ジュエリー戦士Shining Guardians

岩下穂乃香

文字の大きさ
5 / 41

第5話 優美の決意!水と誠実の戦士、シャイニーサファイア誕生!

しおりを挟む
「心の輝きは、後8000人分。戦士は今のところ2人。人数が全員揃う前に息の根を止めるのだ」
大魔王はフェアーにそう言い、フェアーは一礼をして地球に向かった。

 優美は昨日のこともあり、色々と考え事をしながら学校に向かう。
「優美、おはよう!」
優美は後ろから声をかけられる。振り返ると、演劇部の部長を務める友達の遥花だった。
「おはよう……」
優美も挨拶を返す。
「どうした? 今日なんか顔色悪いよ」
遥花が優美に言う。
「ちょっと風邪気味で……」
本当のことを優美は遥花に言えず、ごまかしてしまった。
「大丈夫? この前も貧血で倒れたみたいだし、そうじゃなくても優美はすぐに体調崩すから、無理しないでよ」
遥花の言葉に優美は、
「ありがとう」
と返し、
「そういえば、昨日演劇部の仮入部に日野さんって1年生の子来た?」
と、遥花に聞いた。
「えーっと、愛華ちゃんのこと? 愛華ちゃんがどうかしたの?」
遥花が不思議そうに聞いてくる。
「この前、私が貧血で倒れたとき輝東さんって1年生の子と一緒に私を保健室まで運んでくれたみたいで、改めてお礼がしたいの」
優美の言葉に遥花は納得したような表情になり、
「そういうことか。今日も仮入部で1年生来るし、放課後小ホールまで来てくれれば呼んであげるよ」
と言ってくれる。
「ありがとう。後、輝東さんって1年生の子にもお礼がしたいけど、クラスとか部活とかよく分からなくて探しているの」
優美がそう言うと、遥花も一緒に探してくれると言ってくれた。優美は、改めて遥花が友達で良かったと思えた。

 その頃クォーツは愛華と希実に相談していた。
「サファイアの戦士になれるのは、あの子だけクク。」
クォーツの言葉に愛華は
「でも、水川さんが嫌ならやめた方がいいよ。私も希実も、それぞれ助けたいって気持ちがあって変身したわけだし」
と、言葉を返す。
「でも、あのときの水川さん愛華を助けたいって思っていたような気がする。弱々しいけど、青い光に包まれていたし。でも、何か理由があってその気持ちを消しちゃったように私は感じる」
希実は愛華の言葉に続けて言った。
「希実の言っていること、何か合っているような気がする」
愛華は、希実の言うことに納得した。
「今度、水川さんのところに行こう。ちゃんと理由が分かれば、私たちにできることだってあるかもしれないし」
クォーツも納得し、愛華と希実に水川さんのことを任せてくれた。水川さんと次に会えるのはいつになるか分からない。けれど、水川さんと分かりあいたいと2人は思った。

 水川さんに会う機会はすぐに訪れた。愛華が部活を終えて帰り支度をしていると、部長から突然呼ばれる。言われるがまま小ホールから出ると、そこには水川さんの姿があった。
「優美、愛華ちゃんに話があるみたいよ」
部長は愛華にそう言うと、小ホールの方へと戻っていった。
「水川さん、どうしたんですか?」
愛華が聞くと、
「話があるの。輝東さんも一緒がいいのだけど大丈夫かしら?」
と、水川さんは言ってきた。
「いいですよ。希実なら多分体育館にいると思うので、とりあえず体育館に行きましょう」
愛華はそう言うと、鞄を持って水川さんと一緒に体育館に向かった。体育館に着くと、バスケ部も活動が終わったようで帰り支度をみんなしていた。希実を呼び、愛華は体育館の外で水川さんと待つ。しばらくすると、希実が来た。愛華と水川さんが一緒にいることに驚いているようだ。愛華は希実に
「部活終わって部長に突然呼ばれて、小ホールの外に出たら水川さんがいて、私と希実に何か話があるみたい」
と言った。体育館に行く間ずっと無口だった水川さんが口を開く。
「改めて、私が貧血で倒れたとき2人とも保健室に私を運んでくれてありがとうございました。そして、昨日はごめんなさい。私、小さい頃から病気がちで入院してばかりだから、私が戦士になったところで2人に迷惑かけるだけだって思ったの。2人の事を助けたいけど、私には無理な気がして……」
そこで水川さんは黙り込んでしまった。愛華は、
「私、希実と水川さんの3人で困ったときに助け合える関係になりたい」
と水川さんに言った。希実も
「私も愛華も、水川さんのこと迷惑だなんて思わないよ。できないところを補っていけるようなそんな関係に、私もなりたい」
と言う。そのとき、突然遠くから大きな物音が聞こえてきた。愛華が辺りを見回すと、少し先にある川の側にトイフルが現れていた。
「私、2人の足を引っ張るかもしれない。それでもいいなら、少しでも2人のことを助けたい」
水川さんがそう言うと、水川さんの体が強く青い光に包まれた。クォーツが、愛華の鞄から出てくる。そして、
「改めて、私の名前はクォーツクク。君の名前を教えてほしいクク」
と言う。
「私は、水川優美。私でいいのなら、日野さん、輝東さんのことを助けたい」
水川さんの言葉を受けて、クォーツが青色のシャイニングコンパクト渡す。
「優美、それを使って、サファイアパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモと、叫ぶクク」
水川さんは、クォーツの言葉に頷く。
「サファイアパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
水川さんの黒のロングヘアが青色のロングヘアに変わる。長袖で大きく広がった袖に中心にサファイアのついた胸元の青色のリボン、下に白のパニエを重ねたようなボリュームたっぷりの青色のワンピース型衣装、足元は黒のタイツと水色のロングブーツになった。
「水と誠実の戦士、シャイニーサファイア」
水川さんに続き、愛華、希実も変身する。
「ルビーパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「トパーズパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「炎と愛の戦士、シャイニールビー」
「光と希望の戦士、シャイニートパーズ」
トイフルのもとに3人で行くと、心の輝きを奪われた人々がたくさん倒れている。
「戦士が1人増えている。これは大魔王様に報告しなければ」
フェアーは、ルビーたち3人の姿に驚き、去っていった。
「サファイア、コンパクトに力を込めて、サファイア・フリージングと叫ぶクク」
クォーツはサファイアにそう言い、サファイアはコンパクトに力を込めた。
「サファイア・フリージング」
すると、さっきまで暴れていたトイフルが氷となって固まった。
「今よ。ルビー、トイフルを倒して」
サファイアの言葉にルビーは頷き、コンパクトに力を込めた。
「ルビー・ファイアー」
これで、トイフルは、倒された。
「サファイア、ありがとう」
ルビーとトパーズは、サファイアに言った。
「最後にサファイア、サファイア・パワーと言って、誠実の力で、倒れた人々を元に戻すクク」
クォーツがサファイアに言った。
「サファイア・パワー」
サファイアの力で、倒れていた人々は再び目覚めた。優美の決意に愛華と希実は、協力して戦うことを決意した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

【完結】キスの練習相手は幼馴染で好きな人【連載版】

猫都299
児童書・童話
沼田海里(17)は幼馴染でクラスメイトの一井柚佳に恋心を抱いていた。しかしある時、彼女は同じクラスの桜場篤の事が好きなのだと知る。桜場篤は学年一モテる文武両道で性格もいいイケメンだ。告白する予定だと言う柚佳に焦り、失言を重ねる海里。納得できないながらも彼女を応援しようと決めた。しかし自信のなさそうな柚佳に色々と間違ったアドバイスをしてしまう。己の経験のなさも棚に上げて。 「キス、練習すりゃいいだろ? 篤をイチコロにするやつ」 秘密や嘘で隠されたそれぞれの思惑。ずっと好きだった幼馴染に翻弄されながらも、その本心に近付いていく。 ※現在完結しています。ほかの小説が落ち着いた時等に何か書き足す事もあるかもしれません。(2024.12.2追記) ※「キスの練習相手は〜」「幼馴染に裏切られたので〜」「ダブルラヴァーズ〜」「やり直しの人生では〜」等は同じ地方都市が舞台です。(2024.12.2追記) ※小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、ノベルアップ+、Nolaノベル、ツギクルに投稿しています。 ※【応募版】を2025年11月4日からNolaノベルに投稿しています。現在修正中です。元の小説は各話の文字数がバラバラだったので、【応募版】は各話3500~4500文字程になるよう調節しました。67話(番外編を含む)→23話(番外編を含まない)になりました。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい

藤永ゆいか
児童書・童話
過去のある出来事から、空手や合気道を習うようになった私。 そして、いつしか最強女子と言われるようになり、 男子が寄りつかなくなってしまった。 中学では恋がしたいと思い、自分を偽って 学校生活を送ることにしたのだけど。 ある日、ひったくり犯を撃退するところを クラスメイトの男子に見られてしまい……。 「お願い。このことは黙ってて」 「だったら、羽生さん。 俺のボディーガード兼カノジョになってよ」 「はい!?」 私に無茶な要求をしてきた、冴えないクラスメイトの 正体はなんと、大財閥のイケメン御曹司だった!? * * * 「ボディーガードなんて無理です!」 普通の学校生活を送りたい女子中学生 羽生 菜乃花 × 「君に拒否権なんてないと思うけど?」 訳あって自身を偽る隠れ御曹司 三池 彗 * * * 彗くんのボディーガード兼カノジョになった 私は、学校ではいつも彼と一緒。 彗くんは、私が彼のボディーガードだからそばにいるだけ。 そう思っていたのに。 「可愛いな」 「菜乃花は、俺だけを見てて」 彗くんは、時に甘くて。 「それ以上余計なこと言ったら、口塞ぐよ?」 私にだけ、少し意地悪で。 「俺の彼女を傷つける人は、 たとえ誰であろうと許さないから」 私を守ってくれようとする。 そんな彗くんと過ごすうちに私は、 彼とずっと一緒にいたいと思うようになっていた──。 「私、何があっても彗くんのことは絶対に守るから」 最強女子と隠れ御曹司の、秘密の初恋ストーリー。

処理中です...