鸞の島

こいちろう

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 松吉は思いつめた表情を崩さぬまま何もしゃべらない。石塔の台座に座って、沈みゆく夕陽をじっと見つめたままだ。一之助と成松も一緒に座っている。
 乙松もその横に座って言った。
「すまんのう、松吉。ワシが早いうちに黄康と手を切っておけばこうならなかったのじゃ。もうずっと手を切ろうと思っておった。つくづく黄康らの船にいるのが嫌になった」
 続けて一之助も言った。
「ああ、黄康なんぞの片棒を担ぐのはオレは端から嫌じゃった。倭寇じゃ倭寇じゃと言うて、日本のことを毛嫌いする奴らが多いが、近ごろの倭寇は、皆中国人じゃ。黄康らじゃ。何で黄康らに雇われてまで、和人の評判を落とさねばならんのか。和人の船乗りには仁義がある。『南無八幡大菩薩』じゃ。これほど非道なことはせん。黄康、あ奴は根っからの悪人じゃ」
「自分のしでかしたことをみんな和人の仕業のようにみせかけて、自分は平気でおるのよ。矢張り松吉から言われたとおり、ワシは黄康にうまくやられたのかも知れん。このようなざまでは、菱屋六兵衛にもう顔向け出来ん。これからは一切黄康なんぞに力を貸さぬ」
乙松は親父殿を思い出していた。六兵衛のことも思い出していた。何方も若いころの所業を悔いていたのだ。それで乙松に忠告してくれたのだ。それが頭に残りながらも、己も同じことを繰返している。
 舟山の島々や寧波の沿岸部での取り締まりが激しくなる程、黄康の誘いを断れず悪行に手を染めた。「生きるためだ」と気持ちを胡麻化して手下になっていた。そして付いてきた仲間まで悪行に引きずり込んだのだ。黄康をとやかく言うが、所詮乙松も同じ穴の狢だ。今では商売は二の次で、海沿いの集落を襲って略奪するばかりだ。面白がってやっている黄康らと違いはない。
「倭寇を真似て中国人がやっておるんじゃ。黄康を棟梁にした奴ら、皆で和人を騙って悪さのし放題じゃ。どんどん大きな塊になってあくどいことばかり繰り返している。梶取、これでいいのか?」
「良いわけなかろう。この村を襲うて鸞を奪ったのも、彼奴らの先祖かもしれぬ。やめじゃ、やめじゃ。なんでワシ等が和人の評判を落とさにゃならんのか」
繰返して同じような愚痴が出てくる。
 だが、そういう己たちも和人の評判を貶めている悪党なのだ。
「親方」
やっと松吉がしゃべった。
「親方は黄康に逆らえるか?」
「逆らえるかって、あいつとワシは親分子分の間じゃないぞ。ただ食っていくためのちょっとした手伝いくらいのものなのだ」
「そうかな。親方はそう思っていても、彼奴の方はそう思っていない。黄康に甘すぎる。親方は優しすぎるんだ」
「優しすぎる?そうかのう」
「そう、乙松親方は優しい。和人はお人好しだ。和人は明には勝てない。明の人間はみんな底意地の悪さを持っているんだ。此れだけの大人数の中だ。持っていなけりゃ生きていけない。一人ひとりが勝手なんだ。みんな国のことなんて思ってない。だから鸞だって自分で此処を見捨てて出ていったんだ」
「そりゃ、ワシらにしてもおんなじだ。太閤様の明攻めを嫌って国から逃げ出してきたのだ。でもな、仲間を置いては逃げられねえ。そこが明と違って、島国の小民族なんだろうな。瀬戸内の海賊なんて皆そうだ。太閤様の唐入りだって、不味いことだと分かっているんだ。でも、仲間が行くならと、殆どの連中がついて行ったもの」
「やっぱり親方だな。親方は優しいよ。みんなに優しい。直ぐに謝るだろ。直ぐに、すまん、松吉すまん、だよ。でも、すまんすまん、ってなんなんだ。明では少々のことじゃ頭を下げないよ。謝るのはよっぽどのことだ。心から謝罪したい時だけしか頭を下げない。頭を下げるってのは完全に負けて相手に従うってことだ。ちょっとした過ちくらいで頭を下げない。大げさなくらい言い訳をする。最後の最後まで自分の立場がよくなる方法はないか考えるんだ。他人のために我慢するなんてことはない。自分が大事なんだよ。黄康を見ていてよく分かるだろ。和人みたいに簡単に謝って済ませようとしたら、徹底的に突っ込まれて破滅させられてしまうんだ。黄康はそれをよく知っている。すまんすまんでは、簡単にはすまんようになってしまう」
松吉は言うほどに語気が荒くなっていった。乙松は返す言葉がなくなった。
 石塔の裏手に奥深い穴があった。村人は皆、そこに避難していた。深く大きな洞窟で、村人皆が入るに充分の広さがある。何時何のためにこのような深い隠れ穴を作ったのか、遥かな昔からあるという。石塔と同じ頃に掘られた穴らしい。外襲に備えていたのだろうか。 
 夜寒を避けるように村人たちと一緒にそこに入って一夜を過ごした。松吉は村人から頻りに声を掛けられ慰められていたが、何も話さず座り込んだままぼんやりしていた。

 乙松は眠らないでいた。松吉もずっと起きていた。色々な思いが去来して疲れているのに眠れないのだ。
 暫くして松吉が言った。
「親方、オレを自由にしておくれ。オレをずっとこの村に残してくれよ。オレはシャオソンに戻ってこの村を元のように直したいんだ」
「おお、それがええ。松吉よ、今までおまえは充分働いてくれた。だから、もうシャオソンに戻れ。本当はオレたちの羽島に連れて戻って、おまえを三番目の娘の婿にしたかったんだ。でもな、おまえにもここでやりたいことはあるだろう。元々おまえはシャオソンで、ずっと自由じゃったのだ。シャオソンよ、此処に残っておまえがもう一度この村を立て直せ。そうしたら鸞もきっと戻ってくるぞ」
「シャオソンか…。そうかおまえ此処に残るのか。おまえの故郷じゃものな」
成吉は淋しそうに言った。
「そうじゃのう。やっぱり自分の産まれた郷に戻るのが一番じゃ。梶取よ、オレたちももうよかろう。羽島に帰ろうじゃないか」
一之助も淋しそうだった。
 松吉がぼそりと言った。
「親方は矢ノ浦でも私に声を掛けてくれた。ホーオンエンヤ、ホーオンエンヤって…。なんのことか分からなかった。あの頃のオレ、暗い気持ちでいた。奴隷だよ。沖乗りの船に乗って自分の村を初めて出たら、すぐに海賊に掴まったんだ。売られてすぐに人足仕事だ。そりゃもう真っ暗だった。あの頃は先に明りなんて何にも見えなかった」
「そうじゃったか。ワシはおまえの明るい声と顔しか覚えておらんが」
「矢ノ浦の浜で親方から声を掛けられてからだよ。エンヤエンヤって浜に出てみんなに明るい声をかけていただろ。あの元気な声に勇気づけられたんだ」
「おまえだって、明るい大きい声を出していたじゃないか」
「だって、親方の声がいつも耳に残るんだもの。ホーオンエンヤ、負けるな負けるな!って、そのうち日本語がだんだん分かるようになったんだ」
「そうか、いやワシはワシで、おまえの明るい笑った顔で元気づけられていたんだぞ」
「親方に会えて良かった。やっぱり仲間っていい。仲間ってやっぱり大切だ」
シャオソンの表情から淋しい陰が少しずつ消えていった。
「親方、やっぱり優しい親方がいい。身内を思う気持ちは和人も中国人もない。オレが間違ってた。身内って、仲間ってやっぱり大事だ。オレは和人になりたかった。親方のような和人になりたかった」
「ワシもおまえを息子のように思っていた。親子になるのに日本人も中国人もない。人だ。人はみんな仲間じゃ」

                              
 翌朝早く、黄康が村に舞い戻ってきた。官船に散々追いかけられたらしい。帆柱もなく、矢倉も壊れかけたみすぼらしいジャンクに生き残りの数十人を乗せたまま、行く当てもなく逃げてきたのだ。
 己が焼き尽くしたこの村だ。焼け跡には人の気配もない。いたとして、どんな仕打ちを受けるか、黄康にも分かっていたはずだ。ところが戻ってきた。そして浜に上がるなり、
「おい誰かいないか!水をくれ。飯をくれ。腹を減らしておるんだ。手下皆が弱り切っている。なんとか飯の都合は出来ないか!」
何時もの横柄な態度で焼き払った集落に向かって叫びまわっている。
 黄康の声を聞いて、シャオソンは丘から駆け下りていった。
「おお、生きておったか松吉。丁度いい。飯だ。飯を都合しろ」
「そんなものがあるか!もしあったとしてだ、この村には貴様なんかにやるものは絶対ない。出ていけ!黄康、貴様だけは絶対に許さん!」
精一杯力をふり絞った怒声だった。傍らの石を拾い、黄康めがけて投げつけようとしている。何時もの穏やかな表情と変わって恐ろしい形相だ。
「なにオ、貴様!倭人なんかの奴隷風情めが」
黄康は真っ赤な顔をして怒鳴り返した。声を荒げると同時だった。シャオソンの胸めがけて持っていた槍を突き刺した。後を追って下りてきた乙松たちが止める間もなかった。
 黄康の突き刺した槍が真っすぐにシャオソンの体を貫いた。胸を真っ赤に染めて槍の先が背中から突き抜けていた。それでもシャオソンは、
「威張るなっ!オレは貴様の奴隷なんかじゃない。オレは和人だ。乙松親方の息子だ!貴様こそ南嶺を逃げ回る山の部族のくせして。この海を汚すんじゃない。この村を汚すな!」
そう言い返してニタリと笑い、黄康に向けて握り拳を突き出した。
「貴様なんか中国人でもない!海から出ていけっ」
そしてそのまま息絶えた。
「クソオッ!ヤム族のどこが悪いのか!オレの一番気に障ることを言いやがる。ヤム族は死なぬぞ。山も海もわが里よオ」
余程悔しかったのか、黄康は仰向けに倒れたシャオソンを足蹴にして、もう一度槍で突こうとした。
 必死で乙松は止めた。
「やめんかッ、黄康!むごいことを。余りにむごいぞ!ようも人を簡単に殺すのう。大事な仲間というに」
シャオソンをしっかり抱き抱え、父親のような怒りを込めた目つきで黄康を睨みつけた。
「自分の村を焼かれ、妹を殺され、どれ程おまえのことを憎んだか…すまん、すまんのお!こんな愚かな奴に好きなようにさせてしもうて」
黄康は舌打ちをして、その場を去って行った。
 暫く手下と焼け跡を物色していた。しかし水も食料も焼け跡にはなかった。黄康らにも最早どれ程の力も残っていなかった。やがて諦めて自分たちのジャンクに戻った。
 程なく軍船が湾内に姿をみせた。黄康らを追いかけてきたのだ。黄康のジャンクには抵抗する気配もない。軍船は間近く寄って、砲弾を打ち込んだ。黄康のジャンクは砲弾を受けるたび、ばらばらに砕け散った。浜にやっと泳ぎ着いた連中も、逃げ回り疲れ果てた連中だ。焼け果てた村の中で隠れる所もなく逃げ惑いつつ、殆どが射ち殺された。
 乙松たちはシャオソンの亡骸を抱え何とか丘の上まで逃げ伸びた。昨日妹を始め多くの亡骸を埋葬した丘だ。乙松はシャオソンの遺体を石塔の台座に横たえて、がっくり膝をついた。
 矢張り鸞はこんな血なまぐさい村を見捨てたのだろうか。

 暫くして黄康が上がってきた。悪運の強いやつだ。散々逃げ回り、一人だけで上がってきたのだ。手下は下の集落で殆どやられた。
 黄康は村人が大勢隠れた穴を見つけた。
「隠れ穴だな。やっぱり、こんな穴を作っていたか。この中にお宝を隠していたのか。そうか、そうに違いない」
「だれがおまえなんぞこの穴にかくまってやるものか!」
成松と一之助が穴の入口で両手を広げた。
「貴様、頭じゃろうが。手下がやられておるというのに、一緒に死ぬ覚悟はないんか。この丘はおまえのような悪党が来るところじゃない。此処は松吉の丘じゃ!おまえの居場所などないわい」
最早争う気力も失せたか、黄康は一言も返せず二人を前にしゃがみこんだ。
 下の集落とその前の海が見える。軍船の砲撃を一方的に受けて、船体が完全に破壊され、沈んでいく己のジャンク。焼け焦げた集落を逃げ惑いながら軍兵の矢の標的となる手下たち。悲鳴をあげながら一人ひとり倒れされていく。その姿を見つめながら、独り言のように言った。
「全てがなくなった。オレの思うたことが全て消えてしもうたわ。大明国がなんだ。大きい民が小さい民を揉みつぶす。そんな世の中なんかぶっ壊れてしまえ」
 一之助と成吉の二人がシャオソンの亡骸を見つめながら言った。此方も憔悴しきった表情だ。
「もう終いにしようじゃないか。もう帰るぞ!なんとしても羽島に帰る。梶取、もうええよな。一緒に帰ろうや。のう乙松よ」
黄康とおんなじだ。乙松も全てをなくしてしまったような気がした。
「おまえら帰るのか。帰るところのある奴はいいよなあ。倭寇の分際で」
黄康が口を挟んだ。
「おい、黄康!おのれのような奴に言われとうはないわ。オレたちも碌なことはしていなかった。しかし、おまえほどにあくどいことはしとらんぞ!」
一之助の怒声に、黄康もやり返した。
「何を言いやがる。和人ほどに残酷な奴はいないぞ。広東の方じゃ和人に蛮刀でいきなり切りつけられたり、中には人の首を槍先に突き刺して、それを自慢げに担いで街中を歩く連中もみてきた。和人というやつらは何をするかわからぬ。昔、此処の石塔を壊してしまったのもおまえら倭寇だ。此処にあったはずの黄金の鈴もおそらく持ち逃げたのだろう。返せ!あれを手に入れた部族は幸福になるのだ。オレは自分の一族を幸せにしてやると誓うたのだ。返せ!オレがあくどいだと!オレらにしてもおまえらよりはまだましだ」
「和人にも、中にはあくどいやつらもおろうが、殆どはまともな商いをしておる大人しい連中じゃ。そういう外道の族はどこにもおろう。ワシも道を外したが、まだおまえほどじゃない。おまえほどの悪党はみたことない。見てみろ。シャオソンをこんな目にあわせやがって!シャオソンはいい奴だった。ワシの大切な息子だ!」
「生き残るためだ。生き残っていくには仕様がなかろう!オレは何としても生き残るのだ。自分が生き残って立て直すのよ。己の家を、己の村を、己の部族を。中国だと?大明国だと?そんなものなど知るものか!」
「おまえも中国に住むからは中国人だろうが!和人だろうとおまえの部族だろうと、みんな血の通った人間だろうが」
「ふん、説教なんぞいい加減にしろ。面倒なじじいだ。オレが拾うてやったからこれまで飯を食えたんじゃないのか」
一之助にはこれが堪えきれなかったようだ。
「貴様!たった今怯えきって此処に逃げてきたのじゃろうが!手下がやられても一人平気で、みんなを見捨てて逃げてきて、何が部族を立て直すんじゃ!ええか、乙松親方は仲間を見捨てることはない。何時も仲間を守ってきた。おまえのような悪党を生かして国に帰れぬ。オレが此れから成敗してやる。松吉の仇じゃ!成吉よ、逃げ出さぬように後ろをふさいどけ。この槍でたった今突き殺してやるわい!」
乙松も見たことのないほどに怒った顔の一之助だ。黄康の転がした槍を構えて睨み据えた。
 黄康は一之助のその迫力に怯えた。突き出されたその槍先を見上げて睨み返してはいるが、もう立つことも出来ず身構える様子もない。

 その時だ。突然石柱の上空から大きな羽音がした。巨大な鳥だ。大鳥が丘全体を覆うような両翼を広げて舞下りた。くすんだ色をした鳥だった。
 伝説の霊鳥か。
「鸞だ!伝説の大鳥だ。鸞はやっぱりここにいた!」
穴から顔を出した皆が驚きとも喜びともつかぬ叫び声を上げた。
 これが鸞だと?鸞ならば、目もくらむほどの光沢のある青い羽をしているはずだ。

 鸞なのか。鸞がこの村に帰ってきたということか。
 大鳥は「クワッ」と一声叫んで飛び立った。飛び立つときに乙松と黄康を両脚の爪で捕まえて、上に上に、羽を広げて何処ともなく舞上がっていった。

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