、どうだこの後、飯でも食いに行かないかい?」
「いいね、行こうか。いつものとこでいいよな」
「もちろん」
「俺は少しだけ調べ事して行くからよかったら先に行っててくれてもいいよ」
クルスがエルガートにそう言うとエルガートは「ではお先に」と言わんばかりにクルスの肩をポンと叩きベースを後にした。
時空間調律師は調律師としてこのベースを拠点として依頼、任務を受けてはいるが基本的には『個人事業主』いわゆる自営業である。
ベースは時空間調律師専用のシェアオフィスのようなもので皆、ベース内で自由に依頼の請負や任務の確認などの調べ事や他の時空間調律師との情報交換を行う事が出来る。
クルスは空いている端末を操作し任務報告を行う。そして依頼内容の確認を行った。
依頼の方法は基本的に三種類存在する。
一つ目は誰もが自由に請負う事が出来る『自由依頼』
取得出来る報酬及び名声値は少ないが様々なカテゴリーから自分にあった依頼を受けることが出来る。
二つ目が依頼者が請負人を指定する事により請け負うことが出来る『専属依頼』
チャージリクエストは名声値によって定められた報酬以上でないと依頼を行えない為、安定した報酬及び名声値が受け取れる代わりに依頼内容の難易度が高い。
チャージリクエストの依頼基準となる名声値はシステムによって管理され、依頼を完了する事により上げることが出来る。
しかし、依頼失敗時には受けたリクエストの難易度によって決められた数値が減算される。
三つ目は請負人が自ら依頼を請け負ってくる依頼、『契約依頼』
任務内容、報酬は依頼人と請負人が直接対面して契約を行い依頼を行う方法。
内容によって高い報酬を受け取れる場合もあるが名声値は手に入らない。
クルスがチャージリクエストを確認していると『機密』の文字が目についた。
「ん、機密。外部公開禁止の依頼か。」
ーー依頼人:シス
ーー請負人:リナリー・シーカー及びクルス・ランドルフ
ーー【機密】人界の時空干渉に関する調査依頼
ーー依頼人所在地:神界
「神界だと?!何かの悪戯か?」
通常、神界人である神々は自身の力で時空間の調律を行える為、霊界へのリクエストを行う事はごく稀である。
稀にではあるが自身が調律を行えない理由がある場合に時空間調律師に依頼を行う事はある。
しかしその場合は通常はベースで活動する調律師ではなく、霊界統括の上級調律師に依頼を行うものだ。
クルスが悪戯と思うのも無理はない。
しかしこのリクエスト管理システム自体、霊界統括(全霊界の統括組織)によって管理されているおり、登録には色々と面倒臭いと感じるほどの厳しい審査が必要なのだ。
虚偽の登録は行えないのである。
クルスは少し考え、しかしリナリーの意見を聞いてみたいと思いリクエストを自身の端末に転送した。
「やばっ、エルガートだいぶ待たせちまってるな。そろそろ行くか」
端末のログアウトを確認しベースを後にした。
「お仕事ご苦労さま」
店に着くとエルガートは怒るでもなく労を労う。
「ほんとすまん、ちょっと集中しちまって」
そう言うと席につき、飲み物と本日おすすめディナーセットを注文する。
「なにか美味しい依頼でもあったのかい?」
クルスはふとエルガートの意見も聞いてみたい衝動に駆られたが『機密依頼』の為、外部に漏らすことは出来ない。
機密依頼は請負人に選択されたものの間でのみ共有が許されるからだ。
「いや、リナリーが頑張ってるお陰でチャージリクエストの報酬はなかなか上がってるよ」
「君はいつもリナリーを建てるよね。騎士の鏡だね」
「そんなんじゃねーよ。」
クルスはふと寂しそうな表情を見せる。
それを察したエルガートはクルスの過去について、そしてクルスが抱く感情について少し興味があると話し始めたのだった。
アニマートは霊界でも五本の指に入る大きい都市で様々な人種の者達が集い活気に溢れている。
多人種の人々が集うことで色々な情報が入る事から「情報集約都市」と呼ばれる。
「リナリー、クルス戻りました」
「お疲れ様。もしかして今朝の任務もう完了?」
ベースに戻ると同じ時空間調律師であるエルガートが驚いた様子で話しかけてきた。
「一応ね。実はリナリーが遠征許可出すの忘れてたんでちょっとペース上げたかな」
「いやいや、そんな理由で仕事早く終わるなら誰も苦労しないって。相変わらずお二人さんは仕事が早いねぇ」
「見てみ、あの慌てよう。アンナさんのお陰だよ」
リナリーはベースのカウンターの端末でさっさと任務報告を終えると慌てた様子でクルスとエルガートに駆け寄って来た。
「じゃ、わたしはもう帰るから!さようなら!」
「うん、アンナさんに宜しくな」
「エルガートもまたね」
リナリーはそう言うと物凄い勢いでベースを出ていった。
霊界では18歳で成人となり自由な行動が許されるが18歳未満は未成年とされ基本、保護者の監視が必要になる。
保護者は親またはアンナの様な寮などの管理人でも保護者として認められる。
寮で暮らしているリナリーにとってアンナは保護者という訳だ。
「クルス、どうだこの後、飯でも食いに行かないかい?」
「いいね、行こうか。いつものとこでいいよな」
「もちろん」
「俺は少しだけ調べ事して行くからよかったら先に行っててくれてもいいよ」
クルスがエルガートにそう言うとエルガートは「ではお先に」と言わんばかりにクルスの肩をポンと叩きベースを後にした。
時空間調律師は調律師としてこのベースを拠点として依頼、任務を受けてはいるが基本的には『個人事業主』いわゆる自営業である。
ベースは時空間調律師専用のシェアオフィスのようなもので皆、ベース内で自由に依頼の請負や任務の確認などの調べ事や他の時空間調律師との情報交換を行う事が出来る。
クルスは空いている端末を操作し任務報告を行う。そして依頼内容の確認を行った。
依頼の方法は基本的に三種類存在する。
一つ目は誰もが自由に請負う事が出来る『自由依頼』
取得出来る報酬及び名声値は少ないが様々なカテゴリーから自分にあった依頼を受けることが出来る。
二つ目が依頼者が請負人を指定する事により請け負うことが出来る『専属依頼』
チャージリクエストは名声値によって定められた報酬以上でないと依頼を行えない為、安定した報酬及び名声値が受け取れる代わりに依頼内容の難易度が高い。
チャージリクエストの依頼基準となる名声値はシステムによって管理され、依頼を完了する事により上げることが出来る。
しかし、依頼失敗時には受けたリクエストの難易度によって決められた数値が減算される。
三つ目は請負人が自ら依頼を請け負ってくる依頼、『契約依頼』
任務内容、報酬は依頼人と請負人が直接対面して契約を行い依頼を行う方法。
内容によって高い報酬を受け取れる場合もあるが名声値は手に入らない。
クルスがチャージリクエストを確認していると『機密』の文字が目についた。
「ん、機密。外部公開禁止の依頼か。」
ーー依頼人:シス
ーー請負人:リナリー・シーカー及びクルス・ランドルフ
ーー【機密】人界の時空干渉に関する調査依頼
ーー依頼人所在地:神界
「神界だと?!何かの悪戯か?」
通常、神界人である神々は自身の力で時空間の調律を行える為、霊界へのリクエストを行う事はごく稀である。
稀にではあるが自身が調律を行えない理由がある場合に時空間調律師に依頼を行う事はある。
しかしその場合は通常はベースで活動する調律師ではなく、霊界統括の上級調律師に依頼を行うものだ。
クルスが悪戯と思うのも無理はない。
しかしこのリクエスト管理システム自体、霊界統括(全霊界の統括組織)によって管理されているおり、登録には色々と面倒臭いと感じるほどの厳しい審査が必要なのだ。
虚偽の登録は行えないのである。
クルスは少し考え、しかしリナリーの意見を聞いてみたいと思いリクエストを自身の端末に転送した。
「やばっ、エルガートだいぶ待たせちまってるな。そろそろ行くか」
端末のログアウトを確認しベースを後にした。
「お仕事ご苦労さま」
店に着くとエルガートは怒るでもなく労を労う。
「ほんとすまん、ちょっと集中しちまって」
そう言うと席につき、飲み物と本日おすすめディナーセットを注文する。
「なにか美味しい依頼でもあったのかい?」
クルスはふとエルガートの意見も聞いてみたい衝動に駆られたが『機密依頼』の為、外部に漏らすことは出来ない。
機密依頼は請負人に選択されたものの間でのみ共有が許されるからだ。
「いや、リナリーが頑張ってるお陰でチャージリクエストの報酬はなかなか上がってるよ」
「君はいつもリナリーを建てるよね。騎士の鏡だね」
「そんなんじゃねーよ。」
クルスはふと寂しそうな表情を見せる。
それを察したエルガートはクルスの過去について、そしてクルスが抱く感情について少し興味があると話し始めたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる