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クルスとリナリー
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「クルスは騎士一族の貴族出身だったよね」
「ああ、一応な。」
「なんで時空間調律師になろうと思ったの?」
エルガートは興味津々な面持ちでクルスに質問を投げかけた。
「まぁ、理由は色々あるけど一つは時空間移動の能力が発現したからかな。時空間移動の能力を生かすには調律師が一番だろ」
「そうだよね。今の所、自分の意思で時空間移動出来るのは調律師だけだからね」
「あぁ、興味本位でも勝手に時空間移動を行おうもんなら一発懲役刑だもんな。発現した時は危なかったよ。飛びたくて、飛びたくて」
クルスは笑いながら身振り手振りを混じえて発現当時の話題をエルガートに話した。
エルガートも共感出来る部分があり自身の発現の昔話を持ち出すなど「調律師あるある」な話題で盛り上がった。
「なるほどね。でもさ、クルスの家系ランドルフ一族の直系ならさ騎士団に入るって選択肢はなかったの?」
エルガートは笑顔を見せながらも真面目な目付きでクルスに問いかけた。
クルスは有名な騎士一族ランドルフの直系長子であり、ランドルフの長子が時空間調律師になった事は当時ちょっとした話題になった。
中には「ランドルフの長子は剣の才能が全くなかったらしい」とか「騎士の修行が苦しくて逃げ出したらしい」などと噂されるほどだ。
当事者のクルスはそんな噂全く気になどしていないが語ろうともしない。その為、周りは極力「その話題」には触れないようにしている。
エルガートの口調はまるでクルスの内心を理解しているかのようだった。
「もちろん考えなかった訳じゃねーよ」
「小さい頃の憧れはやっぱり騎士だったしな。騎士鎧を纏った親父のカッコイイこと」
「俺は絶対、騎士になる!ってずーっと言ってたよ」
「へー。クルスならいい騎士になれると思うよ。」
エルガートは心の底からそう感じた。エルガート自身は騎士家に生まれた訳では無いが騎士には憧れがあり、目指したこともあった。
しかし、想像以上に騎士の壁は厚く挫折した過去があった。
だからこそ英才教育を受け、さらにその中でも騎士として十分な実力を持ち合わせるクルスが「なぜ時空間調律師という道を選んだのか」興味が湧いたのである。
「でもクルスを調律師に導いた一番の理由はリナリーなんだろ?」
クルスの目に優しい火が灯ったように見えた。
「まぁ、それもある。」
「あいつの過去は知ってるだろ?」
「まぁ、人並みにはね」
「あんなにいつでもふざけているように見えるがあいつなりに必死に取り戻そうと戦ってるんだよ」
「過去を?」
「あぁ。あいつの記憶喪失は普通じゃないらしい。一般的に記憶喪失になった場合、もちろん人にもよるが、ある程度言葉を話せたり、一部の記憶は断片的にでも残っているものらしい」
「でも俺が出会った頃のあいつは完全に『廃人』だった。廃人と言うよりも産まれたばかりの赤子の様な感じか。」
「言葉も話せねぇ、自分の感情は笑う、泣くぐらいしか表現出来ない。しかもどこから来たのかすらわからない」
「そこからランドルフ家に」
「あぁ、母親がまぁお人好しなんだ。うちは俺以外兄弟もいないだろ。そんな時に街におかしな捨て子がいるって噂になって」
「それがリナリーだったと。」
「俺が8つの時。リナリーは6歳だったらしい。後で遺伝子検査した時に細胞劣化から調べるとそれぐらいだろうって」
「当時の俺はそら嫌がったよ。今考えるとガキだなって感じだけど急に妹が出来て、しかも年齢もほぼ変わらない。でも記憶喪失のせいで手だけはかかるだろ。母親はリナリーばっかり構うし、完全に嫉妬してた」
「そらそうだろうね。普通に兄弟が出来ても嫉妬はあるし、別にクルスがおかしい訳じゃないと思うよ」
「でもある日、親父が俺に言ったんだ。」
「なんて?」
「おまえはリナリーの騎士になれって」
「それは何歳の頃の話なの?」
「10歳。当時の俺は騎士に憧れてしかも尊敬する上級騎士様からのお言葉だもん、それはそれは調子に乗ったよ」
「なるほどね、話を聞くだけでもカッコイイお父様だね。そうやって義妹の面倒をみない兄貴のやる気を引き出したってわけだ」
「いや、親父は本気で言ったんだと思う」
「本気で。10歳の息子に?」
「ああ、そこからが俺にとっては地獄だったよ」
地獄という言葉の意味とは裏腹にクルスの顔は穏やかで様々な思い出から言葉を選び出すように話を続けた。
「騎士の試練って知ってるか?」
「騎士見習いが正騎士になる為の試練だろ?僕は騎士見習いにすらなれなかったけど騎士の試練内容は何となく聞いたことはある」
「あれを受けさせられたんだ、12歳で」
「えっ、騎士の試練ってたしか大の大人の騎士見習いでも死人が出るって聞くよ。それを12歳で…そんな事が可能なの?」
「だから、地獄だったって言ったんだ。親父の言葉を聞いた次の日から親父の時間が空いた時はずーっと修行、修行」
「その一年後に騎士見習いになって、その次の年に正騎士になった。もちろん騎士団には入っていないから資格を取っただけの形だけどな」
「正騎士の資格を持っているだけでも凄いことなのにそれを12歳でなんて…クルス君は一体何者なんだ」
「俺は俺でしかない。凄くないなんて謙遜する気もないけど偉そうにする事でもない。そんなこんなで俺は正騎士になったその時からリナリーの騎士になった」
「その日から俺は自分に誓ったんだ、あいつの周りの敵は全て俺が薙ぎ払う。親父が言った『リナリーの騎士』として」
エルガートは危うく惚れてしまうのではないかと感じるほどにクルスがカッコよく見えた。
そして今回の食事に誘った真の目的、リナリーについての疑問をクルスに問いかける。
「リナリーって6歳からの記憶しかないんだよね」
「ああ。と言っても本人は初めの1~2年間はほとんど覚えてないって言ってた」
「僕は記憶喪失の人達の感覚ってのはよく分からないけど普通に考えると人より6年間遅れて学習が始まっているって事は成長もその分遅れそうだなって思うんだけど。色んな部分で」
「でもリナリーはそんな事は全く無いように見えるんだ。それどころか人より秀でている」
「僕はその秘密を知りたいと思っている」
エルガートの質問を「なるほど」と言うような表情と共にクルスは返した。
「それはな、」
「うん、」
「…めちゃくちゃ頭が良いんだよ、あいつ」
「えっ??」
「だから!あんなにふざけたこと言ってるくせに頭だけは良いんだよな。納得できねぇー」
エルガートは実はリナリーは時空間移動術以外の時空間操作の能力があるのではないかと睨んでいたのである。
クルスはそんなエルガートの思考を読み、自身が今まで語ってこなかった正騎士資格の事を話した。
万が一にでもエルガートがリナリーへの直接的な強行手段に出ないようにと自身の能力の一端をチラつかせ牽制したのである。
クルスはこのような手段は好まないがリナリーを守るためには手段を選ばない。その事を見せつける為には自身の信念を語るのが一番効果的だと考えたのだ。
…そう、実際リナリーには人に隠している、隠さなければいけない『ある能力』がある。
それを見抜いたエルガートの洞察力、思考力は大したものだ。しかしそのエルガートも実際の所、リナリーの力に憧れと尊敬を持っている。
あるかもしれない能力を利用したいと考えたわけではない。
憧れからリナリーについて知りたいと思ったのだ。しかしエルガートにとっては今回のクルスの話はそれ以上の収穫となった。
「クルス、今日は貴重な話をありがとう」
「あぁ、こっちもご馳走になってありがとな。このお礼はまた今度な。あ、それと…」
「正騎士の話でしょ。大丈夫、誰にも話さないから」
自分の思考を読まれたことに少し驚いた表情のクルスだったがこいつならまぁ読まれてもしょうがないかと笑顔を返した。
クルスもまたエルガートの洞察力と思考力に尊敬の念を抱いたのであった。
「ああ、一応な。」
「なんで時空間調律師になろうと思ったの?」
エルガートは興味津々な面持ちでクルスに質問を投げかけた。
「まぁ、理由は色々あるけど一つは時空間移動の能力が発現したからかな。時空間移動の能力を生かすには調律師が一番だろ」
「そうだよね。今の所、自分の意思で時空間移動出来るのは調律師だけだからね」
「あぁ、興味本位でも勝手に時空間移動を行おうもんなら一発懲役刑だもんな。発現した時は危なかったよ。飛びたくて、飛びたくて」
クルスは笑いながら身振り手振りを混じえて発現当時の話題をエルガートに話した。
エルガートも共感出来る部分があり自身の発現の昔話を持ち出すなど「調律師あるある」な話題で盛り上がった。
「なるほどね。でもさ、クルスの家系ランドルフ一族の直系ならさ騎士団に入るって選択肢はなかったの?」
エルガートは笑顔を見せながらも真面目な目付きでクルスに問いかけた。
クルスは有名な騎士一族ランドルフの直系長子であり、ランドルフの長子が時空間調律師になった事は当時ちょっとした話題になった。
中には「ランドルフの長子は剣の才能が全くなかったらしい」とか「騎士の修行が苦しくて逃げ出したらしい」などと噂されるほどだ。
当事者のクルスはそんな噂全く気になどしていないが語ろうともしない。その為、周りは極力「その話題」には触れないようにしている。
エルガートの口調はまるでクルスの内心を理解しているかのようだった。
「もちろん考えなかった訳じゃねーよ」
「小さい頃の憧れはやっぱり騎士だったしな。騎士鎧を纏った親父のカッコイイこと」
「俺は絶対、騎士になる!ってずーっと言ってたよ」
「へー。クルスならいい騎士になれると思うよ。」
エルガートは心の底からそう感じた。エルガート自身は騎士家に生まれた訳では無いが騎士には憧れがあり、目指したこともあった。
しかし、想像以上に騎士の壁は厚く挫折した過去があった。
だからこそ英才教育を受け、さらにその中でも騎士として十分な実力を持ち合わせるクルスが「なぜ時空間調律師という道を選んだのか」興味が湧いたのである。
「でもクルスを調律師に導いた一番の理由はリナリーなんだろ?」
クルスの目に優しい火が灯ったように見えた。
「まぁ、それもある。」
「あいつの過去は知ってるだろ?」
「まぁ、人並みにはね」
「あんなにいつでもふざけているように見えるがあいつなりに必死に取り戻そうと戦ってるんだよ」
「過去を?」
「あぁ。あいつの記憶喪失は普通じゃないらしい。一般的に記憶喪失になった場合、もちろん人にもよるが、ある程度言葉を話せたり、一部の記憶は断片的にでも残っているものらしい」
「でも俺が出会った頃のあいつは完全に『廃人』だった。廃人と言うよりも産まれたばかりの赤子の様な感じか。」
「言葉も話せねぇ、自分の感情は笑う、泣くぐらいしか表現出来ない。しかもどこから来たのかすらわからない」
「そこからランドルフ家に」
「あぁ、母親がまぁお人好しなんだ。うちは俺以外兄弟もいないだろ。そんな時に街におかしな捨て子がいるって噂になって」
「それがリナリーだったと。」
「俺が8つの時。リナリーは6歳だったらしい。後で遺伝子検査した時に細胞劣化から調べるとそれぐらいだろうって」
「当時の俺はそら嫌がったよ。今考えるとガキだなって感じだけど急に妹が出来て、しかも年齢もほぼ変わらない。でも記憶喪失のせいで手だけはかかるだろ。母親はリナリーばっかり構うし、完全に嫉妬してた」
「そらそうだろうね。普通に兄弟が出来ても嫉妬はあるし、別にクルスがおかしい訳じゃないと思うよ」
「でもある日、親父が俺に言ったんだ。」
「なんて?」
「おまえはリナリーの騎士になれって」
「それは何歳の頃の話なの?」
「10歳。当時の俺は騎士に憧れてしかも尊敬する上級騎士様からのお言葉だもん、それはそれは調子に乗ったよ」
「なるほどね、話を聞くだけでもカッコイイお父様だね。そうやって義妹の面倒をみない兄貴のやる気を引き出したってわけだ」
「いや、親父は本気で言ったんだと思う」
「本気で。10歳の息子に?」
「ああ、そこからが俺にとっては地獄だったよ」
地獄という言葉の意味とは裏腹にクルスの顔は穏やかで様々な思い出から言葉を選び出すように話を続けた。
「騎士の試練って知ってるか?」
「騎士見習いが正騎士になる為の試練だろ?僕は騎士見習いにすらなれなかったけど騎士の試練内容は何となく聞いたことはある」
「あれを受けさせられたんだ、12歳で」
「えっ、騎士の試練ってたしか大の大人の騎士見習いでも死人が出るって聞くよ。それを12歳で…そんな事が可能なの?」
「だから、地獄だったって言ったんだ。親父の言葉を聞いた次の日から親父の時間が空いた時はずーっと修行、修行」
「その一年後に騎士見習いになって、その次の年に正騎士になった。もちろん騎士団には入っていないから資格を取っただけの形だけどな」
「正騎士の資格を持っているだけでも凄いことなのにそれを12歳でなんて…クルス君は一体何者なんだ」
「俺は俺でしかない。凄くないなんて謙遜する気もないけど偉そうにする事でもない。そんなこんなで俺は正騎士になったその時からリナリーの騎士になった」
「その日から俺は自分に誓ったんだ、あいつの周りの敵は全て俺が薙ぎ払う。親父が言った『リナリーの騎士』として」
エルガートは危うく惚れてしまうのではないかと感じるほどにクルスがカッコよく見えた。
そして今回の食事に誘った真の目的、リナリーについての疑問をクルスに問いかける。
「リナリーって6歳からの記憶しかないんだよね」
「ああ。と言っても本人は初めの1~2年間はほとんど覚えてないって言ってた」
「僕は記憶喪失の人達の感覚ってのはよく分からないけど普通に考えると人より6年間遅れて学習が始まっているって事は成長もその分遅れそうだなって思うんだけど。色んな部分で」
「でもリナリーはそんな事は全く無いように見えるんだ。それどころか人より秀でている」
「僕はその秘密を知りたいと思っている」
エルガートの質問を「なるほど」と言うような表情と共にクルスは返した。
「それはな、」
「うん、」
「…めちゃくちゃ頭が良いんだよ、あいつ」
「えっ??」
「だから!あんなにふざけたこと言ってるくせに頭だけは良いんだよな。納得できねぇー」
エルガートは実はリナリーは時空間移動術以外の時空間操作の能力があるのではないかと睨んでいたのである。
クルスはそんなエルガートの思考を読み、自身が今まで語ってこなかった正騎士資格の事を話した。
万が一にでもエルガートがリナリーへの直接的な強行手段に出ないようにと自身の能力の一端をチラつかせ牽制したのである。
クルスはこのような手段は好まないがリナリーを守るためには手段を選ばない。その事を見せつける為には自身の信念を語るのが一番効果的だと考えたのだ。
…そう、実際リナリーには人に隠している、隠さなければいけない『ある能力』がある。
それを見抜いたエルガートの洞察力、思考力は大したものだ。しかしそのエルガートも実際の所、リナリーの力に憧れと尊敬を持っている。
あるかもしれない能力を利用したいと考えたわけではない。
憧れからリナリーについて知りたいと思ったのだ。しかしエルガートにとっては今回のクルスの話はそれ以上の収穫となった。
「クルス、今日は貴重な話をありがとう」
「あぁ、こっちもご馳走になってありがとな。このお礼はまた今度な。あ、それと…」
「正騎士の話でしょ。大丈夫、誰にも話さないから」
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