崩壊した世界からの脱出 -ボクたちはセックスしか知らない-

空倉霰

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第一章

部屋

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 そこはまるで、牢屋のような場所だった。二畳ほどの大きさの部屋には、家具の一つもなく。目立った特徴と言えば、薄汚れた白い壁に、横向きで一本の太い緑色のラインが入っていることくらいで。
 たった一つの出口であるこの扉は、とても破れるはずがない鋼鉄製。外から鍵がかけられているから、ここでの唯一の自由は、扉についている小さな窓から外を覗き見ること。
 でも外には、ここと同じような扉が沢山ある大きな空間があるだけだ。だから見ごたえはないので、いつもこの部屋で壁を見て過ごす。
 たまに運ばれてくるご飯には、何か得体の知れないものがよく混ざっている。部屋の中は薄暗いからよく見えないけど、質感と触感から考えて、多分パンとシチュー。なのに食べ物の匂いはしない。でも、仕方ないので食べている。
 この部屋の両隣には、ボク以外に二人ほど人間がいるらしい。きっとボクと同じような部屋に居るのだろう、一人はいつも泣き叫んで、もう一人はいつも笑ってる。
 気が付いた時には、ボクはここに居た。世界はこの部屋よりも広いということを知るのに、何年もかかかってしまった。でも外の世界は、特に夢とか希望とかがありそうな感じはしなかった。
 ボクは、時おりこの部屋から出される。謎の大人たちに連れられて、不思議な部屋――治療室に移動する。両手に手錠がかけられて、まるでどこにも逃がさないかのように。
 その部屋は、あのいつもの部屋よりは広いのだけれど。それよりももっと狭く感じる。そこら中に色々な機械があって、色々な薬品や、色々な、人間がいる。
 彼らはボクよりも綺麗な服を着て、ボクをジロジロと見る。ボクよりも綺麗な手で、触ってくる。ヘソとか胸とか、とにかく全身。
 時おり彼らから、知識を与えられる。言葉とか、文字。歴史。だから絵のついた本くらいなら、理解出来る。ここが、ある種の地獄にも近い場所だということも。ようやく最近、理解出来た。
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