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再会
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「九条くんがムカつく」
朝のホームルームの時間。
同じクラスで、以前のルームメイトだった友人・和田 亜希に、早速今朝のことを愚痴った。
まあまあ、となだめられたが、気持ちは全く晴れない。
「言い方がムカつく。態度がムカつく。俺、何も悪いこと言ってないと思うんだけど…!」
「まあ問題児らしいからなぁ。で、何があったの?」
どこか面白がっているような声色で続きを促される。
文句をつけようかとも思ったが、今はそれよりも九条くんへのイライラを発散させる方を優先させることにした。
「俺には関わるな、ストーカーするな、だって。しかも、変な触り方されて揶揄われた」
「ほーん」
「普段からさ、居なければ探しにも行って、学校の文書やら課題プリントやらも預かってあげてるのは一体どこの誰なんでしょうね!」
「お前だなぁ」
「少しくらいこっちの事を考えてくれても良くない?」
「まあ、考えられるような奴だったらここまで問題児って噂流れてないよな」
「…亜希、正論は今はいらないからちょっとくらい慰めてよ」
「ごめんって。お前って冗談っぽく怒ることはあってもリアルに怒るところは見たことなかったから、何か新鮮だな」
それはそうだ。
俺の周りの人達はここまで非常識ではないのだから。
あんな奴が身近にいたら、もっと前から不満を呈していただろう。
「亜希は九条くんと今まで関わったことってあった?」
「いんや、無いね。なんで?」
「うーん…初めて会った時にさぁ、どこか会ったことがあるような気がしたんだよね」
「そうなん?」
「うん。だからどこかで一緒になったことでもあったかなって思ったんだけど、全然思い当たらなくて。
俺、亜希とは去年からほとんどずっと一緒にいるでしょ?だから亜希なにか知ってるかなって」
亜希は、しばらく過去の記憶を辿るように宙を見つめた。
「やっぱねぇな。俺も名前だけ知ってるくらいだわ」
となると、やっぱり気のせいなのか。
考えてみれば、あれだけの容姿で、あれだけ目立つ雰囲気を持っている人なら、一度見れば忘れるはずがない。
やっぱりどこかですれ違ったりしていたのかも。
一先ずはこれにて解決、としたところで、亜希がおもむろに話し出した。
「そういや九条さ、夜な夜な学校抜け出してお金稼ぎに行ってるらしいって話聞いたことあるな」
「隠れてバイトしてるってこと?」
「いや、そうじゃないっぽい」
まるで怪談話をするように声をひそめる。
つい俺も体を亜希に近づけた。
「綺麗なオネーサンから可愛い男の子まで、色んな人の相手してるって噂。外出許可もらって遊びに行った奴らがたまに見かけるんだと」
「いやいや、いくら何でもそれは…」
「でも九条ってイケメンじゃん?あり得そうな話ではあるよな」
そこまで言うと、元の声のトーンに戻ってニヤリと笑った。
「ま、アイツに嫉妬してる奴らが貶めたくて変な噂を流しただけって可能性もあるし、マジで本当かどうかは分からないけどな」
亜希は『だとしたら面白くはない話だけど』と呟いた。
確かに気分が良いものではない。
九条くんは周りから何て思われていようが全く気にしなさそうではあるけど、何だかそれはそれで悲しい。
朝のイライラは大分落ち着き、今は彼が外に行って何をしているのか、さらに気になってしまった。
朝のホームルームの時間。
同じクラスで、以前のルームメイトだった友人・和田 亜希に、早速今朝のことを愚痴った。
まあまあ、となだめられたが、気持ちは全く晴れない。
「言い方がムカつく。態度がムカつく。俺、何も悪いこと言ってないと思うんだけど…!」
「まあ問題児らしいからなぁ。で、何があったの?」
どこか面白がっているような声色で続きを促される。
文句をつけようかとも思ったが、今はそれよりも九条くんへのイライラを発散させる方を優先させることにした。
「俺には関わるな、ストーカーするな、だって。しかも、変な触り方されて揶揄われた」
「ほーん」
「普段からさ、居なければ探しにも行って、学校の文書やら課題プリントやらも預かってあげてるのは一体どこの誰なんでしょうね!」
「お前だなぁ」
「少しくらいこっちの事を考えてくれても良くない?」
「まあ、考えられるような奴だったらここまで問題児って噂流れてないよな」
「…亜希、正論は今はいらないからちょっとくらい慰めてよ」
「ごめんって。お前って冗談っぽく怒ることはあってもリアルに怒るところは見たことなかったから、何か新鮮だな」
それはそうだ。
俺の周りの人達はここまで非常識ではないのだから。
あんな奴が身近にいたら、もっと前から不満を呈していただろう。
「亜希は九条くんと今まで関わったことってあった?」
「いんや、無いね。なんで?」
「うーん…初めて会った時にさぁ、どこか会ったことがあるような気がしたんだよね」
「そうなん?」
「うん。だからどこかで一緒になったことでもあったかなって思ったんだけど、全然思い当たらなくて。
俺、亜希とは去年からほとんどずっと一緒にいるでしょ?だから亜希なにか知ってるかなって」
亜希は、しばらく過去の記憶を辿るように宙を見つめた。
「やっぱねぇな。俺も名前だけ知ってるくらいだわ」
となると、やっぱり気のせいなのか。
考えてみれば、あれだけの容姿で、あれだけ目立つ雰囲気を持っている人なら、一度見れば忘れるはずがない。
やっぱりどこかですれ違ったりしていたのかも。
一先ずはこれにて解決、としたところで、亜希がおもむろに話し出した。
「そういや九条さ、夜な夜な学校抜け出してお金稼ぎに行ってるらしいって話聞いたことあるな」
「隠れてバイトしてるってこと?」
「いや、そうじゃないっぽい」
まるで怪談話をするように声をひそめる。
つい俺も体を亜希に近づけた。
「綺麗なオネーサンから可愛い男の子まで、色んな人の相手してるって噂。外出許可もらって遊びに行った奴らがたまに見かけるんだと」
「いやいや、いくら何でもそれは…」
「でも九条ってイケメンじゃん?あり得そうな話ではあるよな」
そこまで言うと、元の声のトーンに戻ってニヤリと笑った。
「ま、アイツに嫉妬してる奴らが貶めたくて変な噂を流しただけって可能性もあるし、マジで本当かどうかは分からないけどな」
亜希は『だとしたら面白くはない話だけど』と呟いた。
確かに気分が良いものではない。
九条くんは周りから何て思われていようが全く気にしなさそうではあるけど、何だかそれはそれで悲しい。
朝のイライラは大分落ち着き、今は彼が外に行って何をしているのか、さらに気になってしまった。
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