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第二章
開放
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お腹が空いていた。それはいつものことだったけど、今日は特に酷かった。
シチューのことに気が付いてから、ボクはご飯をあまり食べなくなって。吐いちゃうことが多くなったから、いつも以上にお腹が鳴っていた。
マスターと会いたかった。会って、お話がしたかった。甘えたかった。……それにあっちの方も、もう何日もおあずけだった。
だから、気が付いた。ボクが苦しくて、切なくて。どうしようもなくなって、幻覚に手を伸ばそうとした瞬間。……ボクは、扉を開けていた。
鍵がかかっていなかった。いつもならどうしたって開かない扉が、指先一つで簡単に開いた。しばらくは、そのことに驚くのに必死で。数分くらいしてから、ようやくボクは思い立った。
ボクは、扉をもう少しだけ開けて。隙間から外を覗いてみた。誰か、居ないのか。見張りの人は、居ないのか。
結果として、外には誰も居なかった。でもそれは、見張りの人だけじゃなくて。牢屋の方も同じだった。
いつもならこの牢屋の外は、大きな空間になっていて。周りにはここと同じような牢屋……もとい部屋が、幾つもある。その部屋の扉が、全て開いていたのだ。
ボクは気になって、隣の部屋を覗いてみた。確かそこには、いつも泣いている子がいるはずだから。でも、誰も居ない。シチューが入っていたらしい空っぽのお皿はあったけど、それ以外には何も無かった。
「誰も、居ないの?」
ボクは、声を出した。その声はしばらくこの空間で反響し続けたけど、返事は返って来なかった。
恥ずかしい話かもしれない。でもボクは、今日初めて、この大きな空間をまじまじと見渡した。それで、ようやく理解した。やっぱりここは、牢獄なのだと。
いつだったか、大人の人に見せられた本で知っている。ここは、牢獄という場所で。ボクの居たいつもの部屋は、やっぱり牢屋だったのだ。
でも、だから何かが変わったわけじゃない。ボクがそのことに気が付いたってだけの話で。それよりも今やるべきなのは、ご飯を探すことだった。
「……どこにあるんだろう」
いつもご飯は、牢屋の窓から渡される。だからどこから運ばれてくるのか、ボクは知らない。ボクが知っているのは、あの治療室と、シャワー室への行き方だけ。
だからボクは、知っている場所に行くか。知らない場所に行くか。少しだけ悩んだ。でも、あまり悩む時間はなかった。
「……え?」
シチューのことに気が付いてから、ボクはご飯をあまり食べなくなって。吐いちゃうことが多くなったから、いつも以上にお腹が鳴っていた。
マスターと会いたかった。会って、お話がしたかった。甘えたかった。……それにあっちの方も、もう何日もおあずけだった。
だから、気が付いた。ボクが苦しくて、切なくて。どうしようもなくなって、幻覚に手を伸ばそうとした瞬間。……ボクは、扉を開けていた。
鍵がかかっていなかった。いつもならどうしたって開かない扉が、指先一つで簡単に開いた。しばらくは、そのことに驚くのに必死で。数分くらいしてから、ようやくボクは思い立った。
ボクは、扉をもう少しだけ開けて。隙間から外を覗いてみた。誰か、居ないのか。見張りの人は、居ないのか。
結果として、外には誰も居なかった。でもそれは、見張りの人だけじゃなくて。牢屋の方も同じだった。
いつもならこの牢屋の外は、大きな空間になっていて。周りにはここと同じような牢屋……もとい部屋が、幾つもある。その部屋の扉が、全て開いていたのだ。
ボクは気になって、隣の部屋を覗いてみた。確かそこには、いつも泣いている子がいるはずだから。でも、誰も居ない。シチューが入っていたらしい空っぽのお皿はあったけど、それ以外には何も無かった。
「誰も、居ないの?」
ボクは、声を出した。その声はしばらくこの空間で反響し続けたけど、返事は返って来なかった。
恥ずかしい話かもしれない。でもボクは、今日初めて、この大きな空間をまじまじと見渡した。それで、ようやく理解した。やっぱりここは、牢獄なのだと。
いつだったか、大人の人に見せられた本で知っている。ここは、牢獄という場所で。ボクの居たいつもの部屋は、やっぱり牢屋だったのだ。
でも、だから何かが変わったわけじゃない。ボクがそのことに気が付いたってだけの話で。それよりも今やるべきなのは、ご飯を探すことだった。
「……どこにあるんだろう」
いつもご飯は、牢屋の窓から渡される。だからどこから運ばれてくるのか、ボクは知らない。ボクが知っているのは、あの治療室と、シャワー室への行き方だけ。
だからボクは、知っている場所に行くか。知らない場所に行くか。少しだけ悩んだ。でも、あまり悩む時間はなかった。
「……え?」
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