白色のダリア

ななしの

文字の大きさ
4 / 25
再会

しおりを挟む
◆◆◆
春休み中の部屋の引っ越し作業も全て落ち着き、ついに新学期が始った。

新しいクラスは、九条くんも同じだった。
授業にはたまに顔を出すだけで、あまり教室にはいない。
そのたびに『帰ったら注意してやる』と意気込むが、九条くんは部屋にいることも少なかった。
探しに行ったりもしてみたが、ほとんど見つけられない。
たまに見つけられた時は、大抵木陰で寝ていることが多かった。
そんな時は、起こすのは無粋かと声をかけずに放置していたが、どうやら気づいていたようで、ついに小言を言われてしまった。


「ちかちゃんさ、けっこう俺のこと探しに来てるでしょ」


ある日、朝ご飯を食べていたら、のっそりと自室から出てきた九条くんが開口一番に言った。
今日は平日で、これから普通に学校があるのにまだ制服を着ていない。
少し長めの髪は一つにまとめられていて、毛先に寝癖がついていた。
どうやら寝起きらしく、今のところ登校する気はないらしい。


「バレてたかぁ。いつも芝生の上で寝てるからてっきり気づいてないもんだと…」

「物音に気づけないほど外で爆睡しないよ」


九条くんはキッチンで水を注ぎながら、まだ眠た気にしている。


「いい加減ストーカーするのやめてくれない?」

「…じゃあせめて教室には来てよ。
同室だからプリント頼まれたり伝言頼まれたりする俺のことも考えてほしい」

「そういうのは無視していいよ。どうせテストは満点取れるから」


さらりとそう言ってのける九条くんにイラっとした。
自慢している感じではなく、事実をただ言っただけのような言い方だ。


「でも出席日数はやばいでしょ?九条くんっていつもどこか行っちゃうけど、何してるの?」


そう聞くと、コップを置き俺の方へ近寄ってきた。
その目は冷ややかで、思わず体が強張ってしまった。
どうやらこれは聞いてはいけなかったらしい。
身長も高い上、切れ長の目のせいでさらに迫力がある。


「知ったところでどうするの?何にも変わらないよね。
でもそうだな、そんなに気になるなら一つだけ教えてあげる」


ふと伸びてきた九条くんの手が、俺の唇を優しくなぞった。
驚いて体を引いて逃げたが、今度は首筋に手を伸ばしてきてするっと撫でる。
くすぐったくて、身をよじらせて何とか逃げた。


「な、なに」

「分からない?初心だなぁ。ならこれ以上は知らない方がいいよ」


九条くんはにっこりと見事な作り笑いを向けた後、混乱する俺を置いてさっさと部屋から出て行ってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

はじまりの朝

さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。 ある出来事をきっかけに離れてしまう。 中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。 これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。 ✳『番外編〜はじまりの裏側で』  『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

告白ごっこ

みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。 ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。 更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。 テンプレの罰ゲーム告白ものです。 表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました! ムーンライトノベルズでも同時公開。

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

先輩たちの心の声に翻弄されています!

七瀬
BL
人と関わるのが少し苦手な高校1年生・綾瀬遙真(あやせとうま)。 ある日、食堂へ向かう人混みの中で先輩にぶつかった瞬間──彼は「触れた相手の心の声」が聞こえるようになった。 最初に声を拾ってしまったのは、対照的な二人の先輩。 乱暴そうな俺様ヤンキー・不破春樹(ふわはるき)と、爽やかで優しい王子様・橘司(たちばなつかさ)。 見せる顔と心の声の落差に戸惑う遙真。けれど、彼らはなぜか遙真に強い関心を示しはじめる。 **** 三作目の投稿になります。三角関係の学園BLですが、なるべくみんなを幸せにして終わりますのでご安心ください。 ご感想・ご指摘など気軽にコメントいただけると嬉しいです‼️

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

君に不幸あれ。

ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」 学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。 生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。 静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。 静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。 しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。 玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。 それから十年。 かつて自分を救った玲に再会した静は玲に対して同じ苦しみを味合わせようとする。

処理中です...