ジュエリー戦士Shining Guardians

岩下穂乃香

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第31話 優美さんが入院?

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 優美はいつも通り夕食を食べ終え、勉強をするために自分の部屋に戻ろうとする。そのとき、優美はめまいのような感覚を覚えてその場に倒れこむ。優美の名前を呼ぶお母さんとお父さんの声が微かに聞こえる中、優美の意識は消えていった。

 次に優美が目を覚ますと、そこは病院のベッドの上だった。ベッドの側には優美を心配そうな顔で見つめるお母さんとお父さんがいる。目を覚ました優美を見て、お母さんとお父さんは安心したような表情になり、安堵の息をつく。
「目を覚ましたのね。急に倒れたからびっくりしたわ」
そう言うお母さんの顔には涙を流したような跡がある。
「念のため、明日は精密検査をしてもらうことにしたから、今日はゆっくり休んでいきなさい」
お父さんは優美にそう言うと、一度家に帰っていった。お母さんは一緒に泊まってくれるようだ。優美は安心して、再び眠りについた。

 そんな優美さんの様子を全く知らない愛華は、いつも通り学校に行って希実と一緒に授業を受ける。昼休みに4時間目の授業で分からなかったところを希実に聞いてみるが、それでも分からなかった愛華は、302の教室に向かう。愛華は優美さんを探すが、いつもいるはずの教室に優美さんの姿はなかった。3つある3年生の教室前の廊下をうろうろしていると、遥花先輩とすれ違う。前の芸術発表会で3年生の先輩方は引退しているので、顔を合わせるのは久しぶりだった。愛華が挨拶をすると、遥花先輩も挨拶を返してくれる。そして
「どうしたの? 誰か先輩に用事?」
と、遥花先輩は愛華に聞いてくる。
「さっきの授業で分からないところがあって、優美さんに教えてもらおうかなと思ったんですけど、探しても優美さんがいないんです」
愛華が遥花先輩にそう言うと、
「優美、今日は休みだよ。体調悪いみたい」
と、遥花先輩は言いつつ愛華の分からなかった問題の解き方も教えてくれた。愛華は遥花先輩にお礼を言って、その場を後にした。
 
 次の日、愛華が希実と普段通り雑談して昼休みを過ごしていると遥花先輩が愛華たちのいる教室にやって来る。
「遥花先輩、どうかしたんですか?」
愛華が声をかけると、遥花先輩は息を切らしながら
「昨日の夜、優美から連絡があって入院したって。愛華ちゃんたちには心配かけたくないから、迷惑かけたくないから内緒にしててって言われたんだけど、どうしても秘密にできそうもなくて」
と言う。愛華と隣にいた希実は遥花先輩の言葉に衝撃を受ける。少し前、体調があまりよくなさそうにしていたが、最近はそんな様子には見えないこともあったし、入院するほど悪い体調だったなんて愛華は思いもしなかった。
「優美さんが心配かけたくないって言っているなら、私がお見舞い行くのは迷惑でしょうか?」
愛華は遥花先輩に聞く。
「悩むところだよね。私も優美が今どういう状態か分からないし、連絡よこせるぐらいだから、すごく体調悪いわけではないと思うんだけど」
遥花先輩はそう答える。愛華は、
「今日はとりあえずお見舞いはやめておきます。私や希実には秘密にしたいっぽいですし。希実はどうする?」
遥花先輩にそう言ってから、希実にもどうするか聞く。
「私も今日はお見舞い行くのやめとく。優美さんがいつかばれるような隠し事しようとしたのは、気になるけど」
希実も今日はお見舞いには行かないようだった。遥花先輩はそれを聞いて、自分の教室に帰っていった。遥花先輩が教室に戻ってから、愛華は希実と優美さんについて話す。
「優美さん、なんで私たちに隠そうとしたんだろう」
愛華が希実に聞くと、
「心配かけたくない、迷惑かけたくないって多分戦えなくなるからってことだと思うんだよね。優美さんって私たちよりも年上で部活も違うし、ジュエリー王国の戦士の生まれ変わりっていうつながりがなければ貧血で倒れたのを助けてお礼言われただけで関係がここまで長く続かなかったかもしれないし。夢ちゃんだって、同じ学校にいてもただのファンで深い関係にはならなかったかもしれない。優美さんにとっては、私たちは戦士として役割が前提としてあるつながりなのかもね」
と答える。愛華は
「そうなのかもね。優美さんって誰かに迷惑をかけることに関して、人一倍敏感になっているような気がする。優美さん、このまま私たちには秘密にしておきたいって思い続けるのかな?」
と言う。希実はその言葉に首を傾げてしまった。愛華と希実は夢ちゃんにこれからどうした方がいいのか相談しようとするが、夢ちゃんは仕事が入っているようで学校には来ておらず、結局結論を見出すことはできなかった。

 その頃、優美は病院のベッドで横になっていた。検査入院だけのつもりが、何か大きな病気が見つかったようだった。海に行ったときに感じた胸騒ぎが、とうとう的中してしまったのかもしれないと優美は思った。愛華ちゃんたちに迷惑かけたくない一心で、つい遥花に口止めをお願いしてしまったことを優美は後悔する。
「こんなことしたっていつかばれるのに…」
そう言う優美の目からは、いつの間にか涙が溢れていた。
(愛華ちゃん、希実ちゃん、夢ちゃん、やっぱり私みんなに迷惑かけてばっかりね…)
優美はそう思いながら、ある決意を固めていた。
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