ジュエリー戦士Shining Guardians

岩下穂乃香

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第41話 それぞれの未来へ...

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 ドンケル王国との戦いから、10年の月日が経った。新しいクイーンに呼ばれ、定期的にジュエリー王国を行き来する以外は戦いもなく、平和な日常が続いている。今年、愛華、希実は23歳、夢ちゃんは24歳になる。中学卒業後、愛華は看護系の選択科目が充実している松見北高校へ進学し、バスケの強豪校である松見学園高等部に進学した希実、隣の市で芸能コースが有名な星南学園高校へと進学していった夢ちゃんとは別々の道を歩むことになった。3人で直接会う機会は減ったが、スマホでのグループトークや通話は頻繁に行われている。3月の終わりに差し掛かった頃、夢ちゃんから、愛華と希実はグループ通話の誘いを受ける。
「愛華も希実も、4月から社会人だね。おめでとう」
夢ちゃんは、通話が始まると嬉しそうな声で切り出す。愛華は、夢ちゃんからの言葉に嬉しさを感じながら、
「ありがとう。ついに私が看護師になるのかと思うと緊張するけど、頑張るよ」
と答える。希実も、
「夢ちゃん、ありがとう。これからは、社会人チームでバスケ続けられるんだから、仕事もバスケも頑張らないとね」
強く意気込んだように話してくれた。その後は他愛もない話が続くが、自然と話題はこの前夢ちゃんが主演を務めていたドラマの話になっていた。
「ドラマの最後の方の展開、本当にびっくりした。まさか、あの人が犯人だったなんて思いもしなかったもん」
愛華は興奮した声で話す。すると、夢ちゃんが照れくさそうな声で、
「ありがとう。今まで恋愛系のドラマが多かったから、ミステリー系のドラマ初めてで緊張していたの。でも評価もよかったみたいだし、今は無事に撮影終わってほっとしている」
と返した。希実は、そんな夢ちゃんに対して
「友達じゃなくて、ファンの立場での言葉になってそうな気がするけど、夢ちゃんのこと応援している。夢ちゃんは、実力派女優って言葉がすごく合う気がする」
と言う。夢ちゃんは
「そんなことないよ」
と、謙遜しているような風に感じた。

 4月になると、愛華は看護師として仕事を覚えながら夜勤も徐々にこなす忙しい日々を過ごすようになった。希実も仕事とバスケを両立した毎日で忙しいながらも充実した日々を送れていると、グループトークで様子を話してくれた。夢ちゃんは、新しい映画の撮影が始まったみたいで、よく撮影中の様子をグループトークで教えてくれる。そんな日々が半年ほど続いた9月の中頃、愛華たちはクイーンからジュエリー王国に来るよう突然指令を受けた。何か新たな敵が現れたのかと不安になり、ずっと使っていなかったコンパクトを持ち、急いで愛華たち3人はクイーンの先導でジュエリー王国へと向かう。

 愛華たちがジュエリー王国に着くと、プリンセスから前に見た命の木のある場所に案内される。
「命の木が順調に成長し、復活してから初めて宝石の実をつけました。その中にサファイアの実があることを確認したので、戦士であるあなた方を呼びました」
クイーンは、嬉しそうな表情で言う。敵の襲撃でないことを知り、愛華たちは安堵の表情を浮かべる。
「サファイアってことは、新たな戦士の誕生、優美さんの生まれ変わりの可能性があるってことだよね?」
愛華は、クイーンに聞く。
「ええ、他にもたくさんの宝石の実が命の木に実りました。これからが、ジュエリー王国の本当の新たな始まりです」
そう言うクイーンの目には、希望が満ち溢れていた。

 宝石の実は順調に育っていき、9月の終わりに新たなサファイアの戦士が生まれた。10月には、トルマリンの宝石の実など他の宝石の実からも次々と新たな命が生まれていく。優美さんと見た目はそっくりだが、病気1つせず、元気に成長していくサファイアの戦士の姿に、愛華たちは優美さんの願いが叶えられたことを実感した。黒のロングヘアをなびかせて笑顔で元気に駆け回るサファイアの戦士に、愛華たちはこれから明るい未来がジュエリー王国に広がっていくことを確信し、地球へと戻っていった。
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