Time breaker ー時の破壊者ー

七星 緋彩

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時空間調律師

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 霊界に戻ったリナリーとクルスは時空間調律師のベースがある『アニマート』へと帰還した。

 アニマートは霊界でも五本の指に入る大きい都市で様々な人種の者達が集い活気に溢れている。

 多人種の人々が集うことで色々な情報が入る事から「情報集約都市」と呼ばれる。

「リナリー、クルス戻りました」

「お疲れ様。もしかして今朝の任務もう完了?」 

 ベースに戻ると同じ時空間調律師であるエルガートが驚いた様子で話しかけてきた。

「一応ね。実はリナリーが遠征許可出すの忘れてたんでちょっとペース上げたかな」

「いやいや、そんな理由で仕事早く終わるなら誰も苦労しないって。相変わらずお二人さんは仕事が早いねぇ」

「見てみ、あの慌てよう。アンナさんのお陰だよ」

 リナリーはベースのカウンターの端末でさっさと任務報告を終えると慌てた様子でクルスとエルガートに駆け寄って来た。

「じゃ、わたしはもう帰るから!さようなら!」

「うん、アンナさんに宜しくな」

「エルガートもまたね」

 リナリーはそう言うと物凄い勢いでベースを出ていった。

 霊界では18歳で成人となり自由な行動が許されるが18歳未満は未成年とされ基本、保護者の監視が必要になる。

 保護者は親またはアンナの様な寮などの管理人でも保護者として認められる。

 寮で暮らしているリナリーにとってアンナは保護者という訳だ。

「クルス、どうだこの後、飯でも食いに行かないかい?」

「いいね、行こうか。いつものとこでいいよな」

「もちろん」

「俺は少しだけ調べ事して行くからよかったら先に行っててくれてもいいよ」

 クルスがエルガートにそう言うとエルガートは「ではお先に」と言わんばかりにクルスの肩をポンと叩きベースを後にした。

 時空間調律師は調律師としてこのベースを拠点として依頼、任務を受けてはいるが基本的には『個人事業主こじんじぎょうぬし』いわゆる自営業である。

 ベースは時空間調律師専用のシェアオフィスのようなもので皆、ベース内で自由に依頼の請負や任務の確認などの調べ事や他の時空間調律師との情報交換を行う事が出来る。

 クルスは空いている端末を操作し任務報告を行う。そして依頼内容の確認を行った。

 依頼の方法は基本的に三種類存在する。

 一つ目は誰もが自由に請負う事が出来る『自由依頼フリーリクエスト

 取得出来る報酬及び名声値リクエストポイントは少ないが様々なカテゴリーから自分にあった依頼を受けることが出来る。

 二つ目が依頼者クライアントが請負人を指定する事により請け負うことが出来る『専属依頼チャージリクエスト

 チャージリクエストは名声値によって定められた報酬以上でないと依頼を行えない為、安定した報酬及び名声値が受け取れる代わりに依頼内容の難易度が高い。

 チャージリクエストの依頼基準となる名声値リクエストポイントはシステムによって管理され、依頼を完了する事により上げることが出来る。

 しかし、依頼失敗時には受けたリクエストの難易度によって決められた数値が減算される。

 三つ目は請負人が自ら依頼を請け負ってくる依頼、『契約依頼セルフリクエスト

 任務内容、報酬は依頼人と請負人が直接対面して契約を行い依頼を行う方法。

 内容によって高い報酬を受け取れる場合もあるが名声値は手に入らない。

 クルスがチャージリクエストを確認していると『機密』の文字が目についた。

「ん、機密。外部公開禁止の依頼か。」

 ーー依頼人:シス

 ーー請負人:リナリー・シーカー及びクルス・ランドルフ

 ーー【機密】人界の時空干渉に関する調査依頼

 ーー依頼人所在地:神界

「神界だと?!何かの悪戯いたずらか?」

 通常、神界人である神々は自身の力で時空間の調律を行える為、霊界へのリクエストを行う事はごく稀である。

 稀にではあるが自身が調律を行えない理由がある場合に時空間調律師に依頼を行う事はある。

 しかしその場合は通常はベースで活動する調律師ではなく、霊界統括の上級調律師に依頼を行うものだ。

 クルスが悪戯と思うのも無理はない。

 しかしこのリクエスト管理システム自体、霊界統括(全霊界の統括組織)によって管理されているおり、登録には色々と面倒臭いと感じるほどの厳しい審査が必要なのだ。

 虚偽の登録は行えないのである。

 クルスは少し考え、しかしリナリーの意見を聞いてみたいと思いリクエストを自身の端末に転送した。

「やばっ、エルガートだいぶ待たせちまってるな。そろそろ行くか」

 端末のログアウトを確認しベースを後にした。

「お仕事ご苦労さま」

 店に着くとエルガートは怒るでもなくろうねぎらう。

「ほんとすまん、ちょっと集中しちまって」

 そう言うと席につき、飲み物と本日おすすめディナーセットを注文する。

「なにか依頼でもあったのかい?」

 クルスはふとエルガートの意見も聞いてみたい衝動に駆られたが『機密依頼』の為、外部に漏らすことは出来ない。

 機密依頼は請負人に選択されたものの間でのみ共有が許されるからだ。

「いや、リナリーが頑張ってるお陰でチャージリクエストの報酬はなかなか上がってるよ」

「君はいつもリナリーを建てるよね。騎士の鏡だね」

「そんなんじゃねーよ。」

 クルスはふと寂しそうな表情を見せる。

 それを察したエルガートはクルスの過去について、そしてクルスが抱く感情について少し興味があると話し始めたのだった。

 
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