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33話 優美の想いと新たなる力
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「大魔王様、戦士が1人戦えなくなっているのは事実でした」
ホーフーはそう言って、大魔王の前にひれ伏す。ホーフーの報告に大魔王は一瞬喜びの声をあげるが、すぐにいつもの不機嫌そうな声に戻る。
「俺の得た情報が正しいのは当たり前のことだ。いちいちそんなことを報告するな。早く戦士を倒せ! 心の輝きも1700人分集めるのだ、いいな?」
ホーフーはその言葉に再び出撃していった。
優美は昨日、愛華ちゃんたちに言った言葉や行動を頭の中で繰り返しては後悔する。優美が横になっているベッドの側の棚には、愛華ちゃんが置いていった優美のコンパクトがそのままになっている。そこに優美のお母さんが病室に入って来る。優美は思い切ってお母さんに聞いてみることにした。
「お母さん…」
優美が話しかけると、
「どうかしたの?」
とお母さんは窓際の花瓶に花を生けながら言う。
「お母さんは、私が生まれてから幸せを感じたことはある?」
優美の突然の問いかけにお母さんは答えに迷っているようだったが、ベッドの側の椅子に座ると優美の手を握って話始める。
「優美が生まれたのは、秋の気配がなかなか見えなくて夏のような暑さが続く9月の終わりだったわ。優美と初めて顔を合わせたとき、どんなことがあってもこの子を守り抜きたいって気持ちが溢れてきたことを今でも覚えているわ。重い病気を抱えていて入退院を繰り返さなきゃいけなくても、周りの子よりも体重が少なくて、身長が低くても、優美は私にとってかけがえのない存在で、そばで成長を見守っているだけでとても幸せよ」
優美はその言葉に心の中にあるしこりが解けていくように感じる。
「でもお母さんは私に付き添っていて、せっかくお父さんと立ち上げた会社に何も関われなくなって後悔はないの? 私の存在を迷惑だって思ったことない?」
次の優美の問いにお母さんは驚いた表情になるが、
「人に迷惑をかけない人間なんてこの世には存在しないと私は思うわ。この生き方に後悔もないわ」
とはっきり答える。優美はお母さんの言葉に
(一人で生きていける人は誰もいない。みんな誰かのお世話になって生きている。支えてくれる人に感謝して私はこれからも生きていきたい)
と思うようになる。そして、同じような思いを抱えているかもしれない子どもたちを助けることのできる看護師になりたいという思いが沸き上がってくる。その気持ちをお母さんに伝えるとお母さんはとても嬉しそうな表情になるが、優美は外の方から何か衝撃音が聞こえるのを察知する。ドンケル王国の襲撃かもしれないと思い、優美は立ち上がる。体の中から力がみなぎり、今なら戦えそうな気がしてくる。お母さんは優美の気持ちを察知したのか、止めずに送り出してくれた。
病院から一歩出ると、そこにはホーフーとメガトイフルがいた。近くには襲撃場所に既に駆け付け、戦っているルビーたちがいるが、優美が来たことに驚いたような表情になる。
「私、今までみんなに迷惑かけてばかりなことに気をもんでばかりだった。でも、人に迷惑をかけることは当たり前のことで助けてもらったときにしっかりとお礼を言えることが大切なんだってやっと気づいたの。今は助けられてばかりだけど、いつか助ける側の人間になりたい」
それに反応するように優美のコンパクトは青く光り始める。優美はコンパクトをかまえ、変身する。
「サファイアパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「水と誠実の戦士、シャイニーサファイア」
シャイニーサファイアに変身した優美のシャイニング・アローも青い光を発し始める。サファイアは無意識のうちに
「サファイア・ウォーターストリーム」
と唱え、技を発動する。これでメガトイフルは倒され、ホーフーは苛立った表情を見せて去っていく。周りにいた心の輝きを奪われた人々もしばらくすると目を覚ました。サファイアは安心して変身を解除するが、すぐにその場に倒れる。愛華ちゃん、希実ちゃん、夢ちゃんの優美に呼びかける声が微かに聞こえる中、優美の意識は消えていった。
ホーフーはそう言って、大魔王の前にひれ伏す。ホーフーの報告に大魔王は一瞬喜びの声をあげるが、すぐにいつもの不機嫌そうな声に戻る。
「俺の得た情報が正しいのは当たり前のことだ。いちいちそんなことを報告するな。早く戦士を倒せ! 心の輝きも1700人分集めるのだ、いいな?」
ホーフーはその言葉に再び出撃していった。
優美は昨日、愛華ちゃんたちに言った言葉や行動を頭の中で繰り返しては後悔する。優美が横になっているベッドの側の棚には、愛華ちゃんが置いていった優美のコンパクトがそのままになっている。そこに優美のお母さんが病室に入って来る。優美は思い切ってお母さんに聞いてみることにした。
「お母さん…」
優美が話しかけると、
「どうかしたの?」
とお母さんは窓際の花瓶に花を生けながら言う。
「お母さんは、私が生まれてから幸せを感じたことはある?」
優美の突然の問いかけにお母さんは答えに迷っているようだったが、ベッドの側の椅子に座ると優美の手を握って話始める。
「優美が生まれたのは、秋の気配がなかなか見えなくて夏のような暑さが続く9月の終わりだったわ。優美と初めて顔を合わせたとき、どんなことがあってもこの子を守り抜きたいって気持ちが溢れてきたことを今でも覚えているわ。重い病気を抱えていて入退院を繰り返さなきゃいけなくても、周りの子よりも体重が少なくて、身長が低くても、優美は私にとってかけがえのない存在で、そばで成長を見守っているだけでとても幸せよ」
優美はその言葉に心の中にあるしこりが解けていくように感じる。
「でもお母さんは私に付き添っていて、せっかくお父さんと立ち上げた会社に何も関われなくなって後悔はないの? 私の存在を迷惑だって思ったことない?」
次の優美の問いにお母さんは驚いた表情になるが、
「人に迷惑をかけない人間なんてこの世には存在しないと私は思うわ。この生き方に後悔もないわ」
とはっきり答える。優美はお母さんの言葉に
(一人で生きていける人は誰もいない。みんな誰かのお世話になって生きている。支えてくれる人に感謝して私はこれからも生きていきたい)
と思うようになる。そして、同じような思いを抱えているかもしれない子どもたちを助けることのできる看護師になりたいという思いが沸き上がってくる。その気持ちをお母さんに伝えるとお母さんはとても嬉しそうな表情になるが、優美は外の方から何か衝撃音が聞こえるのを察知する。ドンケル王国の襲撃かもしれないと思い、優美は立ち上がる。体の中から力がみなぎり、今なら戦えそうな気がしてくる。お母さんは優美の気持ちを察知したのか、止めずに送り出してくれた。
病院から一歩出ると、そこにはホーフーとメガトイフルがいた。近くには襲撃場所に既に駆け付け、戦っているルビーたちがいるが、優美が来たことに驚いたような表情になる。
「私、今までみんなに迷惑かけてばかりなことに気をもんでばかりだった。でも、人に迷惑をかけることは当たり前のことで助けてもらったときにしっかりとお礼を言えることが大切なんだってやっと気づいたの。今は助けられてばかりだけど、いつか助ける側の人間になりたい」
それに反応するように優美のコンパクトは青く光り始める。優美はコンパクトをかまえ、変身する。
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